AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】β島の闘い 二十九
※130万PV達成
第三位階上位
昇降機はしばらく降り続け、バッと視界が開けた。
場所は上と同じ程度の広さがある闘技場。
眼下に見えるモンスターは、上の階にいた物より一回り程大きい蛇。ただし——
「……これは…………」
「……綺麗ですねぇ……」
「……幻想的……とでも言おうかしら?」
——上の蛇よりも綺麗だった。
鱗は曇りのない宝石そのものの様に輝き、形状は上の蛇よりもスマート、何処と無く女性らしさを感じる。その上、瞳には高い知性の色がうかがえた。
大きな宝石の蛇はペコリと頭を下げた。
「……いま、お辞儀しなかったか?」
「……あぁ、したな」
アランが目を擦りながら問うて来たので事実を告げる。
かなり頭の良いモンスターらしいな。
戦いになるのか、戦いになったとしてどう動けば良いのか、そんな考察をしていると、唐突に声が聞こえて来た。
——ようこそお出で下さいました。
落ち着いた女性の声、その声は頭の中に直接響いて聞こえた。
——英雄候補の皆様。
英雄候補? ……聞き覚えがあるな……。
——私はアリアンメイゼ、此度の英雄選定で選別者を務めております。
「英雄候補? 英雄選定? ふふ、一体どう言う事かしら?」
昇降機が地面に着く前に、アマネさんが大蛇に話し掛けた。
表情こそいつも通りだが、ほんの少し不機嫌になっている様だ。
アマネさんは基本的に命令されるのは嫌いだからな……ユキに従うのはまぁ、ユキに色々されたからだ。
——それはいずれ、数多ある試練を乗り越え、その器を英雄たる存在へと高めた時に分かるでしょう。
「そう、ふふふ」
まるで有耶無耶にする様な返答だな。
……ユキならどう言う意味か直ぐに分かるんだろうな……。
——さて、話を戻しましょう。私が貴方方へ課す試練は………………人探しです。
奇妙な間が開いたのち、唐突に、暗い感情を乗せた声が届いた。
——既に武威は示され、品格は証明され、類稀なる幸運の証が提示されました。
そもそも、銀の因子を持つ神子の魂が観測された今、既に選別は為されているのです。私が試練を私事に使っても何ら問題は無いでしょう。
今までと打って変わって何やら言い訳の様な事を始めた大蛇のモンスター。
っつか、人探しは私事なのか、探す相手にはよっぽど恨みがあるんだな。
——私が探している男は私の大切な友人、ベリセーニアを拐かした大罪人。
大罪人ね、俺の知ってる範囲にはいないだろうし、試練突破は無理か?
——ベリセーニアと言うのは——
此処から唐突に大蛇から伝わってくる感情が良い物に変わり、セニアちゃんの何処が良いのかを延々と語り出した。
要約すると、一人称が妾と言う古めかしい喋り方をするロリがセニアちゃんで、この蛇は精霊を使って毎時セニアちゃんとやらをストーキングしているらしい。
件のセニアちゃんは今朝、とある男の名を呼び『早く妾を見つけ出してくれ……』と恋い焦がれる様に呟いたらしい。
年端も行かない様な幼女を誑かすとか、その男はロリコンか?
「とんでもねぇ野郎だな」
「人を騙して利用しようとするなんて、酷いです!」
「貴女の気持ち、分かります……!」
「……ふふ、そんな見下げ果てた人物がいるのなら排除しなくちゃいけないわね」
「全くだな」
永遠と男に対する罵詈雑言を吐き続ける蛇の言葉、火の無い所に煙は立たないとも言うし、確かに子供を騙して利用しようとするなんて人として如何かと思う。
特にユリちゃんなんかは、同じ百合としてシンパシーを感じている様だ。
——皆様……! 協力して頂けるのですね!
「まぁ、当然だな……それで、その男の名前や容姿はかはどんなだ?」
情報を集めるにしたって名前か容姿のどちらかは必須だろう。
——残念ながら容姿は分かりませんが、名前は分かります。
「ではその名前を聞かせてください」
さて、件のロリコン野郎の名前は何て言うん——
——タク。
……は?
——その男の名前はタクと言うそうです。
「…………」
「「「………………」」」
「タクさんなもがっ!?」
…………。
「失礼、この子はそんな名前はたくさんあると良いたかったんだ」
「もぐっ!?」
「「………………」」
「……《やはりロリコンだったのですね、ユキさんとアヤちゃんを隔離しなければ》」
頭をフルに回転させるが、ベリセーニアと言う名前に覚えは無い、妾なんて変な一人称を使う幼女に出会った事は一度も無い。
断言出来る、俺じゃない。
「とにかく、その男は此方で探しておこう。今すぐ帰って調べる事にする」
——それは助かります。その正義の心を私の試練を突破する証明としましょう。
「……《タクってロリコンなのか?》」
「……《ええ、間違い無いわね》」
「……《昨日も幼馴染の可愛い幼女とイチャイチャしていました》」
聞こえてるぞこら! ユキは幼女じゃねぇしイチャイチャしてたのはユリちゃんの方だろうがっ……。
——最後に私から助言を一つ、此度の選別は仮の物、次の選別こそが真の剪定となるでしょう。終わり行く世界を救い、生き延びたいのなら英雄を超えなさい。
「……ちょっとタク……悪いんだが、セナから離れてくれないか?」
「……タクさん、明日からは一人で生活してください、ユキさんは私の専属家政婦として雇うので」
「……この事リナに伝えておかないと行けないわね」
「おいこらっ」
「もごもごっ」
ええいくそっ、俺だけだと収集つかねぇぞこれっ……ユキに頼るか? ってか……何だ? 急に眠気が……。
——男の情報は次会った時に聞かせてください……最後に皆様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?
なんだ……ほんとに眠いな……考えが……纏まらない…………。
皆も同じなのか、目蓋が下がり始め、それぞれが名前を名乗って行く。
「……俺はアランだ……」
——アランですね、覚えました。最後は貴方です。
「……あぁ、俺の名前はーー」
意識が……遠のく……。
「——タクだ」
——分かりました、タクで……タクっ!? ちょっ! 待ちなさ——
《【伝説クエスト】『??の仮試練』をクリアしました》
【伝説クエスト】
『??の仮試練』
参加条件
・クエスト『選別の試練:水の迷宮を踏破せよ』クリア者
達成条件
・?
失敗条件
・?
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度25%
・武器『蛇牙・時雨』
エクストラ評価報酬
幸運
逃亡
・スキルポイント4P
全体報酬
・評価点+




