第11話 チョチョイっとね
第八位階下位
闇より尚濃い暗黒を纏い、縦横無尽に駆けるルーミラとヴリコラカス。
刃は闇そのものであり、迸る無数の斬撃は降り頻る雨の様だった。
サンディアはそんな闇雨の尽くを読み解き、振り払って見せる。
血も影も使わない、サンディアの持つ剣技の冴え。
それは制限された器に入る神霊の技を打ち払い、少しずつ、少しずつ上回って行く。
一方蟹達は、此方も激しい攻勢意思の衝突の末、広大な海を破壊し尽くし、街以外の全てを塵に変えていた。
どちらも間も無く決着となるだろう。
◇
《【運命クエスト】『凶魔四皇:深海の蟲王』をクリアしました》
【運命クエスト】
『凶魔四皇:深海の蟲王』
参加条件
・深海の蟲王を討伐する
達成条件
・深海の蟲王を討伐する
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
・武器『深海の宝珠』
・武器『深淵の白腕』
・防具『深淵の白鎧』
・スキル結晶『昆虫創造』
・スキル結晶『無呼吸耐性』×5
・スキル結晶『水圧耐性』×5
・スキル結晶『極寒耐性』
・スキル結晶『灼熱耐性』
エクストラ評価報酬
金月が輝く夜
ダンジョンマスター
ボス『ナイト・ヴァンパイア・エンプレス』の討伐
・スキルポイント35P
・道具『異界迷宮・金月の海辺:引換券』
・武器『夜の宝珠』
・武器『夜猫』
・武器『殺到する夜』
・スキル結晶『暗所耐性』
戦いは無事終わり、サンディアとクリカは順当にルーミラとエスカータを撃破した。
流石のサンディアも剣術と体術だけではルーミラとヴリコラカスの連撃を捌ききれず、体の各所で浅い被弾を受け止める戦法に切り替えていたが、それもまた再生力の高い彼女等の戦い方の一つである。
クリカの方は、肉弾戦からエスカータの得意技による炎熱と氷結を交えた魔法武闘に移行し、クリカ自身も得意な複数属性をコントロールして、派手な花火になって暴れていた。
辺りは暴風雨に溶岩、凍結、雷、他諸々に晒されて大気中の精霊がぐちゃぐちゃになっている。何ならヒートアップするに連れて気も使わなくなって街まで粉々になりそうだったので、地上で暴れさせたら決着が着く頃には大陸も海に沈んでいる事だろう。
報酬は、2つの宝珠に幾らかのスキル結晶。他装備。
メインのエスカータの装備は、白い重そうな全身鎧に、同じく白い腕甲。
方向性は防御型だが、両者はそれぞれに火と氷の属性が強く練り込まれ、鎧は火系統や氷系統への強い耐性、腕甲はそれらの操作に高い適性がある。
性能としてはレベル650程度で、僕が諸々やって能力を引き出しても700に至るくらいか、そこから更に諸々付け足しても750が精々だろう。
それだけのしっかりとした器のある神器級ではあるが……相反する火と氷の属性を有用に使える者と言うと限られる。
バラして使わせる事も出来るだろうが、折角だから水晶宮にセットした。
クリカの背甲結晶を使って水晶宮に建設した各種の属性塔。
その火と氷の属性塔に強化神器を入れて、属性エネルギーの産出や高濃度化の触媒として利用する訳である。
やがては信仰を受けてクリカの神器とする為、着色したり装飾したり名前を変えたりした。
一方全身鎧の方は、クリカの幹部級になってもらう予定の元魚造人間もどき、ヒューナに与えた。
まだまだ弱いが、今尚ゆっくり数を増やしている群体でそれぞれスキルを磨き、知識を付けている所なので、やがてはその鎧に相応しい存在になれるだろう。
続けて、サブ、と言うにはメインと伍するルーミラの報酬。
武器、夜猫は例の猫の因子を持つ真っ黒な闇属性の直剣だ。
性能は十分神器級であり、夜と闇の神性を受容出来る良い器である。
ではこれを誰に与えるか?
