第8話 吸血鬼達の最後
第四位階上位
ニヤニヤと笑って油断している吸血鬼達の頭上へ、眼球程度の大きさに圧縮された血刃を移動させる。
「ふはは! 逃げ出した腰抜けの姫を追い掛けてみれば、これ程の一品に出会えるとはな!!」
「全くですぜ、ゼルニー男爵様! これとあの欠陥品を持ち帰れば王からの覚えもめでたく、陞爵も間違いなしですぜ!」
逃げ出した腰抜けの姫、とは、あの家出少女の事で間違い無いだろう。
そして、偉そうな奴はゼルニー男爵と言うらしい。
ヴァンパイアはかなり大きな社会を形成している可能性がある。要注意だ。
「はっ、馬鹿者め! あれ程の血、早々見つかる事は無いのだぞ! 我が所有する最も血の良い者に孕まさせてその中から一番質の悪い物を献上すれば事足りるわ!!」
「さ、さすがゼルニー男爵閣下。確かにあの血なら増やして多少質が落ちてもデランド伯爵のとこの人間牧場より良い物が作れますぜ。そうしたら陞爵もより早くなりますな!」
どうやら僕を捕獲して増やすつもりらしい、人間牧場と言う言葉も気になる所だ。
「ふっ、見てみろ、後ろの人間共も中々に旨そうな血よ。全て捕らえたら特別報酬をくれてやる、低俗な貴様等にはあの中からメスの1匹くらいくれてやろう」
「へへっ、そいつはありがてぇ。そうだな……あの銀髪の横を歩いてる赤髪の奴、ちっこいから締まりも良さそうだし、ぐちゃぐちゃに犯してヒィヒィ言わせてやるぜ!」
…………ほう?
……蚊トンボ風情が…………良くもまぁ…………。
「ふ、フフフ」
「スノーさ……お、おにぃちゃん?」
「何でも御座いませんよ? アヤお嬢様」
「す、スノーさん? そ、そうなの」
「ええ、何でも御座いません」
ちょっと気が乱れたらしい。
怯えるアヤは置いておいて、どの様に甚振って壊すかと考える思考も傍に寄せる。
取り敢えずさっさと分断して、耳障りな口を塞いでやろう。
未だに、どれが一番良く鳴くかと笑いながら話し合い、僕の動きに気付いていない連中、その頭上に血刃を移動させる。
全員にわかる様に手信号で合図を送り、血刃を展開。
「うわぁ……」
呆れ返った様なタクの声。
空から降り注いだ血の滝は、油断していた吸血鬼を一瞬で飲み込んで溢れかえった。
上手く操作して分断したので、後は各個潰すのみだ。
「それでは各自、手際良く捌きましょうね?」
全員に声を掛けた後、強化スキルを使ってから僕が向かったのは一番偉そう奴の所。
もはやこの時点で、1匹も逃さないと言う目的は達成されたと言って相違ない。
何故なら、全てのヴァンパイアを血の檻に閉じ込めているからだ。
上からみれば巨大な花の様な形になっている血のオブジェの花弁に穴を開けて進み最深部へと入り込む。
周りの壁を防音の物へと変形させ、内部の音が外に漏れでないようにする。
最深部の真ん中にある、花で言うなら胚珠の部分。そこに捕らえていた偉そうな奴の頭だけを外へ取り出した。
「ぷはっ! はぁはぁ、何と甘美な——がぁぁぁぁああ!?」
最初は何も言わずに痛め付けるのが効果的。
泣いて懇願する様になっても痛め付ける。
ただ傷付けるだけだとヴァンパイアには効果が薄い。
魔力を込めて傷付けると痛みが通る。
聖や光の属性なら尚良し。
骨を折るのは当然。
肉を削ぎ落とすのも良い。
指を捩じ切って目に押し込んでみようか?
ヴァンパイアは頑丈だし、簡単には壊れないよね?
大丈夫。
ポーションはまだまだ沢山。
たーくさん。
あるからね?
◇
《《【王国クエスト】【緊急クエスト】『吸血鬼の襲撃』を『匿名』がクリアしました》》
《【王国クエスト】【緊急クエスト】『吸血鬼の襲撃』をクリアしました》
《《
【王国クエスト】【緊急クエスト】
『吸血鬼の襲撃』
参加条件
・吸血鬼の一団と戦闘する
達成条件
・吸血鬼の一団を殲滅、撃退する
失敗条件
・吸血鬼の一団に街を滅ぼされる
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5〜8P
全体報酬
・新スキル解放
》》
【王国クエスト】【緊急クエスト】
『吸血鬼の襲撃』
参加条件
・襲撃者『ヴァンパイア・ノーブル アスター・ゼルニー』率いる複数のヴァンパイアとの戦闘
達成条件
・襲撃者『ヴァンパイア・ノーブル アスター・ゼルニー』とその配下を殲滅、または撃退
失敗条件
・街が滅びる
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント8P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度82%ーー96%
・武器『吸血剣』
・防具『吸血鬼の外套』
・スキル結晶『吸血耐性』×17
・スキル結晶『闇耐性』×12
・スキル結晶『魅了耐性』×8
エクストラ評価報酬
尋問者
非人道
狂人
操血の達人
・スキルポイント2P
・スキル『尋問』
・スキル『交渉』
・スキル『痛撃』
・スキル『手加減』
・スキル『念力』
全体報酬
・新スキル解放
・進化条件の緩和
さて、何やら正気を失っていた気がするが、そこそこ多くの情報とヴァンパイア・ノーブルの魔石を入手した。
穢らわしい血は解呪を掛けて消毒してから血刃の糧にし、状況の終了を確認したので強化スキルを全て解除した。
新しく手に入れた装備は、
吸血剣が赤黒い剣で、柄の部分に赤い宝石の様な物がついている。
吸血鬼の外套は、外側が黒くて内側は赤いマントだ。
スキルの方は『念力』スキルだが、内容を見るに『念動』スキルとの違いが良く分からない。
他にも幾らかのスキルを入手出来たので、気分としては上々である。




