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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十七節 ?????

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第2話 堕ちた神

第八位階下位

 



 そう、この山の正体は、星核機装船(マシナリー・ノア)の一部、即ち、イヴ・ハルモニアの拠点だ。


 竜寝殿同様に、リスク分散の為に切り離された船の一部である。


 その土地で目立たない為、土や石を被り木々を生やして山に擬態しているが、飛ぼうと思えば飛べると思われる。

 この規模の擬態自体は、多少手間だがやろうと思えばレベル600もあれば可能だ。


 イヴ程の存在であれば、山への擬態くらい自由自在である。



「エヴァを呼びましたか」

「ちょうど呼ぼうと思ってた所だよ」



 勝手に来たエヴァを快く迎え、取り敢えず金属扉が行おうとしていた体のサーチを拒否する。



「イヴ・ハルモニア、会いに来たよ。エヴァからデータを受け取って」

「エヴァは未来のイヴにデータを送信、しました」



 暫しエヴァがぴこぴこと不審な動きをした後、門が開かれた。



『どうぞ、ユキ』

「イヴは常識アップデート中だとエヴァは報告します」

「ふむ」



 取り敢えず、この機体にはイヴが残ってる様で良かった。


 これは神の回帰に繋がる快挙である。


 ただ、エヴァの常識をイヴにアップデートって所が凄く不安ではある。


 ともあれ、僕等は綺麗な真っ白の廊下へ歩みを進めた。



『常識アップデートが完了しました』

「イヴのアップデートが完了したとエヴァは報告します」

「そりゃ良かった?」



 良かったのか? 僕が手ずからアップデートした方が良かったんじゃないか? 一抹の不安が居座ってぴこぴこしている。


 何はともあれ、長い廊下を延々と進む。



『ユキがやろうとしている事は分かっています』

「エヴァも分かっています」

「そう、じゃあ遠慮なく」



 邪魔しないと言う事は納得していると言う事だ。

 イヴも、もう既に分かっていたのだろう。


 エヴァは知らんが。



『ユキ、申し訳ありません』

「イヴがユキに謝っています」

「謝罪は不要だ。手向けは功績故だよ」



 このままだと延々と謝罪を受けそうだから、長い廊下を飛びながら進む。


 程なくして、目的地に到着した。


 そこにあるのは、他の門より豪華で、今までの機能美とは打って変わった、言ってしまえば俗物的な装飾の門だった。


 大きな門は開かれる。


 見えて来たのは、玉座。


 コントロールルームでは無く、権威以外の何の機能も無いただの玉座だ。


 そこには、白髪の美男子が腰掛けていた。



「ようやく来たか、良い。近う寄れ」



 王冠を被り、金銀財宝で自らを装飾するその王は、ニヤニヤと笑みを浮かべて僕を招く。


 僕はそれに従い、豪華に彩られた玉座の間をまっすぐ歩む。



 ——虚飾だ。


 空虚な彼にはきっと、それしか無かったのだろう。



 ——イヴの判断ミス。


 ……そう断定出来ないのは、命の尊さ故か。



「ふふふ、美しい娘だ」

「当然」



 僕の美貌たるや宇宙一である。



 まぁ、そんな事より、だ。



 伸びて来た青年の手を取る。


 驚く彼に構わず、その頭を抱き寄せた。



 せめてもの慈愛を持って彼を送ろう。



「ごめんね。僕には君を、救えない」

「なに、を……?」



 その肉体を紐解き、魂を解いて行く。


 せめて、その最後が、苦しく無い様に。



 只人の身で——何百年(・・・)生かされたのか。



 代替わりなんてしていない。彼はずっと彼のまま……いや、そうでも無いか。



 その魂は、壊れる端から神血(イコル)が補填して、その働きを代行していた。

 後に残ったのは、まるで不死者の願望の様に、哀れな欲望のみ。


 イヴの手によって補正された欲望は、イヴの手によって幻覚と言う形で満たされ、ただただ無意に生かされる。


 ——それはもはや生きた屍。


 少なくとも、彼自身では無い。


 かつての彼の残り滓。



「あ、あぁ……俺は……儂は何と言う事を……」

「大丈夫……心配しないで」



 情報を与えるのは負荷になるが、どうにかイヴの10年の嘘を暴露して安心させてから逝かせてやった。



「あぁ……すまない……」

「後は任せて、ゆっくり、おやすみ」



 神血(イコル)の補填を抜かれた魂は、瞬く間に崩壊を引き起こし、数多の粒子に分かれて大気に拡散して行く。


 これを見るのは、3度目か。


 1度目は賢神グリエル。2度目は、厳密には魂では無いが人形の魔女オルメスの残留思念。そして今回の、山の神と崇められた只人。



 魂の完全な崩壊。


 次の無い、終わりの見送り。


 これにはどうにも気が沈まざるを得ない。



 今回の崩壊の原因は、本来肉体が死ぬ所を延々と延命された事による物だ。


 寿命を越えて生きるには、魂の格を上げなければならない。


 レベル二桁前半では、これも致し方ない結果だ。



《【運命(ディスティニー)クエスト】『堕ちた神』をクリアしました》



「……」



 僕は暫し黙祷し、神血(イコル)が抜かれた事で魔力への分解が始まった肉体の分解を補助、その魔力を回収する。



「……さて、行こうか」

「エヴァは頷きます」

『案内します、ユキ』



 目的は、此処にある全てだ。



 

 



 明けましておめでとうございます。


 今年も宜しくお願いします。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
明けましておめでとうございます。 今年もユキがユキする(?)日々を楽しませていただきます。 それにしても動機がなんにせよ長い間守り神をしていたのにこの最後は悲しいですね。
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