第1話 おでかけ
第八位階下位
明けた翌朝、ゲーム開始34日目。
諸業務を済ませ、朝食を摂る。
「おにぇちゃん今日はいずこへぇー?」
いつも通りの質問に、もぐもぐしつつ答える。
「ちょっと魔界まで、堕天使を捕獲しに」
「ふへぇ? マカイマデダテンシヲぉ?」
何も分からないと言った顔のアヤに、此方からも問いを投げかける。
「そっちは?」
「こっちは皆で中位環境迷宮の攻略〜」
「裏ボスは?」
「取り敢えず全迷宮攻略してからだねぇ」
まぁ、妥当だ。
幾ら皆が強いと言っても、敵が150ならともかく250を相手にするには未だ足りない。
あげた神器を使えばどうとでもなるだろうが、単純な実力で言うなら、レベル80から100ぐらいは欲しい。
「まぁ、迷宮攻略は闘技祭までには終わらせておきたいですなぁ」
「キリも良いからね」
まぁ、レベルで分ける都合上、皆はほぼ確定で本戦出場だから、そこまで気負う必要は無いけどね。
その後、諸雑務を終えてアヤと別れ、アナザーにログインした。
◇
「ママ、起きたの」
「うーたん、おはよう」
ニコッと眠そうに微笑むうーたんに僕も微笑み、頭を撫でる。
さて、今日のタスクを一つずつ熟して行こう。
先ずは、うーたん達を起こしつつ、残り3日に控えた赤の闘技祭の詳細発表だ。
3日、2日、1日の6日間のバトルロイヤルで出場者を篩に掛け、最終日のトーナメントで優勝者を決める事。
それぞれ、種火、火、炎、焔、豪火と銘打ち、レベルを1〜15。15〜30。30〜45。45〜60。60以上の5段階にランク分けする事。
バトルロイヤルが4時間に1度、100人ずつに別れて行われ、各優勝者に次のバトルロイヤルの出場権が与えられる事。
各大会の装備枠の制限の詳細。最終日トーナメントの時程。7日間のログインボーナス。各大会のファイトマネー。各種細かい情報を詰め込む。
そしてメインの、賭けの詳細。
コレを纏めて、6時にクエストオーダーで発表した。
後は、救済措置の一つとして、敢えて設置を明かさない、地下闘技場、モンスター闘技場の設定を煮詰めよう。
カジュアルに遊べる場にするとして、賭け金額の上限は少なめ。
外した時のキャッシュバックは50%の端数切り上げ、1コインで賭けたら外しても1コイン戻ってくる仕様にする。
つまり、両方に1コイン賭けたら最低でも3コイン帰って来る仕様である。
オッズに関しては基本データを参照して此方側で勝手に決めさせて貰う。
例えばゴブリン10匹VSレッサードラゴンの戦いならドラゴンが1.1倍でゴブリンが10倍とかね。
……稀にゴブリンに強い個体、シャルロッテゴブリンとかが混じるかもしれないが、それもまたゴブリンであるからしてオッズは変わらない。
それから、プレイヤー達のモンスターカードの参加も認める事にしよう。
此方は自分に賭ける事も可能で、ファイトマネーも少量出すので、もっぱらそのファイトマネーが救済措置である。
尚、敢えて負ける様指示する等の八百長があった場合は無効試合な上24時間出禁である。
日程が7日間なので、7分の1参加出来ないのは大きい。措置としては妥当だろう。
まぁ、本来なら数日出禁でも良いが、イベント恩赦である。
こう言った救済措置はあればある程良い。
例えば、賭けに負け続けてコインが減ったプレイヤーに、NPCとして誰かが接触し、MCでコインを買える様なプチイベントなんかを実装しても良い。
その際は、コイン最大100枚までで、1コインの価値1,000MCの所を1,200MCで売る様にしよう。
お祭り価格と言う奴である。
そんな予定をさらさら紙に纏め、黒霧に伝達しつつ、うーたん達と朝食を摂る。
「ママは今日お出掛けなの?」
「うん、ちょっと魔界がどんな所か観に行くのも兼ねてね」
「ママカイなの」
「違うよ」
謎の世界、ママ界に思いを馳せるうーたんに一応違うと訂正をツッコミ、続けてめーたんに視線を向ける。
「私たちは今日カジノに遠足です」
「黄金都市アウルジアの試験運用だね」
「はい!」
お仕事とあってはふんすふんすと鼻息荒いめーたん。
まぁ一応子供達の経験の為、色んな事をさせている一環だ。
カジノで稼いだMCは、クラスで集計され、本日の給食費になる予定だ。
僕はれーたんに視線を向けて、微笑んだ。
「いっぱい稼いで良いお昼ご飯を食べてきな」
「はい! ゆー母様!」
元気いっぱいの3人をハグしてから学校に送り出し、改めて僕はグラシアの悪魔達の元へ向かった。




