第4話 食べ歩き
第四位階下位
偶に出会うスライム達。
彼等は主に草陰等に潜んでおり、どうやら僕と違って土や草は食べないらしかった。
正確には、お腹が空くと食べると言った所か。
大体の場合は動物の死骸なんかを食べている様であった。
僕は今の所動物に遭遇した事は無いが、きっと美味いのだろう。
そんな事を思いつつ、むしり取った草や土を眷属達に回し、消化分解を任せる。
僕はエネルギーだけを頂き、仄かな旨味と甘味に舌鼓を打った。
これぞ必殺、自然界を第二次消費作戦である。
僕のスキルの一端を貸し与える事により、眷属達の消化分解能力を向上。
本来ならば虫や生きている植物達に、彼等が感じるのは辛味等が多かろうが、僕の力を貸している為感じるのは旨味と甘味。
それに加えて、エネルギーの全てを結果的に僕が吸収したり、暴食の一端を担がせる事により、眷属達の気が赴くままに捕食をさせる事が可能。
これにより、虫を食べているのは僕では無い誰かになり、僕はクリーンなエネルギーだけを頂けると言うスライム界の奥義である。
まぁ、スライムを眷属化させる利点は要するに、結果的な演算力の肥大。物量の増加による捕食可能量の増大。僕達全般のスキル酷使によるスキル練度の増加。そして何より、僕が虫に触れなくて良くなる。
これならご……も、けむ……も、みみ、もガとかハエだってどうにかこうにかうんぬんかんぬんやっぱ無理かも知れないいや大丈夫と思おう。
何はともあれ、とにかく数をこなしてレベリングしつつ、スキルレベルもレベリング。己の強化を行いながら、この土地の情報を得て行こう。
◇
南下する道すがら、大きな猪が突進して来たので、食べた。
生きたままだと辛味が強いので、さっと首を刎ねて食べたが、これが激うま。
毛皮に肉に骨と、眷属達も喜んで捕食の限りを尽くし、大猪は僕等の糧となった。
そうこうやって進んでる内に、今度は小型の木の魔物が襲い掛かって来たので、それも全身で頂きます。
やはり生命力の多い魔物は美味い物で、スパッと核を破壊して葉から根まで美味しく頂いた。
先ず最初に葉や枝が溶け、甘味が満ち溢れてから樹皮の旨味が滲み出し、最後に生きた木の甘美な命を啜る。
木も実際美味いので、せっかくだからと目に付く木々を切り倒し根を掘り返し、インベントリにしまってぽりぽり食べ歩き、その果てに——
——海に出た。
「ほう」
新食感の砂。
塩味と旨味の海水。
海の幸がこびりつく岩。
気付けば1日が終わっていたのは、致し方ない事だろう。
◇
ヒューマンスライム ユキ LV50 状態:『飢餓(永続)』『暴食(永続)』
・スキル
『錬金術』
『消化』
『分解』
『吸収』
『過食』
『貪食』
『暴食』
『人化』
『分裂』
『捕食』
『雑食』
『魔力感知』
『魔力操作』
『精神耐性』
『並列思考』
16日目の朝。
おおよそ半日を掛けた調査で分かった事は、海産物は美味しいと言う事。
勿論それだけでは無く、軽く散策した結果、振り返ったこの地が、おそらく小島の類いであろうと言う予測が付いたのと、視認できる範囲では近場に大陸は存在しない可能性があると言う結論だ。
島は、おおよそ三日月の様な形状をしており、僕はその三日月の先端の方にいる。
三日月の中央付近には大きな山があった。
その山の向こう側に大陸が続いている可能性も十分考えられるので、早速山に登ってみる事とした。
取り急ぎ木を切り倒し、拡大した腹の異空間でそれを消化する。
そんな風に、手に入る資源を余さずエネルギーに変えて進んでいると、それを発見した。
「ふむ」
人化して、それを見下ろす。
木を切り倒し、根と周辺の土を回収した地面の底。
割と深いそこに、見えたのは——結晶。
それも、ただの結晶では無く、結晶質の根だった。
それがどんな物体で、どんな存在なのかは直ぐに得心が行った。
おそらく、と言うか十中八九、スキル結晶の実を付ける、結晶樹の木の根っこだ。
だからと言って、直ぐ近くにそれがあるのかと言うと、おそらく違う。
僕は根っこに触れて、そのエネルギーの流動を感じる。
とんでもなく美味しいだろうが、食べるのは辞めておいた。
観測した所によると、木があるのはやはり山の頂上側。
やはりと言うか、そこに向かうのが目標と言う事になりそうだった。
周辺の土で根を埋めて、改めて山を登る。
早いに越した事は無いが、然程急ぐ必要性も感じられない。
マイペースで行けば良かろう。
そんな言い訳をしながら、僕は木を伐採する。




