第13話 拾い物
第八位階下位
最後に、グラシア。
先ずは明らかに普通では無い悪魔、アロカントだが、肉体は白変種の悪魔である。
名前は生まれ付いて名乗っていた様だが、その魂はずばり、転生者の物だ。
詳しい所は分からないが、相当に古い悪魔である事は間違いないので、旧ルステリア帝国時代よりも更に前の転生者だ。
色々とポジティブで、どんな事が起きても何とかなると思っている節があるので、ローネリアに出会っていなかったら何処かであっさり死んでいただろう。
続けて、アルマロンだが、此方は程々に才ある1,000年生きた古き悪魔だ。
悪魔ですらレベル300の壁を中々越えられない中で、自力でそれを越えた点は評価出来るが、その程度でもある。
最後に、ローネリア。
例によって、堕天の悪魔王だった者。
レベル800に迫る強者であり、グラシアを今まで率いて来た実質支配者。
肉体は熾天使級の堕天使であり、名義だけがディアリードの配下にあった為か特に肉体にも魂にも仕込みは無い。
肝心の記憶情報は多岐に渡り、極めて有用であった。
先ずは、悪魔王達。
かつて僕が調べた情報、七聖賢の伝説やレーベからの情報等と組み合わせると、現在生存していると見られる悪魔王は、配下を除いて3体。
真の悪魔王・ディアリードに、獅子頭の悪魔王・アルギバエ、そして淫魔の悪魔王・ツァーリムだ。
勿論敵の手札が残りこれだけの筈は無いが、新たに1,000年生きたツァーリムと言う脅威が警戒対象に加わった形である。
アホだから何処かで死んでいるんじゃないかと思っていたが、順当に生きているらしい。
続けて、かつてのディアリードの本拠地があった場所。即ち七聖賢の一人、クロエ・ベルベットがいる可能性のあるエリアについて。
これは、魔界の中心だ。
グラシアの本拠地は魔界の北北西辺りとの事なので概ね南南東に向かえば、七聖賢の生き残りと出会えるかもしれない。
まぁ、何百年もその場に留まっているならばの、望み薄な可能性だ。
そして最後に、今後の重要情報、天使達の情報だ。
ただし、彼女の持っていた天使の情報は相当昔なので、使えそうな情報は一つだけ。
——熾天使の数とちょっとした情報に、名前だ。
まぁ、それだけ分かれば十分ではある。
熾天使の数は残り5体。
光の属性に特化した、熾天使達の中のいいんちょ族、アメシリア。
竜の因子を持ち、猫被りらしい幼女、ガウルリア。
火の属性を強く持ち、騎士の如く振る舞う、絶壁のアレフリア。
研究大好きで引きこもり気質の少女、ルーイリア。
金の因子を持つ天真爛漫なイデアリア。
1,000年で欠けていなければこの5体が天界にいる筈だ。
値千金の情報である。
まぁ、1,000年もあるのだ、仮にその熾天使達が全員レベル800でも不思議では無いし、増えていてもおかしくは無い。
単体の想定をレベル800として、それが10体くらいの想定でいよう。
ローネリアからは中々良い情報を得られた。
後は、グラシアの引っ剥がした街を学園都市オムニメイガスに移転する事で、オムニメイガスの歴史の増大を計る。
それから、引っこ抜いた神典碑を改造し、リブラリアの知覚系能力の補強装備を作った。
とまぁ、今回の魔界遠征で得られたのこんな物だろう。
「これはペルセポネの」
四方の大戦から逃れる為か、元グラシアの平地にはあちこちから悪魔獣が駆け込んで来る。
ペルセポネはそれをザラザラッと摘み食いし、楽しそうである。
「これもペルセポネの」
いや、それにしても、初めての魔界遠征は中々に豊漁だった。
次回もこうとは行かないだろうが、それに準ずる勢いだと——
「これはペルセポネのじゃない」
「うん?」
「グルルッ」
ひょいっと投げ渡されたソレをキャッチする。
ソレは、狼だった。
ただし、光輪と天使の翼を持つ、狼耳の天使だが。
スパニエル LV82
「グルルッ!」
「ふーむ、スパニエル……よしよーし」
「グルルくぅーん、くぅーん」
一体何処から紛れ込んで来たやら、分からない事も無い。
大方、此処からずっと東にある天使の前哨拠点から追い出され、這々の体で此処まで辿り着いたのだろう。
それは、頭に引っかかっている大きな帽子の残骸や、ボロボロの服が物語っている。
水色の髪を撫で、長いそれにくっ付いた枝葉を落とす。
「こっちはペルセポネの」
「ほら、ペルセポネ、帰るよ」
「……ペルセポネは、物足りない」
「……ガリオンって樹木系統だからルメ——」
「——帰る」
「そう、じゃあ帰ろうか」
そんな短い会話の間にスパニエルを調べたが、特段罠という事も無い。
どうやら、名はクルーエル同様に熾天使から与えられた物らしく、狼耳を隠して生活していた様だが、つい最近それがバレて、色々と酷い目に遭った様である。
こんなんでも天界の教育はきっちり成されており、聖神様を信じているっぽい……? ので、クルーエル同様に堕として熾天使にしよう。
これで対天界用兵士がプラス1である。
・第十七節:第一項、グラシアの白き花——完




