第2話 リザルト
第五位階下位
取り敢えず図書館の中でログアウトした。
朝と昼はタクのお母さんに作って貰ったが、夜は自作である。
最近はアナザーばっかりで、作り置き出来る物しか食べていない。
アヤはまだ戻って来ていないので、さっさと食べて寝る準備を終わらせてしまおう。
◇
アヤに書き置きを残してログインした。
やる事は沢山あるので、手早く済ませて行こう。
先ず最初は、リザルト、戦利品の確認からだ。
今回手に入れたアイテムで特に価値がありそうな物は、神結晶、結晶樹の種、結界結晶柱、の三種。
先ずは神結晶から見てみよう。
大きさはピンポン玉くらい、形はスライムの物と同じ正八面体で、込められた魔力量は僕の感知能力では良く感知出来ない。
感覚から言って、結晶大王蟹や古の不死賢王の魔石と同じくらい。
例のあれを経験したから分かるが、これらにはフィールド制限の力と似た、言うなれば神の力の様な物が内包されている。
今の僕には手に余る代物だ。
インベントリに特別ファイルを作って、魔石共々大事にしまっておこう。
次に、結晶樹の種だ。
大きさは少し大きめの手のひらサイズ。形状は両錘、ダブルターミネーテッドと言われる形で、その中央には丸い物が埋まっている。
名前に種と入っているのでこれが種なのだろう。
どうすれば良いのかまるで見当がつかない、土に埋めて水をあげれば良い。と言う訳ではないだろうし。
これも神結晶と同じ所に入れておく。
最後に結界結晶柱だが、これは屋内では出せないので外へ出る。
大きさは王都の地下にある巨大結晶の半分程。非常に大きな結晶で、魔力保持容量も巨大。
張れる結界も色々と自由が効き、安全地帯の結界と同じ物も作れる様だ。
要するに、携帯出来る大結界である。
今の所使い道は無いので、神結晶と同じ所へ。
次は他のアイテムの確認だ、入手した物は、7つ。
森妖精のお守りは、髪を纏めるバレッタ。
小悪鬼王の蛮剣は、片身がノコギリの様にギザギザした大剣で、正に野蛮な見た目の剣である。
小悪鬼王の蛮鎧は、動きやすさを重視した要所を守る作りの服で、サイズはちゃんと所持者に合わせて変わる様だ。
前がガバッと開かれているので、中のインナーが普通に見える仕様になっている。
おそらく、普通のゴブリンキングが着たら鍛え上げられた筋肉を見せて他者を威嚇する、と言う感じの作りなのだろう。
試しに換装に登録し、装備して見る。
「『換装』……あれ?」
胸元に感じた違和感から目線を下に下げると、インナーが消失していた。
そう言えば、換装で装備を変えるとインナーの形状も変化するのを忘れていた。
今回の場合は、最初に考察した通りゴブリンキングの服としてのコンセプトに従って、筋肉を見せつける様な見た目の服。
僕の場合は、丹田の辺りから鎖骨まで、白い柔々な肌が丸見えで——
「ん?」
瞬間、換装の時と同じ光がシュワッと現れ、胸元に黒いインナーが現れた。
何だろう? バグ? 事故? ……謎である。
取り敢えず害は無い様なので、次に向かう。
次は、小悪鬼王の王証。
王証と言っても王冠の様な豪奢な物ではなく、何かの動物の牙と思わしき物で作られたネックレスである。
言うなれば、戦士の証、だろうか? ゴブリンの場合はこう言った強さの表明が王の証なのだろう。
戦闘民族、或いは狩猟民族である。
小悪鬼王シリーズを全部装備すると、僕の見た目は完全に野生児であった。
続いて迷宮短剣。
これは、見た目からして何の変哲も無いただの剣である。
何の装飾も無い無骨な短剣だ。
迷宮転移門と迷宮脱出門は内部に複雑な魔法陣が描かれた透明な丸い玉で、迷宮内部に設置して使うらしい。
迷宮内部で使用すると周囲に魔物避けの結界が張られ、迷宮入り口付近に転移出来る魔法陣が現れるらしい。
何度でも使用可能で、入り口から内部へも行けるらしい。
内部にある方の転移門を一度でも使用すれば、誰でも自由に使えるのだとか。
脱出門の方は、脱出にのみ使える様だ。
戦利品の確認は此処まで。
次は……真銀の十字騎士巨像の修復をしようか。
と、言ってもやる事は単純。
悪魔的な外見になっているのを『解呪』や『祝福』、『福音』『聖なる光』などで浄化すれば元に戻る。
悪魔の呪による汚染度が高いので、『聖なる光』の出力でやった方が良いだろう。
「『聖なる光』」
呪文を唱えると、僕の背後から後光が射して……スパーンッと悪魔的な外見のそれを貫いた。
光が晴れた先には、十字剣と十字が描かれた盾を持つ騎士の姿が……どうやら上手く汚染を浄化出来たらしい。
続いて、解析を行う。
既に十字騎士が死んでいる場合は、蘇生にならない。
彼の記憶が残っていれば、上手く蘇生出来る事だろう。
「……ふむふむ…………うむ」
ざっと見た感じ、大丈夫そうだ。
どうやら僕が破壊したのは悪魔の核だけで、その破片はホーリーレイで完全に浄化され、ただの魔石片になっていた。
十字騎士の核は罅割れて一部が失われていたが、これくらいならスカーレットナイトの時よりもずっとましである。
今の僕では記憶情報を読み取る事は出来ないが、多分大丈夫だろう。
早速蘇生に取り掛かる。
用意するのは、大量の魔石を合成し上位変換した魔水晶。
騎士像の大きさが大きさなので、錬金布は敷けない。
「『生命創造』」
十字騎士さんが光に包まれ、それが晴れると…………成功。
十字騎士さんは手足を動かした後に周りを見渡し、僕に目を付けた。
「……汝、救済者よ。呪しき悪魔に蝕まれしこの身を、聖浄なる御霊にて浄化し、剰え、我が魂をすら救い出して頂いた。何と礼をして良いやら……」
どうやら、取り憑かれていた間の記憶があるらしい。
お礼がしたいとの事なので、折角だから聞いてみようか。
「お礼ね……なら、僕の配下になってくれるかな?」
「我が身が貴女様の行く道の助けとなるならば、それこそ望外の幸運。剣を振るしか能の無い我が身、我が剣を御身に捧げよう」
そう行って十字騎士さんは例の古い王に捧げる礼をとった。
愚問だっただろうか? まぁ、良いだろう。早速テイムしよう。
「それじゃあこれから宜しく。『上位契約』」
上位契約は、十字騎士さんの従属術式を完全に払拭し、新たに僕の従属術式を書き込んだ。
戦力増強、成功である。




