AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】 β島の闘い 四十五
第三位階上位
昼飯を食い終えると、早速遊びに向かう事になった。
小物や雑貨のコーナーではひやかして回るものかと思っていたが、委員長がシャー芯を買いに行ったり、恵ちゃんが何やらチェーンの付いたよく分からない置物の前でビシッと停止したりと、細々とした買い物をしていた。
そんな中で、雨谷が物欲しそうに見ていたクマのぬいぐるみを、ユキが買っていた。
ぬいぐるみはユキの腕の中にあり、雨谷はそれをチラチラとみている、そんな何処と無く不憫な状況が出来上がっている。
ユキの部屋にぬいぐるみは一つもないので、どうせ後で雨谷にあげるんだろうな。
ユキが何をしているのかと言うと、かなり強引な方法ではあるが雨谷の注意を自分に引きつけているのだろう。
理由はおそらく好感度稼ぎ。
味方作りは鈴守の家訓だからな。
服飾のコーナーでは、実はかなりセンスが良い委員長が女子を着せ替え人形にしていた。
ユキは何でも似合うから、委員長の笑顔に影が指し始めるまでずっとモデルになり続けていた。
まぁ、ユキと比べたらダメにもなるだろう。
俺なんてユキに勝ってるのは体格くらいのもんだ。
最後はゲーセン。
俺は適当にゲームをして遊んだが、タケルは委員長にぬいぐるみのキーホルダーをあげるべく密かに散財し、逆にユキはスロットで荒稼ぎだ。
そして最後にプリクラを撮った。
それぞれの思惑はあれど、皆笑顔の良い写真。
まぁ、何だ……中々に充実していた様な気がする半日だったな。
家に帰りユキが作った夕飯を食い、適当に寝る準備を終えて部屋に戻った。
さて、ゲームやろうか。
◇
ログインすると、早速今日の最新情報を掲示板で収集した。
今日あった特に目立つ事件で言うと、コウキ達の一団が北の草原にいる巨大ミミズを討伐したと言う物があった。
先の蟹戦でコウキの一団はより数を増やし、装備も蟹防具や武器で纏められていて、質も数も増えた形になる。
そんなコウキの一団は、余った蟹素材を売却して解毒ポーションを大量購入し、巨大ミミズ含む大量のミミズを殲滅して来たらしい。
次の狙いは西の農場の奥にある蜂の巣だとか。
とりあえず今日はソロで活動して、明日アラン達と合流しよう。
狩場はどうすっか——
「——タク先輩!」
「ん?」
ふと、名前を呼ばれた。
振り返って見ると其処にいたのはココネちゃん……と何人かの女子。
あー、今日の予定は決まりかな?
◇
「はぁっ!」
「踏み込みが足りない」
緩い剣の一撃を軽く受け止める。
あの後俺は、ココネちゃん含む数人の女子に戦闘の指導をしていた。
指導と言っても基本的な事だけだがな。
そして最後の締めくくりに、一人一人打ち込みをやらせている所だ。
まぁ、教えた通りの基本は出来ているし、最初と比べると大分マシになっている。
戦闘指南は夜遅くまで続けられ、深夜になる前に切り上げた。
『ありがとうございました!』と声を揃えて頭を下げた女子に適当にお疲れと声を掛け、さっさと寝る様に伝えてログアウトさせた。
去り際にココネちゃんが『タク先輩、私……いつかユキさんを超えてみせますっ。そしたら、私とっ……い、いえ、何でも無いですっ! ではまたっ』と言う謎の言葉を残して行った。
ユキを超えるなんて面白い冗談だな。
何か要求するつもりだったみたいだが……まぁユキを超える事が本当に出来るなら逆立ちで世界一周くらいはしてやるわ。
こうして六日目は特に何かを進めるでもなく過ぎて行った。
あー、肩が凝る。
◇
朝。
「今日はちゃんと寝たみたいだね」
「……よく見てるな、ほんと」
「? 当然だろう?」
何が当然なのか。
甚だ疑問ではあるが、取り敢えず朝飯を食う。
美味い。
しかし何で野菜ばっか何だ?
「何で野菜ばっか何だ?」
「ん? うん、ちょっとダイエットをね」
ダイエット? ユキが?
「……太ってる様には見えないが」
「お腹周りじゃ無いよ」
腹じゃないとなると……足か?
「あ——」
「——足でも無いよ」
「……じゃあ——」
「——部位を知ってどうすると言う訳でも無いだろう? 本当に些細な物だし、気付いた人はよっぽど僕の体に詳しいんだろうな」
ユキの体に詳しい変態か……。
「アヤちゃんだな……まぁ、俺には然程関係ない話、特に変わった様には見えないが……無理すんなよ?」
「見た目で分かる程になってしまったら色々と困るんだけどね、取り敢えず無理はしないさ」
腹でも足でも無くて見た目で分かるくらい変わると色々と困る部位。
うーん……分からん。




