第10話 天使を攻略
第四位階下位
クラウリアを救い出した所で、いよいよシャンディリア教国への討ち入りである。
森を歩み小川を越えて進む事暫し、視界が開けた。
そこは、木々がバッサリ薙ぎ倒された、開墾現場の様な場所だった。
広域に渡って地面には根だけが残されて開かれた森の跡。
遠くには村と広大な農地が見える。
大方、天使が開拓の手伝いで木々を薙ぎ倒したのだろう。
やがては根も天使が引っこ抜くに違いない。
そんな事を思いつつ切り株を縫って進んでいると、敵が接近してきた。
見上げた空には、天使の影。
「ちょっと君、こんな所で何をしてるの」
「迷子かも」
「かもってねぇ…………」
天使 カリーノ LV31
ただの天使、カリーノ君は、金髪に緑色の瞳の天使だった。
そんなカリーノ君は、僕の側に降り立ち、暫し僕をじっと見つめた後、首を振る。
「……き、君、シスター養成校の生徒……だったらもっと有名か」
何を考えたか分からないが、無防備だ。
僕は少女の手に触れた。
「え……あ、ぅ」
洗脳ぴぴぴと情報群を叩き込み、天使カリーノを仲間にした。
僕が唯一偉大な神となると天使が堕天してバレてしまうので、聖神様もやがて僕の傘下に降る予定と言う方向での情報開示だ。
天使カリーノはふらりと倒れそうになるも、そのまま膝を付く姿勢に移行した。
「ユキ様、総軍所属のカリーノと申します、どうぞよろしくお願いします」
「状況は分かるね」
「はい! ご案内します」
嬉々として頷く彼女に案内されるがままに村へと進む。
住民の人間達は僕が気になる様子だったが、真面目な顔した天使が連れているとあっては何か語りかける事も無く、ただ仕事を続けていた。
程なくして、村で1番豪華な建物に付く。
そのまま天使カリーノに付いて行くと、カリーノはある部屋の扉をノックした。
「総軍所属カリーノです、スリズエ様、報告に参りました」
「ふん、入りなさい」
中に入るや、カリーノが膝を付き、僕もそれに合わせて膝を付いた。
部屋に入る際に見えたのは、桃髪の天使だ。
上級天使 スリズエ LV54
「それで……そこの人の子は何」
「都市のアルケー様よりスリズエ様専属シスターの配属があった様です」
「! ふーん、流石、シークエル様はやはり私達を見て下さっている……!」
何やらスリズエ君は喜んだ後、僕の前に立つ。
「貴女、顔をあげなさい」
「はい」
「っ!」
僕が顔をあげると、スリズエ君は驚いた様に息を飲んだ。
「……少し幼いわね、まぁ良いでしょう。ふふふ」
ニヤニヤ微笑んでいるが、無防備である。
僕はスリズエの手を握った。
「あら、積極て、き……」
洗脳ぴぴぴ。
「ところでカリーノ、専属シスターって何?」
「私の口からはちょっと……」
言えない様な役職って事ね。それにしてもアドリブが上手いじゃないか。
「それじゃあスリズエ、よろしくね」
「は、はい、ユキ様! お任せください」
スリズエがこの村所属の天使に呼び掛けるのを見つつ、スリズエから回収された情報を整理する。
どうやら、天使達は少数精鋭でこの国を管理している様で、この村に配属されている天使は4人。
天使総軍所属の天使が3人に、護信軍所属の天使が1人で村を管理しているらしい。
やってる事は力仕事が主で、それを行なっているのは基本的に総軍の天使達。
護信軍所属のスリズエの仕事は、総軍への指示と、収穫された小麦や野菜、肉等食糧が、しっかり不備なく街に届くかの管理らしい。
まぁ、場合によっては総軍の兵士3人を率いて魔物や迷宮を討伐する事もある様だが、専門の総軍のパトロール部隊が巡回しているので、そう言った事は稀なんだそうだ。
どうしても時間が無かったりで被害が大きくなる様だったら動くのだとか。
そんなこんなで暫し待つと、天使が2名やって来た。
スリズエに跪く2人をぴぴぴっとして味方にした。
「それじゃあ3人はそのまま任務続行。カリーノは僕の案内をする様に」
「「「「はっ!」」」」
跪く4人の天使に僕は微笑み、直ぐに次の行動に移った。
その後、天使同伴と言うカードを手にした事で、僕は周辺の村2つに怪しまれずに潜入、即座の制圧に成功した。




