AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】 β島の闘い 三十一
第三位階上位
蟹がやってくるまではまだまだ時間がある。
アマネさんが来るまでは各自調べ物をする事になった。
と、言っても俺が提案した訳だが。
ユリちゃんとセナは触れ合っている。
どちらかと言うとユリちゃんがセナにベタベタしている感じだが、セナはセナで楽しそうだから良いだろう。
願わくばセナがユリちゃんに侵食されない事を祈る。
◇
「待たせたわね」
「お、来たか」
少し経って虚空が一瞬点滅したと思ったらアマネさんが現れた。
アマネさんに蛇の素材を渡し、防具を作って来るように伝える。
ユリちゃんとセナは、ユリちゃんの手つきが怪しくなってセナが擽ったそうにしていたのでポーションを補充して来るようお使いに出している。
まともに調べ物が出来るのはアランくらいの物だ。
五日目ともなると様々な情報が出て来る物で、分かったことは多い。
先ずは不遇スキル。
生産系スキルは全て不遇。
殆どのスキルは初期に修理と言う能力しか使えず、修理が使えるのは全壊していない物に限る。
スキルレベルが全く上がらず、上がっても加工と言う何の役に立つのか分からない能力が生えるだけ。
現在一番スキルレベルが高い人のレベルは5らしい。
同系統のスキルと思わしき物で錬金術と言う物があるが、此方はスキルレベルが他のスキルよりずっと上がりにくい。初期にあるのは変換と言う能力だ。
この変換と言う能力は、同じ素材複数をより上位の素材に変換するか、一つの素材をより下位の素材複数に変換するスキルで、上位に変換する時は概ね5個か10個を1つに、下位に変換する時は1つを3個に変換するらしい。
よって、スキルのレベル上げには大量の素材が必要になり、レベリングはかなり厳しいとの事。
武術系スキルも不遇の内だ。
先ず戦いと言う物が上手く出来ないと言う問題がある。
一番不遇なのは狙いが定まらないと言う理由で弓。次点で獲物が大きくて重い大剣や斧、槌、棍など、中には鞭術と言うスキルもあり、これはそもそも地雷スキルだ。
初期は『先ずは剣術だろ』と剣術スキルを取得する者が多かった様だが、案外剣は使いにくいと言う言葉も多く、今は多くのプレイヤーが長柄物の槍か掌サイズの短剣を使っているらしい。
ちなみに、体術スキルは鞭術と同じで完全に地雷スキル。
剣で戦えないからと体術スキルを取得して、無手で森に入った奴がいたらしいが、勿論直ぐに死に戻ったのだとか。
魔法スキルも実は不遇らしい。
先ず、MPの総量が少ない。連射出来無い。
次に、詠唱に時間がかかる。速射出来無い。
更に、敵に当たらない。誤射はする。
最後に、当たっても大したダメージにならない。
MPの問題で魔法を使いまくる事が出来ず、魔法系スキルのレベリングには時間がかかる。
かなりの不遇だが、そこはそれ、魔法はロマンと言う理由でモチベーションが維持されている。
他だと、従魔術や召喚術のスキルが不遇だ。
従魔術は、初期能力の下位契約が成功しない。
召喚術は、召喚で出て来るモンスターがランダムな上、モンスターがやや弱い。
それだけで無く、モンスターもパーティー枠を埋めると言うマイナス要素、モンスターを一度送還するとそのモンスターは二度と召喚出来ず、死亡してもそれは同じ。
召喚術の、パーティー枠を埋めると言うのが曲者で、それが理由で幾つかトラブルが起きているらしい。
他にも沢山のスキルがあるのだが、どれがどの様な作用を及ぼすのか分かっておらず、取得すべきなのかそうじゃないのか分からない状況が続いている様だ。
ゲームのシステムも幾らか分かって来た。
ステータスの名前を選択すると、幾つかの項目が現れるらしい。その中にあるダメージプロテクターと言う物が、受ける痛みを制限しているのだとか。
