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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第六節 大海魔の攻略

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第12話 パーティー 承

第五位階下位

 



 マレビトの入場が始まった。


 と、言っても、数が数なので、楽士隊が演奏を始めた以外に特に変化は無い。



 プレイヤー達は、ぞろぞろと押し込まれる様に入場して来るのだが……全員が入場し切るのに一体どれ程の時間が掛かるのやら。




 プレイヤー達を見回すと、全体的に装備の質が上がっているのが分かる。


 アンデットとの戦いの時は、集まったプレイヤーの7割から8割くらいが初期装備であったが、今は殆どのプレイヤーが初期より上位の装備を着込んでいる。


 蟹の甲殻を利用したと思われる青っぽい鎧や、犬の毛皮を利用したと思われる黒っぽい鎧、市販の金属鎧や革鎧等……言ってはなんだが全体的にゴミゴミしい。

 上から下までで統一感が無いのがその理由である。



 その中で、一際目立つのが鮮烈な青の全身鎧(フルプレート)の男と、白の鱗鎧(スケイルメイル)の男。タクとセイトである。


 武器は全体的に同じ規格の物ばかりだが、やはり身内が目立っている。



 身内以外に目立っているのは、


 魔鋼製と思われる全身鎧(フルプレート)を着込んで大剣を背負っている男。おそらく大剣士(だいけんし)だろう。


 初期装備で無手の生意気そうなちみっ子が拳姫だろうか、周囲が避けているらしく、ちみっ子なのに目立っている。


 後は、弓を持っている緑っぽい色の軽装鎧が沈黙の………………リナ?


 あの他者を寄せ付けないクールビューティー。間違いない、リナだ。

 リナもアナザーをやってたのか。


 そんな事を考えていると、リナと目があった。


 表情が動かないので分かり辛いが、驚愕に瞼をピクッと動かしたリナは、如何してか非常に慌てているらしい。

 取り敢えずウインクしておいた。


 後でフレンド登録しよう。



 さて、他は……む?



 ふと、何か奇妙な気配を感じた気がして周囲の魔力を伺うも、人が多いせいか、もとい装備がバラついて属性魔力が乱れてる為良く分からない。

 ただし、明らかにプレイヤーでは無い黒尽くめの者が何人か紛れ込んでいる様だ。


 やはり、プレイヤーと現地人を見極める術は無いのだろう。



「ユキ、そろそろだぞ」

「む? 分かった」



 色々と観察している間に、プレイヤーの入場が終わっていた様だ。



 楽士隊の奏でる音楽が変わり、会場の最も高い場所に現れたのは、昼とは違って豪華な衣装に身を包んだ王様。

 それに続いて現れたのが金髪にメガネのイケメン。それから、ティアよりも身長が低く豪華なドレスを着込んだ少女。


 王子と姫だろう。


 宰相と思わしき人物が前置きを述べてから、王様が語り始める。


 どうやら、声を広域まで届かせる魔道具を使っているらしい。



「此度の戦、大義であった。その功へ報いるため、此処にささやかな宴の場を用意した、心行くまで楽しんで——」



 それから、幾らかの話を終え、王子らしき人も軽く話をしてから、祝宴の始まりと相成った。



 王族が挨拶をしている間、後ろにいた姫ちゃんは周囲をキョロキョロと見回して、ティアを見付けるとニンマリと笑い、それからは終始ニコニコとしていた。



「ほら、ユキ」

「ん? ありがとう」



 ティアからアルルジュースの様な物を受け取りつつ、もしもの時の為に対処を講じておく。



「ところでティア、兄弟は何人いるの?」

「私を含めると6人だ」



 ほう? 残りの3名は何処に行かれたのやら。



「姉が2人、兄が2人、妹が1人。一番上の姉は他国に嫁いで行って、もう1人の姉は近衛の騎士と駆け落ち。もう1人の兄は冒険者になると言って出て行った」

「ふむ、中々特殊な兄弟だね」



 姉は駆け落ち、兄は冒険者へ、ティアは英雄願望、何ともユニークな連中だ。



 ティアと軽く雑談し、タク達にメールで連絡をしつつ王へ挨拶をする貴族達の様子を見ていたら、姫ちゃんが此方へ向かって来ているのに気付いた。


 挨拶を受けながらなので歩みは遅いが、確実に此方へ向かっている。



 くきゅるるぅぅ〜〜。



「……」

「ユキ、食べ物なら沢山あるぞ?」

「うん……」



 そう言えば、アナザーで朝食も昼食も食べていなかったね……。



 もそもそと空腹度回復をしていると、姫ちゃんが近くまでやって来た。


 豪華なドレスと言い、頭の上にちょんと乗ったティアラと言い、正にお姫様と言った風情である。



「ふぅ、やっと着いたわ。お姉さ……ま…………」



 身長は僕らより少し低い。だがまぁ、ティアの件もあるので、見た目相応の年齢か如何かは分からない。



「あぁ、メレネーア、久しいな。……? メレネーア?」



 どうやらメレネーアと言う名前らしい。うむ、メーアと呼ぼう。

 そのメーアは、僕を見た瞬間に硬直し動かなくなった。


 どうしたのやら、と思いながら首を傾げると、その動きがティアとシンクロした。

 ティアも首を傾げた以上、メーアが動きが急に止まるという奇病である可能性が無くなった。



 メーアは、そんな僕らを見るとビクッと肩を震わせ、頰を朱に染めて後退った。



「メレネーア、どうしたのだ?」

「にゃ、にゃんでもにゃいわ!」



 にゃんでもにゃいのね。


 メーアは、僕から視線を逸らし、ティアと話をし始めた。


 視線を逸らした割にはチラチラと見てくるので、見兼ねたティアが僕を紹介する。



「彼は私のユ……スノーだ。仲良くしてくれよ?」

「そ、そう、スノーね……私はメレネーア・ルベリオン、よ、よろしく」

「ご紹介に預かりました、スノーと申します。宜しくお願いしますね、メーア様」

「め、めめめ、メーア!? そ、そそ、その……よ、よろしく」



 ニコッと笑顔をブレンドするのも忘れない。

 と言うか、スノーモードの時は何時もニコニコしているが。


 メーアは、その呼び方に慌てていたが、不快では無い様だ。寧ろ嬉しそうなのでこのままで行こう。



 その後、メーアと幾らか雑談したが、どうやらメーアは背伸びしたいお年頃の様子。


 撫でようとすると嬉しそうにするが、撫でる前に手を掴まれてしまった。


 更に暫く話を続けたが、メーアもまだやる事が途中らしく、名残惜しそうに去って行った。



 その後は特に誰もやって来ないので、割と多くのプレイヤーからの視線を受けつつも、優雅にお食事をしながら周囲を警戒していると、ポツリと水滴が頰を叩いた。



 雨か…………む?



 料理が駄目になってしまうな。と思いながら、そっと視線を上へ向けると、遥か高い空から何か黒い影がゆっくりと降りてくるのが見えた。



 その黒い影は、最も高い所。


 即ち、王族の前へ優雅に舞い降り、ニヤリと嗤い——




「——さぁ、愉快な悲劇の幕開けとしましょう」




 ——その声は、如何してか良く響き渡った。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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