掌話 燦然と戦果 十四
第四位階中位
エンペラー撃破後、勝者の特権として、玉座とかその裏に隠されていた宝箱とか旗とか光る石とかを根こそぎ回収し、待機組と合流した。
「ラットマンエンペラー、討ち取ったりぃー!」
「イェーイ!」
「やりましたね!」
エンペラーの頭をバックから出して見せつつ、ノリの良い連中とやんややんやする。
冷静に考えると大将首晒してやんややんやは流石に戦国時代過ぎるが、俺等は血を浴び過ぎちまったので仕方ない事とする。
後に残るは雑魚の殲滅のみ。
召喚可能時間とか残りMPとかかなりキツイかもしれないが、幸いポーションは在庫があるし、まぁ何とかなるだろう。
「最後の大詰め! 皆、気張って行こう!」
『応!』
兄貴の一声に応じ、掃討戦を開始した。
◇
【緊急クエスト】【村クエスト】
『大山鳴動せし鼠の大群』
参加条件
・ラットマンの殲滅に参加する
達成条件
・ラットマンを殲滅する
失敗条件
・ラットマンの殲滅に失敗する
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント3P
・防具『大鼠の指輪』
・道具『無地のチケットの欠片』
・道具『白のお食事券』
・道具『白の抽選券』
参加者選択報酬
・道具『白紙のモンスターカード』
・道具『ぬいぐるみ:ラットマン』
・MC『50,000MC』
参加者条件達成報酬
千人斬り
万人斬り
ラットマンジェネラル討伐×2
ラットマンキング討伐×3
クリア報酬
千人斬り
・道具『ラットマンウォーリアの武勲証』
・道具『ラットマンアーチャーの武勲証』
・道具『ラットマンナイトの武勲証』
・道具『ラットマンメイジの武勲証』
・道具『大鼠の札×10』
クリア報酬
万人斬り
・道具『ラットマンジェネラルの武勲証』
・道具『大鼠の札×100』
クリア報酬
ラットマンジェネラル討伐×2
・武器『ラットマンの歯喰い剣』
・道具『ラットマンジェネラルの武勲証』
・武器『ラットマンの歯穿弓』
・道具『ラットマンジェネラルの武勲証』
クリア報酬
ラットマンキング討伐×3
・武器『ラットマンの牙鋼盾』
・道具『ラットマンキングの武勲証』
・道具『無地のチケット』
・道具『銅の抽選券』
・道具『ラットマンキングの武勲証』
・道具『無地のチケット』
・道具『銅の抽選券』
・武器『ラットマンの牙穿弓』
・道具『無地のチケット』
パーティー共用資金からお金を出して、適当に美味そうな食い物や飲み物を買い、大樹の洞亭に戻った。
庭に椅子や机を並べ、真っ昼間から始まったのは祝勝会。
出来合いもあるが、自分達で焼くのも楽しいもんで、びーびーきゅーを楽しむ。
そんな中でも、実利的な話も進めて行った。
大規模クエストクリア後の売買会である。
俺で言うなら、大盾や剣がいらないし、弓も一つで良い。
現状ではスピリトーゾがドール兵団を組織しようとしているので、割と強めな今回の報酬装備はもってこいの代物。
加えて、ソライロがネズミ軍団を組織する予定の様で、カードとドロップ装備を買い集めていたので、身内内で装備とか武勲証とかを捌き終えた。
それらが落ち着いて来た所で、いよいよ肝心の話だ。
今回のイベントに置ける、エンペラー討伐の最高報酬。
兄貴はそのアイテム、光る文字の書かれた羊皮紙を持ち、話し始めた。
「これの使い方だけど、手前勝手に決めさせて貰った」
ワクワクしながら、その先を待つ。
「改めてこのアイテムの詳細を確認するね。このアイテムの名前は、アライアンス結成書。売価はたったの1万MCなんだけど、その1000倍は価値のあるアイテムだね」
トンと机に置かれたそれに、皆の注目が集まる。