ダメージプロテクターレベルは10段階あり、その数値は初期に自動で選択される。
多くの人はレベル9〜8で、初期値から3段階下まで変更可能、痛みに慣れてくると更に下の段階まで下げられる様になっていくのだとか。
このダメージプロテクターレベルを下げると受ける痛みが増え、同時にHPが増加する様だ。真偽の程は不明だがスキルレベルやレベルの上がりやすさにも影響が有るんだとか。
俺の初期値は6だったので5に変更しておいた。
ダメージプロテクターの下にはハラスメントプロテクターと言う項目があり、これはかなり細かく設定出来る。
基本は接触の可否、続いて部位毎の設定、状況による設定、個人の設定。
此方は変に弄っても面倒なので放っておいた。
続いて決闘。
これはフレンドの項目から選択可能で、フレンドと決闘が出来る。
一度選択するとチュートリアルが表示され、そこに書かれている通りに宣誓するとフレンド以外とも決闘が可能になる。
決闘中は青っぽいオーラの様な物が現れ、ステータスに仮HPとも言える様な青いバーが現れる、これを削りきったら勝ちとなるそうだ。
他は、件のVRゲームを守る会? が調べたデータで、デスペナルティーによるアイテムのドロップ率が書かれていた。
武器と防具がおよそ3%、道具がおよそ5%、素材が概ね50%、貨幣は100%ドロップする。
追記で、武器と防具、道具はストレージ内にある物がドロップしやすい事、貨幣は最大でも10%までしかドロップしない事が書かれていた。
身体能力低下時間は、肉体の損壊が多い方が長いと言う事も。
敵からのドロップアイテムの統計は、基本的には1つで運が良いと2つ、幸運系装備を作った時は概ね2つで運が良いと3つ。
各モンスターからのドロップアイテムの割合は、最初の森にいるウサギとスライム、プチスライム、苗木の4種類しか判明していない。
この四体のレアドロップは、ウサギが足。スライムがスライムゼリーと言う食品系アイテム。プチスライムがプチスライムゼリーと言うスライムゼリーの小さい物。苗木がプチアルルモドキと言う姫林檎に似た黄色い果実らしい。
ゲームの基本システムについてはこんな所だろう。
後は各迷宮からドロップする風石や風精石などの使い道だが、道具屋で加工して貰えるらしい。
単品で提出すると風破石や風爆石になり、使用方法は強い衝撃を与える事、投げて着弾すると爆発する様だ。
武器屋や防具屋に素材と一緒に幾つか納品すると、装備に属性を付けて貰えると言う情報もある。
今ある各石系アイテムは全て攻撃用の石に変えて貰った。
情報に関してはこれくらいで良いだろう。
攻略情報は、真新しい情報として幾つか気になる物があった。
先ずは西の農場、最西端まで行くと大きな蜂の巣があるらしい。
そこから大量の蜂が出入りしていて、巣の周りには普通の大蜂よりも強そうな蜂が警備をしているとか。
次は北の草原、大量の大蚯蚓が蠢いている草原に、一際大きな蚯蚓が発見された。
出現地点は草原の中心部、それを発見したパーティーは蚯蚓の群れに飲み込まれたらしい。
フィールド以外だと街の内部に大きな建物があり、その建物の中には幾らかの壁画が見つかっている。
掲示板に貼り付けられている画像から判断するに、『光の軍勢と黒い何かが戦って、光の軍勢が勝利したが、黒い何かはバラバラに砕け散り僅かな破片が世界に散らばってしまった』と言った感じか。
最後から二番目の壁画には、おそらくこの島と思われる物へ黒い破片が落下して行く様が描かれており、最後の壁画は全面が黒く塗りつぶされていた。
黒い壁画がある場所の真横に大きな金属製の扉があるらしく、その扉をやたらと強そうな白くて大きな騎士が守っているのだとか。
色々と気になる所はあるが目下のイベントは蟹狩りだ、皆を待つ間はスキルを取得するとしよう。




