第11話 魔王列強
第八位階下位
『魔王列強・滅亡の魔王ガリオン』をクリアした事で得られたのは、スキルポイント50P、武器『魔壊暴鎚』。
魔壊暴鎚は腕甲型装備で、神珍鐡とオルダナの合金。なんとガリオンサイズにまで対応可能な超質量。
能力は単純な破壊特化で、特にガリオンの魔界破壊の神性や大地破壊の神性を保有している神器の類いだ。
次に戦いが決着へ向かっているのは、エルバーナとグラシアの戦場。
攻撃は最大の防御と言わんばかりに、ナハトやローネリア、アロ、アルマが攻撃を繰り返し、一方エルバーナは強い反撃を行えば手痛いしっぺ返しをくらうと恐れるあまり、弱い攻撃しか出来ていない。
ルカナとテリーが隠れているだけで、十二分な牽制が出来ているのだ。
そして今、戦況は変わった。
ガリオンの魂の眷属化を終え、消化し終わったペルセポネが、舌舐めずりをしながらエルバーナを見上げる。
『……ペルセポネの、エルバーナ』
ガリオンを吸収した事で更に増大した冥界が、冥域を飲み込みつつ、エルバーナの元まで這い寄る。
次の瞬間、ルカナとテリーが姿を現した。
『もう! ペルセポネが来ちゃうわ!』
『因縁を片付けるなら手早くどうぞ』
そう言いながら、2人は悪魔の六翼を大きく広げ、放った莫大な魔力を操ってエルバーナを取り押さえる。
『そのまま押さえていろ!』
『撃ち抜きます!』
『助かるのだわ!』
『今こそ……!』
僅かな時間だが十分な溜めの時間。
放たれたのは、それぞれが出来る全力の一撃。
ナハトとアルマの規模が全く異なる槍の一投に、アロとローネリアの六翼を媒体にした6つの閃光。
それらが動きを封じられたエルバーナを襲う。
大きな破壊を齎らしながら、皆の必殺はエルバーナの巨体を貫いて、遂にエルバーナも悲鳴の咆哮を上げて墜落を始める。
そこに大口開けて待ち受けるのは、ペルセポネ。
『……ペルセポネの』
開かれた巨大な冥界から、待ちきれずに伸びたのはガリオンの巨腕。
まるでかつての同胞を誘うかの様に伸びるそれ。
冥界が浮かび上がると共に、ガリオンの巨腕に加えて他の6つの巨腕も伸びて、エルバーナを拘束する。
『ペルセポネの、エルバーナ』
そんな皮算用の言葉を響かせて、開かれた冥界がパクンッとエルバーナを捕食した。
そのまま眷属化を僕が手助けし、ディアリードの動きを待ってみるも、結局ディアリードの攻撃は無かった。
《【運命クエスト】『魔王列強・貪蝕の魔王エルバーナ』をクリアしました》
獲得スキルポイント50Pに、武器『天壊喰扇』と言う名の、最大でエルバーナサイズにも可変する六枚の白翼。
能力は、飛翔系に加えて光属性の閃光系攻撃手段、それからエルバーナの天界破壊の神性。これまた、一つの神話を携えた神器。
まぁ、天界も死後の世界と考えるなら冥界と同じだ。
そういう点で言うと、ペルセポネは魔界のみならず天界への適性も得た事になるが……まぁ、その根拠の一つとなるエルバーナが本質は悪魔獣だったり、そもそもペルセポネが闇属性だったりするので、態々無理をしてまで天界に進出する事は無いだろう。
何より彼女は悪魔獣マニアなので、態々体系の異なる天命獣に手を出す事はあるまい。
エルバーナの確認を終え、最後の戦場に視線を落とす。
そこでは、ザイエとドルスが未だに激しく衝突を続けていた。
読みの難しい六腕を相手に、ザイエは良くやった。
破壊困難なアダマンタイトの腕を破壊し、被弾しながらも遂にはドルスの増えた四腕全てを破壊して見せたのだから。
マテリアル的に格上と言うのは、量でも質でも、案外バカに出来ない物だ。
ガリオンやエルバーナの巨体に然り、ドルスの鋼鉄の肉体と六腕に然り。
それでも、シンプルに武術で、それに追い付いて見せた辺り、ザイエはこの戦いでより大きく成長したと言えるだろう。
後、五手で終わる。
何者にも邪魔はさせない。
◇◆◇
ガツンと、響く武の心。
その肉体の頑強さを、お前は卑怯だと思っているかもしれない。
武の果て……そんなもんが何処にあるかは、見上げてみても良く分からないが、俺は鍛えた果てに、鋼もかくやの頑健さを身に付けたから。
だから良いんだ、肉体の強度に拘ったって。
それもまた武だ。逃げじゃない。
逃げなんてのはそれを貫けない奴の言い訳でしか無い。
——だって俺は貫けるから。
再度振りかぶられた一撃に先んじる様に、拳を放った。
「お、らッ!!」
「ごぶッ……ザイエッ……!」
振るわれた拳を逸らしきれず、体で受ける。
「がふッ……ドルスッ……!」
響く。魂に。
拳に宿った武の心が。
吐き散らした血で、魔界の大地に幾度目かの華が咲く。
よろよろと、拙い動き。
お互い限界だな。
なぁ……楽しかったな。
残る全力を身に滾らせ、真気を編んで、拳を握る。
それに応える様に、ドルスも全力を滾らせた。
さぁ、これで——
「ドルスッ!!」
「ザイエッ!!」
——また、明日だ。
◇◆◇
両者の拳が交わり、余波が吹き荒れる。
倒れたのは、ドルス。
続けてザイエが前のめりに倒れる。
これはうちの子の勝ちと言う事でよろしいか。
『ペルセポネの?』
『そうだよ』
取り敢えず勝ちは勝ちと言う事で、倒れ伏すドルスにペルセポネが迫る。
今度こそディアリードに動きがあるかと警戒したが、ザイエを回収してもドルスが闇に食べられても、その魂が眷属化されても、ディアリードは不気味な沈黙を貫いた。
《【運命クエスト】『魔王列強・神鉄の魔王ドルス』をクリアしました》




