第5話 迷宮を這う
第四位階中位
木を切り、草花をむしり、土や岩を拡大した胃袋で貪りながら、程々に進んでいると、程々に強い魔力の気配を探知した。
もはやレベル50まで行くと、後は眷属達の平均レベルを上げるのに魔水晶を消費している始末。
僕には、次の獲物が必要だった。
その折に感じたこの魔力の気配。
僕は意気揚々と木々を伐採抜根して突き進み、時折何かを殺戮しながら、そこに到着した。
——迷宮だ。
迷宮核が手に入れば、更なるレベルアップの糧と出来る。
眷属達の総合レベルを引き上げれば、忌々しいとさえ言える食欲ともおさらば出来るだろう。うまうま。
やはり木を丸ごと行くのは中々美味い。
葉や枝の甘味に木の皮の旨味、続けて滲み出る命の甘味。
いやいやそんな事より迷宮である。
早速、薄暗闇に一歩這い出す。
迷宮の大気に満ち足りる魔力を全て糧にするべく、僕は分裂を行使した。
出現したのは、レベル50まで引き上げた眷属のジャイアントスライム。
これで迷宮に栓をして得られるエネルギーの全てを奪い取る。
——誰1人、鼠1匹すら逃しはしない。
さぁ、何が出て来る?
そんなワクワク感と共に迷宮を進むと、現れたのは鼠の魔物。
レベルを見抜くには未だ魔覚の慣らしが足りないので、直接戦闘力を測る。
鼠の魔物は真っ直ぐ此方へ突っ込み、僕へ噛み付き攻撃を放った。
ばちゃんと僕に沈む鼠。所詮はこんな物か。
僕は、鼠の体内へレベル15のバトルスライムを押し込んだ。
ごぼりと泡を吐いてバトルスライムを飲み込む鼠は、程なくして腹を破裂させて死亡した。
まぁ、サイズと言い戦闘力と言い、おそらくレベルは一桁前半。3か4。
僕は、まだまだ数の少ない眷属達の大半をバトルスライムに変質させて放ち、迷宮一層の制圧を開始した。
まぁ、複数種出現するタイプの迷宮であっても、レベルには大差無い場合が殆どである為、レベル15に調整したバトルスライムならばどうとでもなるだろう。
万が一死んでも、所詮は遠隔操作の分裂体だ。その分のエネルギーが消費されるだけなので、不足した分は補給すれば良い。
更に手数を増やすべく、魔水晶で作ったレベル50のスライムの残り3匹も解き放った。
義体はそれぞれ、メタルスライムと闘気スライム、それからボラシティスライムと言う珍しい義体。
メタルスライムと闘気スライムの役割は二層の捜索だ。
ボラシティスライムの役割は、探索する僕に変わって暴食を実行する事。
勿論僕も食べながら進むが、食べる担当がいてくれた方が色々と楽だからである。
ボラシティスライムを横に侍らせながら、共に木を喰らいつつ、僕はゆっくり迷宮を進む。
◇
暫く歩んでいると、情報は直ぐに集まった。
この迷宮の一層に出現するのは、鼠と蝙蝠とスライムとの事。
取り急ぎスライムは殺さず僕に献上する様に通達し、先へ進む。
迷宮の支配から魂を強奪する事は、食べながらでも出来る簡単な事だ。
程なくして、割と広めだった一層の攻略が完了した。
結構な数の新たな眷属を迎え、おまけに大量の餌と経験値を貪り強さを増して、眷属達のレベルを15に統一する。
特に魔物から出る魔石は1番のご馳走で、溢れる旨味や甘味に皆喜んで捕食していた。
その足で這って向かった第二層。
此方は、闘気スライムとメタルスライムの報告から、敵の正体は既に判明している。
——大鼠。
それがこの迷宮の二層に生息する唯一の魔物である。
推定レベルはざっくり6。
僕の鍛えたバトルスライム達の敵では無い。
再度バトルスライム達を解き放ち、迷宮の攻略をさせる。
程なくして第二層の攻略も無事終わり、平均レベルを増強させての第三層。
敵は想定レベル8の、土属性を持つ黄色鼠。
所詮は土属性に耐性がある程度なので、なんと言う事もない雑魚だ。
なんと言う事もない雑魚だが、味はまろやかな旨味であった。
第三層のバイキングを完食し、平均レベルを18まで上げた所で、次、第四層。
現れたのは、土色で土を投げ付ける魔法を1回使う、ソイルラット系、想定レベル11。
スライム達は敵性意思の塊である魔法との相性は悪いが、そんな事はお構い無しに攻略を進める。
弱ったら撤退を遵守すれば、たかだか土の魔法くらいどうと言う物でも無いのだ。
それよりも、魔法を使えるレベルの魔物になれば、魔石が更に美味いので、それ以上に重要な情報は無いだろう。
そんな訳で、四層の鼠フルコースも美味しく平らげ、第五層。
そこで未知の外敵と遭遇した。




