掌話 燦然と戦果 八
第四位階中位
出費に嘆きながらテントを出ると、既に皆が集まりつつあった。
後続に交代するや、兄貴が声を掛けてくれる。
「話聞いてたよ。皆もマジックバックを1日レンタルした方が良いかもねぇ」
そんな事を言いつつ、兄貴が取り出したのは大鼠の指輪と大鼠の札。それから各モンスターカード。
取り敢えずモンスターカードを受け取りつつ、兄貴の言葉を待つ。
「これらを鑑定して貰った結果だけど、大鼠の指輪は売価3万MCで、レベル5相当のラットマンを1時間召喚するアイテム。白紙のモンスターカードに合成して貰うと10万MCでラットマンレベル5を召喚可能になるらしい。コスパ的には正直悪いけどラットマンが欲しい人は買うかもね」
「たしかし」
「わかりみ」
えー、鼠のモンスターカードが1万MCで、先ず魂の保護で5万、それをレベル5にすると……7万MC。進化させると1万MC。合計14万MC。
一方指輪を使う方は、白紙のモンスターカードが10万MC。指輪が3万MC。魂の保護が5万MCで、カードのラットマン化に10万MC。合計28万MC。ちょうど倍だな。
ってか、そもそも鼠からラットマンに進化出来るのか? もしかしたらお嬢のカエルみたいに特殊な進化条件があったりするのかも。
……まてよ? お嬢のカエルは水魔法の指輪を消費して進化させてたから、ラットマンも指輪を使って進化させる事が出来るのでは?
となるともし出来たら……14万にプラス指輪代の3万、計17万でレベル5ラットマンが作れるな。
ラットマンの戦闘力次第では試してみても良いかも。
「こっちの御札は、大鼠の札。売価は1枚5,000MCで、使うとレベル5相当のラットマンを1時間召喚できる消費アイテムだね。こっちも、御札5枚と白紙のモンスターカードでラットマンレベル5を召喚可能になるらしいよ」
「レベル5かー」
「戦力にはならないわね」
まぁ、水増しか囮かってレベルだよな。
「最後に武勲証だけど、モンスターカードに使うとスキルの取得や強化に使える他、進化ルートの分岐条件にもなるとか。後は装備の強化にも使えて、性能の向上だったり武技の取得が出来るんだって」
「新しい専用武技が取得出来るかもって事だね」
「それはアツいわー」
……ジェネラルの武勲証、モンスターカードの強化じゃなくて歯喰い剣の強化に使ってたら良かったかもな。
まぁ、もう一体狩れるチャンスはあるだろ。そん時に貰えればラッキーと思っておこう。
そんなこんなで皆がそれぞれの補給と準備を進め、そうこうしてる内に他のプレイヤー達も中央広場に集まり始めた。
僅かずつだが続々とプレイヤー達が集結しつつある様で、さっきは見なかった顔もちらほら見られる。
防衛戦の次は攻城戦。多分敵の規模は先の防衛戦以上だろうし、報酬が楽しみだなぁ。
◇
防衛戦の規模から攻城戦の規模を推し量るに、流石にワンマンでは攻め切れない。
バラバラに挑んでも無駄に厳しいだけと皆悟ったか、割と有名プレイヤーであるカイトや俺達に、複数のパーティーが連盟を申し込んで来た。
それを受け入れ、スキルの育ってるカイトをリーダーにレギオンを編成、各パーティーのリーダーをレギオンに組み込む形の多重編成レギオンを構築した。
多重編成レギオンのメリットは、レギオンに編成可能な人数の最大6倍の人数でレギオンを組める事。
デメリットは……まぁ無いに等しいが、強いて言うなら、レギメンであれば検索を掛けてHPバーを確認できるが、違うパティメンのHPバーは確認出来ない点。
経験値の分配に関しては、何かおかしいと言う話は聞かないし、体感だがレベルの高い者は実力も高いので、その辺上手く出来ているんだろう。
レギオン参加のプレイヤー数は、パーティーを加えると106人になり、規模としては中々見ない戦力だ。
そんな軍勢で森を西進する事暫し、我先にと先行していたプレイヤー達の戦闘音が聞こえて来た。
森を抜けると、そこにあったのは——
「……まじかー」
——大きな砦。
数メートルはある空堀に、木製の壁と防衛設備。
開かれた戦場には多くの血痕とドロップアイテム、矢や石等が転がり、魔法らしき痕跡がちらほら見られた。
ほぼ虐殺と言っていい目に遭った様だ。
先行したプレイヤーが空堀に掛かる橋の上で盾を構えているのが見える。
しかしそれも、壁の上から射かけられる矢や投石、魔法が殺到しており、間も無くドロップアイテムを残して青白い粒子へと変わった。
生き残った数名のプレイヤーが此方側に駆けて来る。
さてー……これ、どうしたもんかね。




