第19話 託されしモノ
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第四位階上位?
地の底から響き渡る咆哮は、様々な負の感情を滲ませた不快な物で、それは如何してか……断末魔の叫びにも聞こえた。
どう言う状況かは何となく分かっている。
唐突に降りた【天命】、その内容『負の欠片を抹消せよ』。
2人から聞いた話と僕が見た事、本に記された大戦の内容から、あのゴブリンキングは黒い魔物の生き残り、或いはそれに近い何かだろう。
僕が下手に追い込んだせいでゴブリンキングに何かが起こった。そう考えるのが妥当か。
「ふむ……」
【天命】には『加護を授ける』と書かれていた。
それは事実の様で、ゴブリンキングの雄叫びらしき声が聞こえた後即座に加護が掛けられたみたいだ。
体の奥底から強大な力が溢れ出し、それが全身に行き渡っているのが分かる。
良く観察して見ると、相当に質の高い複数種の魔力である事が分かった。
それだけでなく、
内側の深い場所にあって全く動かせない強力な何か。
あるのは分かるのにピクリとも動いてくれない何か。
自在に動かせるけど何かは分からない金色の粒子。
と、本当に何だか良く分からない三種の魔力らしき物があった。
これが仕様であるなら鑑定で分かる筈だ。
ユキ LV? 状態:『魔導王の加護』 『闘仙の加護』 『聖天人の加護』 『奈落魔王蜘蛛の加護』 『操血の吸血鬼の加護』 『雷撃の吸血鬼の加護』 『吸血鬼・真祖の加護』 『???犬姫の加護』 『結晶大王蟹の加護』 『古の不死賢王の加護』 『??の天秤の加護』 『??殲滅兵の加護』 『??狼女帝の加護』 『???竜帝の加護』 『??古龍王の加護』 『???の加護』 『ーーの加護』
……まぁ、そんな事もあるのだろう……あるのだろうか?
ハテナマークで表記されている部分は、伏せられている情報と考えて間違い無い。
通常状態での鑑定でも、レベルが足りなかったり情報が足りなかったりするとハテナマークで伏せられてしまう。
今回の場合、結晶大王蟹と古の不死賢王が伏せられていないので鑑定で分かる内容をわざと伏せて表記させられた物と考えられる。
一番最後の加護は、鑑定スキルではどう足掻いても分かりませんよ。と言う意味なのだろう。
加護の内容を見るに、おそらく此処から程近い場所にいる強者から力を徴収したのでは無いだろうか?
加護の中には、幾つか心当たりのある物があった。
奈落魔王蜘蛛なんかはタイムリーな名前である。
他は、闘仙。
これは自称人間最強の仙術使いさんの事ではなかろうか? と言うかザイエだろう。だとすると、魔導王は爺様の事で……聖天人はシスターアルメリアだ。
……と言うかザイエ、人間じゃない。これからは亜人最強の仙術使いと名乗るべきである。
吸血鬼の加護は遺跡の塔にいる三人だろう。
雷撃がセバスチャンさんなら操血は食いしん坊メイドさん、真祖は小さな屋敷の中に居た見た事が無い人の筈だ。
他は……犬は白羅さんの事かな?
狼はあの巨大狼さん。
龍は流星山脈の龍だろう、本当に居たのね。
加護についての多少の考察と、その力を確認した。
これ程までに大量の加護を受けておいて何なのだけど…………過剰だ。
地下深くから感じる気配は確かに異常だが、感じ取れる力の総量は今の僕と比べるととても少ない。
【天命】には参加条件と達成条件、失敗条件の表記が無かった、だが、其々を推測する事は出来る。
参加条件は、『負の欠片』に一番近い人物。である可能性もあるが、既にいなくなっている結晶大王蟹と古の不死賢王の加護がある事から、僕だけが選ばれた。と言う可能性もある。
達成条件は天命の内容にもある通り、『負の欠片』の抹消だ。撃退でも討伐でも無く抹消である。
過剰なまでの加護から鑑みて、肉一片血一滴すら残さず消し去る事を求められている。
失敗条件は、以前にあった失敗条件の『王都が滅びる』より酷い事になるのかもしれない。
わざわざ天命と言う形でこれだけの力を寄越すのだから……大戦の内容を考えると『大陸が滅ぶ』か『世界が滅ぶ』あたりが妥当だろう。
まぁ要するに【天命】とは、これだけ加護をやったんだから何があっても絶対にやれよ。と言うメッセージなのだ。
過剰、と言うよりも、何処か必死さを感じる。
【緊急クエスト】で良さそうな物を、わざわざ【天命】としている事からも、これを設定した者の必死さが伺える。様な気がする。
まぁ、これだけお膳立てされればやらない訳にもいかないだろう。
レベルの欄が些か不安だが、体に満ち溢れるパワーは今なら空を走れそうな程。
取り敢えずウルル達は力不足だろうから送還しておこう。
「皆、悪いんだけど……え?」
僕が背後へ視線を向けると、配下の皆がパタパタと倒れ始めた所だった。
「これは……おっと」
一番近くにいた白雪がふらりと倒れそうになったので、咄嗟に支える。
……白雪は人型だからか優先的に体が助けに動いてしまうらしい、まぁ仕方ないか。
白雪 雪精姫 LV238 状態:弱体化 昏睡
驚きである。
なんと、白雪のレベルは238、僕より53も上だった。
状態の弱体化は僕が魔力を吸い上げたのが原因だろう。
……いや、白雪が本に戻らないのが原因か。
問題は昏睡、周りの子達も同じ状態異常になっている。
何が原因なのかは直ぐに思い至った。
——ゴブリンキングの咆哮だ。
あの不快な雄叫び、それ以外に原因となりそうな物は無い。
契約していれば死んでも蘇生出来るので、送還すれば昏睡くらいなら如何にかしてくれるだろう。
どの道送還するつもりだったので、倒れている全員を纏めて送還した。
全員を撫でてから送り届け、禍々しい気配を垂れ流す洞窟へと向き直る。
……さて、どうしてくれようか?