「アライアンスって言うのは連合って言う意味で、ゲーム的にはプレイヤーの集団を一つの組織に集約出来る機能だそうだ」
良くあるいわゆるギルドとかそう言う奴だな。
その後も、兄貴の説明は続く。
アライアンスを結成するメリットは、主にAPと言うポイントを使った便利機能の追加や、一時的だが強力な強化バフ、永続的な能力向上バフや成長速度バフなんかの付与。
件のAPはアライアンスメンバーがクエストをクリアしたり敵を倒すと溜まって行く。
それと同時にアライアンスレベルとやらも上がり、レベル1毎に100人までアライアンスメンバーを増やせるんだとか。
コレが、現時点でたったの4個。その後の追加は未定と来たもんだ。
当然その価値は跳ね上がる。
どの程度になるか分からないが、凄まじい価値を秘めているのは間違いない。
その使い道を、兄貴が決めたってんなら、それは間違いねぇんだろうな。
果たして——
「それでコレなんだけど……」
『……』
態々タメを作る兄貴に、一層注目が集まり——
「——大剣士に売る事にした」
「ほほぅ」
「ふむぅ」
「なるほど」
「たしかに」
「ふーん」
それぞれがそれぞれの反応を示す。
確かに、大剣士の一団は今鍛錬島の上位の迷宮を攻略している所で、側近レベルの奴等は皆鍛錬島にいる。
大剣士達はアライアンス結成書を持ってないだろうから、需要は確実にあるし、買い手としては申し分ない。
問題はどのくらいで買い取って貰えるかだが……普通なら情報が知れ渡った時が最大の売値になる。だけどそれを待ってたら他の誰か3人に先を越されるかもしれない。
まぁ、大剣士なら結構な額を提示してもポンと買い取ってくれそうだが……それでも、兄貴の言う1000万くらいが限度だろうな。
そうと思っていると、兄貴は言い放った。
「——ただで」
「ほーん?」
「ふーん?」
「へぇー?」
「はへぇ?」
…………ただ……?
◇◆◇
上位迷宮の攻略準備を進めていると、そのメッセージは届いた。
「……アライアンス、か」
メッセージの主は、ナル。海狩りの兄だ。
「……佐助」
「はっ」
「裏取りだ」
「承知」
すっと消えた佐助にメッセージを転写して送り、少し考える。
まぁ、海狩りの兄貴だ、内容に間違いはあるまい。嘘は無い前提で素早く動く方が良いだろう。
それにしても……こんな大規模イベントが発生しているとは思わなかったし、その報酬がコレとはな……大人数を率いる身としては失態と言われても仕方ない。
そう言う点から見ても、この話は渡りに船だ。
イベント自体には参加出来なかったが、アライアンス結成書は確保出来る。それも信頼の置ける筋から。
言い値で買うのが礼儀だろう。
交渉したいとの旨で締め括られるメッセージを閉じ、ナルへコールした。
『……こんにちは、大剣士。メッセージは見てくれたみたいだね』
「ああ、壮健の様で何よりだ」
『お陰様でね』
少しの会話を挟み、早速本題に入る。
「早速だが本題に入る。例の物、アライアンス結成書だが……言い値で買う。額を言ってくれ」
『それなんだけどねぇ……』
さて、何千万か……億は流石にキツイが、今日の上位迷宮の攻略を成功させて金を集めれば何とか行けるだろう。
ナルは少しの間を置いて、応えた。
『……ただで渡すよ』
「……」
……想定していなかった訳では無い。
そもそも、このイベントに乗れなかった時点で一手遅れている。その上で1番強烈な手を打たれた。それだけだ。
「ふ、くく……分かった。遣いを出そう。場所は?」
『それには及ばないよ、攻略開始は1時からだっけ? 11時にはそっちに向かう』
「分かった。時間を空けておこう」
『それじゃあ失礼するね』
「ああ、また後で」
通話が切れた所で、ぐっと背筋を伸ばした。
……借り一つ、か。
「まったく……良い参謀がいる物だな」




