第13話 順当に
第四位階下位
人によって事情は異なる。
シークエルは堕天した。
これは、シークエルが僕を認識するに当たり、仕方のない事だった。
元より、シークエルは堕天が始まっていたのだ。
髪の色こそ、個人の属性色による紫色のままだが、目の色は赤く、翼は黒く染まっていた。
まぁ、そうなるケースもあるだろうとは思ったが、よりによって町の支配者であるアルケーがなるとは……多少面倒である。
取り急ぎ表に出る事があれば、それは副統括のパルミエにやって貰い、シークエルは暫く表舞台から降りて貰うのが良いだろう。
折角表に出ないのならば、堕天もしている事だし、同じく熾天使から名を貰った者同士、クルーエルとスパニエル同様に訓練を課して、対天界決戦兵器になって貰うのが良いだろう。
また、シークエルの持つ役職、アルケーについても、本体から連絡が来た。
堕天使 シークエル LV307MAX
どうやら、シークエルの持つアルケーと言う役職、また種族は、光輪を通して魂に重なる様にしてシークエルに力を与えている様だ。
その為、シークエルは基礎レベルが100代の所を200も底上げされ、戦闘力を大幅に増大させている。
この役職は上位者の任命によって付与され、解任によって回収されるらしい。
詳しい所は良く分からないが、役職の任命はジョブスキルの付与に極めて酷似しており、同時に迷宮における支配や、神降ろし、神懸かりにも似ている。
この事から、天界は地上と異なり迷宮の様な特殊構造の世界であり、信仰をベースにした加護と言える物を、最初の到達者が自在に下々へ与える事が出来る世界、と言う推測が出来る。
しかし、もしその様な構造が存在するなら……役職に信仰によるブーストが掛かる事が容易に予測されるので、時間経過により力が増大していくと考えられる。
それが現す事は、天界とは、神ないし星霊を生み出す為に、世界から自然的に発生する星辰炉なのかもしれない。
実際には行って、触れてみないと分からないが、やり方次第では強力な神性を獲得出来るかもしれない。
シークエルに関しては取り敢えずこれで良いとして、次は町の管理だ。
シークエルが抜けた手前、何か変化があるかと言うと、これが現時点では無い。
町の管理はパルミエでも十分出来るし、今は他所の町との取り引きも無い。
と言う訳で、これにて一つの町の支配は完了したと言えるだろう。
今回の一例を参考に、今後の支配を効率化していく。
差し当たり、次は分体を増やして、一気呵成にやって行くのが良いだろう。
一応天使は精霊種なので相応の警戒はしていたが、誰もが光輪をまともに使い熟せていないし、それでいて必要な時は光輪頼りだから精霊種としての感応能力も低いと来た。
逆に言うと光輪を使ってる時は危ない訳だが、それにしても、騙し切るのは容易である。
幸にして、天使達は同じ天使総軍への扱いこそ悪いが、悪意なき人間はただの無害な下等種であり、警戒の対象では無い。
よって人間の中に混ざってしまえば、僕が複数いてもバレないと言う算段だ。
……ただし、天使達は後腐れ無い欲望の捌け口として聖乙女とやらを利用しており、相手が人間と言えども容姿が整っていれば顔を覚えるくらいの事は出来る様なので、顔を合わせたら強引にでも触れに行かねばならないだろう。
やるのならばまさに、一気呵成。
モデルケースも出来たし、情報も出揃った。
唯一迷宮のある都市の天使達の動きが明確では無いが、それも警戒する程の事では無いだろう。
本体の夕食が終わり次第、事情の似通った都市に襲撃を仕掛けよう。
◇
程なくして夜。
日が暮れ、人間達が家にこもる時間。
2体目のアルケーへの討ち入りを行なった。
村への襲撃は容易だった。
天使達も、幾ら照らせるとは言え暗闇の中活動する必要性は然程感じていない様で、それぞれが宿舎で休憩していたからだ。
シスターに扮して話があると声掛けると、天使達から邪険にされる事も無く部屋に受け入れられ、自然な流れでボディータッチが発生する。
中には先客がいるケースもあったが、天使でないなら問題は無く、無事各村の制圧が完了した。
続けて町は、門が閉まっていたので不法侵入、各自宿舎にいる天使達を籠絡して周ろうとした所で、僕と同じ様に秘密裏に広域に察知能力を展開している天使に気付き、先にそっちから行く事とした。
この都市のアルケーだ。
何をしているのかと思ったら、ただの覗き。一応部下達の弱みを握り色々と利用してやろうと考えての事と言い訳していたが、実際には部下の1人に執着しての事。
容姿と固有魔力が好みにドストライクだった部下をどうにかして手籠にしようとあれこれ画策していた様だ。
まぁ、そう言う事もあろうな。
クルーエルもそれで元友達を蹴り飛ばして辺境に飛ばされた訳だし。
取り敢えず大局に影響は無く、その後も聖乙女を連れ込んでたり天使同士でしっぽりやってたりする天使達を一息にぴぴぴと籠絡して、町の支配を終えた。
これで、今日の活動は終わりだ。
深夜は本体が眠りに付くので、僕も長い休憩となる。
まぁ、明日にはシャンディリア教国の完全な支配が終わるだろう。




