AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】 β島の闘い 四十八
第三位階上位
振り下ろされる炎の拳。
それを防ぐ手立ては無く、アランは自らの体を盾にすべく、致死の一撃へその身を晒した。
しかし炎はアランに届く事は無かった。
二種の爆炎が炸裂し、炎の巨人がはじき飛ばされたからだ。
「……?」
「…………ん?」
キョトンした顔の二人は、吹き飛んで行く炎の巨人を見て更に首を傾げている。
取り敢えず救援者に声を掛けておこう。
「助かったよ、炎の騎士」
真紅の輝きを宿す大剣を、振り下ろした形で残心していた騎士は、すっと立ち上がると此方へ向けてサムズアップしてきた。
勿論、此方も返礼として親指を突き返した。グッジョブってな。
どうやら騎士は巨人を追うらしい、此方も態勢を立て直しマナポーションを飲んだので切り札をもう一度切る事が出来る、ついて行くのは当然と言えよう。
騎士が走るのを追い掛け、然程離れていなかった巨人と再度相対する。
「んん?」
「ほう?」
「少し縮んだかしら?」
どう言う理屈かは不明だが騎士の炎を受けて、炎そのものの様な巨人はその総量を僅かに減じさせていた。
もしかしたらさっきまで切り続けていたのも無駄では無かったのかもしれない。
このまま行けば勝てるか? ……まぁ、やるしか無いのだから勝つしか無い。
気合い入れて行こう。
◇
「ユリちゃん、下がれっ」
「セナもだっ」
俺の言葉に悔しげに顔を歪めながらも離脱したユリちゃん。
セナは申し訳なさそうにしつつも撤退した。
二人を下がらせた理由は端的に言って力不足。
騎士が参戦してから巨人は本気を出し始めたらしく、地力で僅かに劣る二人の被弾率が増え、HPが常に危険域にある様な状態になっていた。
下がらせた二人には周囲の警戒をして貰う。変な横槍を入れられては困るからな。
「っぇあッ!!」
飛来してきた小さな炎の塊を切り捨て、返す刃で迫ってきていた炎の鞭を切り払う、もう一方の刃は巨人の足へ切りつけて、僅かにでもダメージを与えた。
巨人は騎士と全力で殴り合っているが、此方にも攻撃の手を加えている事から、俺らの攻撃が無意味では無い事を証明している。
と言うか、しばらく戦って見て分かったが、この巨人、戦い慣れていない様だ。
俺たちの攻撃は無意味では無いが、そのダメージは微々たる物。
俺たちを無視して騎士と戦えば騎士を倒せるかもしれないのに、わざわざ此方やアマネさんへ意識を割いている。
力はあれど技術が無い。
その結果、力で保たれていた均衡が崩れ始めていた。
しばらく後、炎は徐々にその勢いを無くしていき、巨人は騎士相手に防戦一方になっていた。
もはや此方に意識を割く事すら出来ていない。
ここまで来ると勝ったも同然で、ユリちゃんとセナが参戦して攻撃を繰り返し、巨人を少しずつ削って行った。
そして最後、縦横無尽に振り回された騎士の双大剣が、人と同じくらいまで縮んだ巨人だったものをバラバラに切り裂いた。
《【クエスト】『炎の騎士と炎の巨人』をクリアしました》
【クエスト】
『炎の騎士と炎の巨人』
参加条件
・個体『ゴーレム・スカーレットナイト』と共闘し、ボス『ギャザー・エレメントジャイアント《火》』と戦う
達成条件
・個体『ゴーレム・スカーレットナイト』と共闘し、ボス『ギャザー・エレメントジャイアント《火》』を討伐する
失敗条件
・死亡する
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
・貨幣:魔力100,000
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度24%
・道具『赤鋼のインゴット《大》』
・道具『魔鋼のインゴット《大》』
・道具『爆発の魔法石』
エクストラ評価報酬
不退転
・スキルポイント5P
・スキル『火耐性』
・評価点+
全体報酬
・評価点+
《レベルが上がりました》
終わったか。
炎の巨人だったものは残り火無く消え失せ、荒れた山岳の斜面にコトリと宝石の様な赤い何かが落下した。
赤い騎士がそれを拾い上げると、唐突に宝石らしき物が消滅し、代わりに一つの革袋が現れた。
赤い騎士は俺にそれを持った手を突き出してくる。
「なんだ? くれるのか?」
そう問い掛けると赤い騎士はコクリと一つ頷いたので、革袋を受け取った。
中を確認すると入っていたのは4本のナイフと1本の矢、緑色の液体が入った小瓶と青色の液体が入った小瓶がそれぞれ5本ずつ。
全員で分配しろって事だな。
それを確認し終わると、赤い騎士は俺の背中をバンバンと叩いてサムズアップしてから去って行った。
痛てぇって、マジで。




