AS 双剣使いタクの闘い 【Episode.1】 β島の闘い 二十七
第三位階上位
朝。
五日目の朝だ。
今四層にいるメンバーは、俺、ユリちゃん、アラン、セナ、アマネさん、の五人。
ユリちゃんは、昨日の夜ユキに家まで送って貰った後、アナザーにログインして、それを俺が迎えに行った。
幸いな事に四層には出口があったので引き返す面倒が無く、合流したユリちゃんには蛇革の防具を製作し装備して貰った。
製作された装備はアランの装備と似て鉢金付き、デザインは忍者では無く武士っぽい。
ポーションを補充しダンジョンにとんぼ返りすると、三層で中ボス相手に単独で戦っているアマネさんに遭遇した。
アマネさん、本名を桐生天音と言い、リナさんの幼馴染だ。
見た目や口調はふわっとしたお姉さんだが、その実腹黒の策略家。
ユキに引き込まれてリナさんをそれとなく補助している。
そんなアマネさんは御家柄弓術に精通しており、巨大蛇を相手に木の上を飛び回って善戦していた。
そんなアマネさんと合流し、三人で難無く中ボスを突破、迷宮突破までパーティーを組む事になり、四層入り口で今日の所は解散と相成った。
そんな訳で朝。
各自の顔合わせを済まし、四層の攻略に乗り出した。
◇
「ふふ、前衛がいるとやり易いわ」
弓に矢を番え、ニコニコと微笑みながらそう言うアマネさん。
命中率は百発百中、恐ろしい程の弓さばきだ。
だけどリナさんはこれ以上らしいのだから鈴守家の異常さが際立っている。
「アマネさんかっこいいです!」
「あらあら、セナちゃんは可愛いわね」
ニコリと微笑みセナの頭を撫でるアマネさん。俺はこの人が少し苦手だ。
アランも苦手そうにしている。
なんと言うか、手玉に取られるている感じが居心地悪い。
「アマネさん、矢を回収しました……例の件は……」
「ええ、ありがとう……ユキさんの……なら……」
ユキ……何かされてるぞ……ガードが緩いから……。
「ふふふ」
「ふふ、ふへへ」
「怖ぇよ……あの人何時もああなのか?」
「概ねな」
引き攣った顔で此方へ逃げて来たアラン、本当に怖いよな、あの人……。
◇
四層はほぼ海の様な有様だが水深は腰より下。
時折小さな島があり、休める様になっている。
この層にきてブルーゴブリンの特性が判明した。
ブルーゴブリン。奴らは水中での戦闘が上手い。
手に水掻きらしきものがあり、潜水可能時間も長い。
この海と言うフィールドは大いにブルーゴブリンの味方をしており、同時に此方の妨害にも繋がっている。
そんなゴブリンが集団で襲い掛かって来るのだから面倒くさい。
ドロップアイテムは、水石、水泡の棍、レッサーブルーゴブリンの肉、骨、血、表皮、頭蓋骨、魔石。
メイジのドロップアイテムは、水石、水精石、水泡の杖、レッサーブルーゴブリンメイジの肉、骨、血、表皮、頭蓋骨、魔石。
数は揃うので、良い値段になるだろう。
スライムとエレメントはとにかく厄介だ、とてもじゃないが奇襲を見抜けない。
その上一度に襲って来る数が多く、非常に面倒くさい。
ドロップ品は、水石、レッサーウォーターエレメントの魔石。
スライムの方は、水石、レッサーブルースライムの液体、魔石。
この階層で一番厄介なのは、やはり中ボスの大きな蛇だ。
幸いな事にこの階層は地面が砂で、水の明度が高い。
なので警戒するのは水弾だけだが、奴らは水弾に乗じて襲い掛かって来る事は無く、常に遠距離から攻撃して来る。
まともに相手をしていたら此方が削られ切ってしまう。
俺達だけの場合対処法は嵐を発動させて一気に接近する他無い。
途中からアマネさんが蛇のピット器官を正確に撃ち抜いてくれる様になったので接近自体は出来る様になった。
だが、地形効果は相変わらずで、近くまで行くと目で見る事が出来るらしく、その戦闘力に陰りは無い。
長い巨体で暴れまわり、大きく顎門を開いて腕や足を噛みちぎりに来る。
ドロップアイテムは、水精石、レッサーウォーターサーペントの革、肉、骨、血、牙、尾骨、魔石。
尾骨は形状が鋭い剣の様になっており、おそらく尻尾での攻撃もして来るのだろうと推測出来る。
戦いながら進む事長時間、地図スキルのお陰で迷う事は無く進む事が出来、おおよそ予想通りの位置に扉が見えて来た。
そして、その扉がある小島の前には——
「……かなり久し振りに鳥肌立ったぞ、俺」
「……俺もあれはちょっとな……交尾中か?」
「いっぱいうねうねしてますね! ……こうびってなんですか?」
「ふふ、セナちゃん、交尾って言うのはね——」
「——とりあえずっ! あれを如何にかする事を考えましょう」
アマネさんはこの状況で無垢な子供に何を教えようと言うのか。
まぁ、それは置いておこう。
扉の前にいたのは小型の蛇の大群。
それが絡まり合い球体状になっている。中には1匹か2匹大型の蛇がいる様で、チラチラとその体が見え隠れしている。
はっきり言って気持ち悪い。と言うか、怖いと言った方が正しいか。
どうやって倒せば良いのやら……。
◇
結論から言うと、四人で嵐を発動して突っ込んだ。
数百匹はいた蛇の大群を一気呵成に攻め倒し、驚く程のハイスピードで倒し切った。
ここでレベルも一つ上がり、今はレベル15、スキルポイントは65Pになった。
既に扉にある六つの宝玉は光を灯している。
「……行こう」
「おう」
「はい」
「行きましょう!」
「ふふ」
気合十分に、俺たちは最後の扉を潜り抜けた。
…………アマネさん……どうしてセナを見て微笑んでいるんですかね?




