第24話 戦いの終わり
第五位階下位
光が薄れ、その先の光景を見る事が出来る様になった。
真っ先に目に飛び込んで来たものは、天を衝く程に巨大な物体。
半ばから雲に隠れた巨大な壁、それが——
——真っ二つに分かれていた。
山の様にでかいそれが、ゆっくりと傾いて行く様は何処までも現実味が無かった。
先端が消滅している足が王都の近くまで伸びていたので、咄嗟に念力と念動を飛ばしてインベントリにしまった。
幸いな事にそれを察してくれたアルメリアさんが結界を一瞬だけ解除してくれたので、無事回収する事が出来た。
大海魔がいた海は酷い有様であった。
先ず第一に、海が割れていた。
王都から大海魔がいた場所へ向かって真っ二つに裂けていた。
巨大イカが消えたからか酷い暴風が吹き荒れ、陥没した海に海水が雪崩れ込んでいる。
何とも形容出来ない酷い災害の爪跡が其処にはあった。
……まぁ、問題が出たらその都度対処するとしよう。
王都東の草原も被害は甚大であった。
元々起伏が激しかった草原は更に激しさを増し、そして、何故か周辺一帯にやたらと草花が咲き乱れていた。
犯人はアルメリアさんであろう。
まぁ、良い。今日はもう疲れたので、色々な処理を終わらせてさっさと寝よう。
酷い暴風が止むのを待つ間に、周辺に散らばっている戦利品を全て回収、軽く段取りを決めた。
暴風が止み安全を確認したので、早速アルメリアさんに声を掛けようとしたのだが、ビャクラさんに話し掛けられた。
「ふむ、問題無さそうだな……ユキ殿」
「む?」
「それでは済まないが……後の事は頼んだ」
「むむ?」
ビャクラさんはそう言うと、黒い髪を元の白い髪に戻した。
後の事とは、ボコボコの草原を整地しろ。と言う事だろうか?
「それじゃあユキさん、私の事もお願いしますね〜」
「むむむ?」
シスターアルメリアはそう声をかけると、後光の様に差す光を収めた。
私の事も、とは一体どう言う事なのか。
言葉の意味を測りかねていると、唐突に、ビャクラさんが倒れた。
ドサッと前のめりに倒れ、ピクリとも動かない。
それに続く様に、シスターアルメリアも倒れた。
抱き抱えている僕を押し潰し、此方も同様にピクリとも動かない。
…………切り札を使った反動だろう。
シスターアルメリアの下から這い出し、リッドに命令した。
二人を図書館の客間へ運搬し、ベットに寝かせて警護する様に、と。
これで二人の事は問題無いだろう。
続いて、身内にメールを送った。
妹組には早く寝る様に言伝、他のメンバーにも労い等々の内容を綴ったメールを送信。
その後、草原にゲソを二本放置してティアを回収。担いで王城へと向かった。
プレイヤーの面々には、今回の報酬は大量の経験値とゲソ二本と言う事で納得して貰おう。
ティアの屋敷に着くとメイドさん達が待っていた。
道中復活したティアは、彼女らに労いの言葉をかけ今日はもう休む旨を伝えた。
今連れている配下は、ウルル、サンディア、白雪。
時間制限のある巨像さん達は送還し、他の子達は北の草原の子達と合流する様に命令してある。
さて、寝る前に戦利品の確認だけしておこうか。
ティアの部屋に、今回の戦利品を纏めて取り出した。
興味を持って近付いて来たのはティアだけ。
サンディアはミニ白雪を気に入った様子で、ベットの上で、気を失ったままの白雪を使って遊んでいた。
ウルルはベッドの横で寝そべりつつ、顔だけ此方に向けている。
軽く見て直ぐに寝よう。
先ず最初に確認したのは防具類。
悪魔紳士の紳士服は、珍しい男物の服である。
性能不明。
大海の歌姫は、何処と無く水着っぽさを含有したヒラヒラのドレスである。
おそらく、水中対応の装備なのだろう。
海鳴りの雫は、青い涙滴型の宝石が付いたネックレス。
性能不明。
海魔王の重軟鎧は、青っぽい色をした重鎧だが、柔軟性が高い。見た目に反して軽く、水中対応の装備だと思われる。
続いて武器。
悪魔の杖は、グリップが楕円形、傘の持ち手の様になっている黒い杖で、特に装飾は無い。
性能不明。
渦巻槍は、武器としては銛だが、柄から先端に掛けて魔法文字が刻まれている他、柄頭には青い宝石がはめ込まれ先端が捻れている。
見た所、魔法を行使する槍、魔槍の一種だが、魔法発動の為に必要な式句やそれに準ずる何かが分からないと使用出来ない。
対して嵐流槍は分かりやすい。
ある程度なら、魔力を勝手に吸収して意のままに風を操る事が出来る。
込められている魔法は水と風の二属性。
おそらく式句を唱えればより強い力を引き出せるのだろうが、今の鑑定のレベルでは情報を引き出せない。
大海の宝珠は、氷雪の宝珠と同系統のアイテムだろう。
水魔法を行使する際に役立つ物と思われるが、両宝珠共に僕の知らない力が秘められている可能性は高い。
事実として、氷雪の宝珠は白雪が魔法を行使した後からずっと白いままだ。
壊れたのか変質したのかは分からないが、感じる氷属性の力は一段強くなっている。
これはレイエル辺りに渡してみようかな?
大洋の調べは、宝珠や血刃と同じで浮遊して付いてくるアイテムだった。
見た目は、手の平サイズの小さな青い宝箱、所々に宝石や金の様な物で装飾された豪奢なオルゴールである。
開くと音楽を奏でるアイテムの様で、流れる曲は思考を反映して選ばれる……のかな?
内容は、眠気を誘う子守唄。時間的にもちょうどいい夜想曲。仄かに聖属性を感じる鎮魂歌他、哀歌、頌歌、舟歌などなど他色々。
どうやったらオルゴールでそんな音が出るのか、と言いたい様な、この小さい箱にどれだけの曲が入っているのか、と疑問に思う様な謎アイテムだが、まぁ良いだろう。
取り敢えずはこんな所。
オルゴールで子守唄を流し、サンディアとティアを寝かしつけてからログアウトして眠りに就いた。
明日は大変だろうね。
・大海魔の攻略 完