勿論サンディアの部下の吸血鬼に与える事になる訳だが、幹部には既に神器級、試練級や準試練級の装備が与えられている為、それ以下に与える事となる。
対象は3……いや4人。
桃月の忠臣エレノアチャンか、革命失敗のエングレイ君か、吸血鬼モドキだったアンリース。もしくはもう一人。
誰に与えても良いが、桃月ことアンテが持つ武器は準試練級なので、その部下のエレノアに試練級の武器を渡すとアンテもエレノアもキレるだろう。
エングレイ君は先ずは己を鍛え直すと奮起しているので、今暫く強いばかりの武器はいらないだろう。
アンリースも、自らの弱さは認める所で、鍛えている最中なので、あまり強い武器を渡されても手に余るだろう。
では、どうするか。
最後の4人目用に調節して植え付けるのが良いだろう。
そう、4人目こと、フォーレンの首輪。
赤系統に少しばかり霊合し、僕の因子を保因しており、曲がりなりにも幾度もの死を越えた有望株。
ポテンシャルでは月の王達にも届き得るし、赤系統なら神性とも上手く折り合いを付けられるだろう。
取り敢えず夜猫を分解し、幼女の肉体に織り込んで行く。
同時に夜猫の魂を幼女の魂に織り込んで行く。
彼女はそんなに強いモノでは無いが、赤系統や僕因子と言う強いフックがあるので、それをベースに夜猫の強靭な魂を取り押さえ、段階的に調伏して行く。
まぁ、完全に調節してしまっても良いが、それだと能力面でどうしても弱体化してしまうので、素材の味はそのままにして、いつか幼女ちゃんが自力で夜猫を使役出来る様になれば良い。
夜猫自体がレヴァンティンみたいな聞かん坊では無いので、暴走の危険性はそんなに無い。
かと言って順従でも無いので、使役出来る様になるには些か時間が必要だろうが、まぁ問題は無いな。
こうして完成した新生幼女には、キスカと言う名を与えた。
最後に、殺到する夜。
此方は、それこそ他3人の誰かに与えても良かったが、折角遺骨から作られたリングと言う属性を持つので、血竜骸の素材にする事を提案した。
それに対しサンディアが用意したのは3つ、大量の狼系統魔獣の肉片とそれらの魔石、それから僕とサンディアと竜血鬼の血をブレンドした危険物。
サンディアはこれらの素材を血竜骸にぶちまけ、血竜骸を起動した。
白骨の像は肉片や魔石、血液をぐちゃぐちゃと取り込み、遺骨のリングの吸収に難儀しながらぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ粘つく不快な音を立てて変形して行く。
変わり行く様をじっと見守っていると、案の定と言うか、僕因子が動きを見せた。
猫の額程の僕因子は擦り寄って来るサンディア因子を統合し、竜血鬼因子を制圧して、ぐちゃぐちゃしている狼因子をギュンギュン取り込んで、血竜骸へ決戦をしかけた。
瞬きの間も無く鎮圧された血竜骸の機能を最大限用いて、狼因子を練磨、それを橋頭堡に同じく狼因子を持つ殺到する夜に侵食を仕掛け、分解吸収。
全ての特性を美味しく頂きつつ、取り込んで自らに合一化し、肉片だった者達は光を纏いながら変形、一つの生物へと昇華された。
鈴月鬼狼・亜種 LV750MAX
現れたのは、黒をベースに銀の模様が走る、竜っぽい翼を持った狼。
どうやら、鈴月鬼化した狼の亜種になったらしい。
僕因子なんて全体の1%も無いのに凄まじい侵食効果である。
特に血竜骸の特性である肉片の蝙蝠竜の因子がほぼ食い潰されて竜の部分しか残って無い。
何なら竜の部分もほぼ竜血鬼因子による物だ。
徹底的に利用されて優雅じゃない部分とかいらない部分とかは全部斬り捨てられていた。
尻尾を振りたくって竜巻を起こすベルノルスを撫で摩り、後をサンディアに任せた。
如何様にも使ってあげて欲しい。




