第1話 元遺跡の新商品
※80万PV達成
※キーワードに『強者続出』『異世界?』を追加
第五位階下位
此処が異世界だからと言って僕がやる事が大きく変わる訳ではない。
元々本から魔法等の技術を学ぶつもりだったし、歴史や生物なんかにも興味はあった。
今後も力を付けて行くのは変わらない。
結局の所、異世界であろうとゲームであろうと、僕は僕のやりたい様にやるだけだ。
取り敢えず今しがた手に入れたスキルや、条件反射的にインベントリにしまったアイテムの確認を——
「——捕まえたの」
「むぐっ」
——しようとしたら何かに捕まった。
まぁ、声と喋り方から間違い無くアルネアなのだけど。
「何があったか話すの。離さないの」
「むぐぐっ」
分かり辛い言い方だったが意味は分かった。
口から手を離してくれないと話せないよ……。
◇
「——わかったの。無事なら良いのよ?」
あの後、藻掻いても離してくれなさそうだったので死んだふりをしたら離してくれた。
一体何がアルネアにそうさせたのか知らないが……気が動転していたのかもしれない。
何でも、嫌な気配が現れると同時に力が急激に抜けて行ったのだとか。
行動に差し障る程では無いが、このままの速度で力が抜けて行ったら嫌な気配の奴に殺されるかもしれないと思い……まだ力のある内に僕を助けに行こうとしたらしい。
そして、何やら嫌な気配に続いて良い気配が現れ、轟音が響き渡り大地が鳴動し……駆け付けたら崖が崩れていて、その近くで僕がもそもそしていたので捕まえたらしい。
嫌な気配も良い気配も無くなっている上、力が吸い取られる感覚も無いので、何かが終わった事は分かるものの他は全くわかっていなかった様だ。
と言う事で、事の顛末を手早く説明した。
話しの最中、僕がマレビトだという事も説明したのだが、『……何と無くそんな気もしていたの、何と無くなの』との事。
セバスチャンさんも気付いた様なのだけど……マレビトかそうじゃ無いかを見抜く術があるのだろうか?
「そう言ってくれると嬉しいよ……勝手に力を吸われたみたいだけどね……」
「神とやらが勝手なのは今に始まった事じゃ無いの。いつも通りよ。なの」
僕のちょっとした心配も、アルネアにとっては茶飯事だったらしい。
誰かの真似事をするかの様にそう言って笑ったアルネアは、何処か嬉しそうに見えた。
◇
「それじゃあまたね、なの。絶対にまたね、なのよ?」
「うん、またね」
アルネアに元遺跡まで送って貰った後、彼女が霧の森の方へ帰って行くのを見送った。
わざわざ絶対に、と強調したのは、『永遠の眠り』を警戒しての事だろう。
その『永遠の眠り』についても詳しい調査が必要だ。
夕食まではまだ時間があるので、取り敢えず拠点に行く。
アイ達が頑張ってくれたので魔石が幾らかある、本の修復をしなければ。
元遺跡の街で、商店を物色しながら進むと中々に面白い物を発見した。
魔除け石 品質A レア度4 耐久力C
備考:『起動』と唱えると使用出来る。使用すると弱い魔物が近付いて来なくなる石
結界石 品質A レア度5 耐久力B
備考:『起動』と唱えると使用出来、『停止』と唱えると解除出来る。使用すると隠密性の高い結界を張る石
魔除け石の方は、式句を唱えると、中に封じられている竜種の魔力が僅かずつ溢れ出す作りになっている。
確かに竜の気配が近くにあれば逃げ出したくなるのも分かると言う物だ。
……逆に竜なら何かあるかと近付いて来る可能性もあるが。
効果時間は8時間。
消耗品にしては値段が高く、兎100匹分程だった。
結界石の方は、一つだと円形の結界を作り、その範囲は直径2メートル程。
2つだとただの壁になってしまって殆ど意味が無くなり、3つだと、一辺最大2.5メートル、高さ2メートルの三角柱の結界になる。
効果時間は、魔力が尽きるまで。
連続稼働時間は最大12時間で、魔力の自動収集能力が付与されているので、繰り返し使える。
正規の運用方法は、複数の結界石を等間隔に並べて多角形の結界を張る事だろう。
お値段は兎200匹分。高い。気がする。
その他に、宿屋で鍵が売られていた。
どうやら、家が買える様になったらしい。
この街は小さいので、家の数も少ない。転移門もあるし、結界も張られているので、王都で拠点を買うよりこっちで買った方が合理的だろう。
件の家は借りる事も出来る様だ。
日数は、10日で兎10匹分、30日で兎25匹、180日で兎132匹分、365日で兎269匹分。
……因みに……購入した家を貸家に出来るらしい。
長期的なスパンで見るなら買った方が良いかも知れないが、今後転移門がある此処よりも良い場所が此処と同じ様に拠点になっていて家が売っていたら、其方の方が需要が高くなる筈。
どのみち今ある魔石では、買えて平均的な値段の一軒のみ。
つい先程手に入れた神結晶なら家を全て買えるかも知れないが、神結晶の使い道は追い追い考えて行こう。
全て見終わると、転移門まで進み拠点へ転移した。
拠点に着くと早速復活したワーカーゴーレム達を放流する。大きくなれよ。
……と言うか、レギオンに入っているので今も僅かずつ成長中である。
続いて、主要な建物や石畳の修復を行う。
主要な建物とは、図書館の事である。
費用は、図書館の大きさがそこそこあるのでややお高いが、特に問題は無い。
それよりも、本をさっさと修復してしまいたい。
◇
「ふむ……」
本の修復は手早く済んだ。
本棚毎にインベントリに収納し、一括で修復を掛ける事が出来たからだ。
その後は、図書館内部の椅子や机を修復して回り、全て終わった所で本を確認した。
手に入れた本は多くが指南書や専門書の様な物であった。それも、何人でも借りられる様に複数同じ物がある。
使えるのは、図鑑、絵本童話、魔法系等の本くらいの物で、歴史書、年代記等は一切無かった。
まぁ、魔法の本があっただけ随分とマシである。
取り敢えず全ての本を画像スキルで保存して、整理、分類、のスキルでファイル分けをした。
これでいつでも情報を取得出来る。
その後は、農園で幾らかの野菜や果物を回収したり、ソルジャーゴーレムとワーカーゴーレム・ファーマーを放出して農園の整備をする様に命令した。
尚、彼等には、拠点の道具屋で見本になっていた『収納袋』と言うアイテムを持たせてある。
このアイテムは、スキル『インベントリ』の下位互換である『アイテムボックス』の更に下のアイテムである。
元遺跡の街でも売っていて、スキルよりもずっと安いので、今後のプレイヤーが買うのはこの『収納袋』と『結界石』だろう。
そんなこんなで夕食の時間である。




