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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十七節 ?????

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幕間 スパニエルの黎明

第三位階上位

 



 お父さんとお母さんは、いつも優しく頭を撫でてくれた。


 そんな2人が、人前では帽子を絶対に取ってはいけないと言ったから、それをずっと守って来た。


 2人が帰って来なくなってからも。


 天使総軍と言うのに入れられてからも。



 暫くして、お父さんとお母さんが、何で帽子を取ってはいけないと言っていたのか、何となく分かる様になった。



 皆、私の様な耳が無かった。



 おかしいのは、私だけだった。



 日々、言われた仕事をこなしながら、白い粉を練った味気の無いご飯を食べる。


 それだけの日々だったけど、ある時から、友達が沢山出来た。



『ちょっと、スパなんとか? こっちの掃除やっといてよ』

『……う、うん』



『おい、スパ……まぁいいや、おまえ、この荷物運んどいて』

『……ま、任せて』



『配給これじゃ足りないからさ、皆に分けてよ?』

『……そ、それじゃあ、私のご飯』

『え? 友達でしょ?』

『……う、うん、分かった』



 時々ご飯は無くなっちゃうけど、皆がニコニコ笑ってるのが嬉しかった。


 そんなある日の事だった。



『魔界行き!? はぁぁ!? 何であたし達が魔界なんて行かなきゃいけないのよ!!』

『ありえない! 死ねって言ってる様な物じゃないか!』

『ふざけんじゃ無いわよ!!』

『あぐっ』



 皆が怒っている時静かにしてないと叩かれる、だから静かにしてたのに、蹴られた。



『うぅ』

『全部おまえのせいだろ!』

『落ちこぼれなんかに関わったのが間違いだったわ!』

『あんた、まさか告げ口したんじゃないでしょうね!』

『ぁぅ、な、何もしてな——うぐっ』



 その日は何でか皆に蹴られて、叩かれた。


 それから、いつのまにか私も魔界行きに立候補した事になっていた。


 何もしてないけど、皆と一緒だ。





『ごめんね、叩いたりして』

『……う、ううん』

『そうだよな、友達だもんな』

『友達だから許してくれるよね』

『……だ、大丈夫』



 魔界に行ったら、前と同じで皆が優しくなった。


 掃除とか、荷物運びとか、敵と戦ったりとか、大変だったけど、皆がニコニコしてくれるから、頑張った。


 毎日、毎日。



『ちゃんと敵を引き付けなさいよ! 怪我したじゃない!』

『……ご、ごめんね』



 毎日、毎日。



『お、おい、あの数はまず……おい、いつも通り囮、やれよ?』

『……わ、分かった』



 毎日。



『!? 帰って……さ、さっきのは危ないから撤退しようって言ったのよ?』

『……き、聞こえなかった』

『……な、なにそれ、私達が嘘ついたって言いたい訳? 友達でしょ!』

『……き、聞いてなかった』

『そ、そうよ! 気を付けなさいよね! 私達の足を引っ張らないで!』

『……ごめんなさい』



 毎日、気付けば謝ってた。


 何でか分からないけど、謝ってた。



 そんな日々が続いたある日——



『な、なんで敵がこんなに!』

『嘘だろ! おい、囲まれ、ぎゃぁぁ!』

『他の奴等は何してるの!』



 遠征とかで、凄い数で西? に行った。


 そこで、凄い数の黒い敵に囲まれた。



『あ、危ない!』

『きゃ!』



 友達を1人助けたら、他の友達が黒い敵に囲まれ、森の中に連れてかれた。



『う……ぎゃ』

『おごっ、た、助けろ!! ぐげっ』

『ひっ、あ、あんた何でもっとちゃんと守らないのよ!!』

『げ、限界!』



 友達が死んだ。


 私には何も出来なかった。


 言い訳を言う事しか、出来なかった。





 どうにか、黒い敵が友達を食べている間に、逃げ出す事が出来た。


 そこで私は叩かれた。


 その拍子に、帽子が取れる。



『あんたのせいよ! あんたがもっとちゃんとして……あ、あんたそれ』

『っ、ち、違くて』



 その時の友達の目は、まるで化け物を見たかの様な、何処までも、拒絶の目だった。



『あ、あんた、獣……け、穢らわしい! 来ないで!』

『ち、違う、これは……』



 言い訳しようとしたけど、何て言ったら良いか分からなかった。



『そんな物を隠して! やっぱり全部あんたのせいだわ!! 魔界堕ちも! 皆が悪魔に殺されたのも!』

『あ、あう、違くて』



 何とか、その拒絶の目を変えたくて、私は言った。



『……と、友達、でしょ?』

『はぁ!!? あんたなんか、友達でも何でも無いわよ!』

『え……』



 何かが崩れた様な気がした。



『獣が! 天使の振りをして私達に近付いて! 全部あんたのせいだわ!! どっか行ってよ! 消えなさい!』

『う……』



 何を言っても無駄なんだなと思った。


 友達だったのに、それは友達じゃなくて、そして私は天使でもなくて。



 じゃあ、何だったんだろう……?



 お父さん、お母さん、会いたいな。



 私は友達だと、同胞だと思っていた何かを置いて、闇色の森に駆け出した。


 後ろで血の匂いと悲鳴がしたけど、それはもう、私には関係のない物だった。





 闇を駆ける。


 いつもは2足で走っていたけど、今は自然と4足で走っていた。


 そちらの方が、私には当たり前だったみたいだ。


 羽で姿勢を制御して、闇を駆け抜ける。



 何処に向かっているのか? 分からないけど、こっちの方が良い匂いがした。



 黒い敵が現れる。


 それへ噛み付き、引きちぎり、切り裂いた。


 いつもは武器を持って戦っていたけど、そちらの方が、私には当たり前だったみたい。



 次々と出て来る敵を切り裂き、闇を駆ける。



 私は誰なんだろう?



 私は何なんだろう?



 お父さん、お母さん、会いたい。



 私を、教えて——



 不意に、闇に足を取られた。


 世界がひっくり返る。



『これはペルセポネのじゃない』

『うん?』



 黒い敵だ、そう思って牙を剥くも、何も出来ない。


 そうと思ってる内に、投げ飛ばされ、良い匂いの何かに包まれる。



『グルル』

『ふーむ、スパニエル』



 ……そう、私はスパニエルだった。


 お父さんとお母さんがそう呼んでいた。


 そう言えば、友達は一度も私の事を呼んではいなかった。



『よしよーし』

『グルルくぅーん、くぅーん』



 その手はお父さんとお母さんだった。


 楽しいと嬉しいに包まれていた頃を思い出す。



 私はそう、スパニエル。獣で、天使に似ていて、そして……この、多分お母さんの多分子供?


 違うかもしれない。



『……友達?』

『うん? 仲間か、もしくは保護者だね』

『ホゴシャ』



 ホゴシャが何か分からないけど、多分お母さんの多分子供であってるに違いない。



『……お母さん?』

『……それで良いよ』



 やっぱり。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
やはりユキちゃんはママであることから逃れることはできなさそうですね
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