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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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掌話 神々の残影 五

第四位階中位

 



「はは……」



 それを見た瞬間、俺は渇いた笑いを溢した。


 遠目から見ても、一層から三層までの結晶が破壊されているのは分かった。

 問題は、木を彩る様に舞う、遠目からも目視出来る程の青い粒子。


 そして——



「拳姫! 海狩! 戦えるか!?」



 上手い事合流した強者達に声を掛ける。


 目前に存在するのは、濁流の様に押し寄せる、種の魔物の群れ。


 地面に犇き、まるで巨大な一つの生物の様に此方へ迫る其れ等は、おそらく俺達高レベルプレイヤーの脅威では無い。

 無いが、少し慌てるぐらいには恐ろしい光景だった。


 まるで鼠の群れでも見てる気分だ。



「当然! 雑魚の群れくらい!」

「まぁ、やれない事は無いだろうな」

「よし! なら各自ばらばらに進め! NPCに貢献度を取られるなよ!」



 目的としては正にそれだ。


 戦場の後方で控えるNPCの軍勢に貢献度を取られるよりは、多少の無茶を織り込んでプレイヤーで倒した方が良い。


 そうと思った瞬間、それは起きた。



《《【緊急クエスト】『シードリングパレードを阻止せよ』が発令されました》》



【緊急クエスト】

『シードリングパレードを阻止せよ』


参加条件

・モンスター『シードリング』の討伐。



達成条件

・モンスター『シードリング』の殲滅。



失敗条件

・無し



達成報酬


参加者報酬

スキルポイント2P

・防具『シードリングリング』


参加者選択報酬

・防具『シードリングヘルム』

・道具『タペストリー:シードリング大暴走』

・MC『10,000MC』



・備考

 土神の残影に挑んだ『匿名』達、辛うじて結晶を穿つも、シードリングの群れを解き放つ結果に。

 シードリング達は木を登るより平野を駆ける事にした様だ。


 戦域のシードリングを1匹残らず殲滅せよ。




「わぁぉ……」



 唐突なイベント内イベント。


 即座に俺は、極少数の壁の上や壁際にいる観戦者に向けて、拡声スキルを使った。



「全員、聞こえてたな! 参加すればスキルポイント2、おまけにアイテムを貰えるぞ!」



 これで、多少は意味があるだろう。


 観戦者は大体が生産職、職人系プレイヤー等の戦い慣れていない超低レベル。

 それでも、初期武器の鉄系ならば10,000MCでお釣りが来る。


 乗らない奴は早々いないだろう。


 壁上や壁際のプレイヤー達が動き始めた中、俺達もやや足の遅いシードリングの群れへ突き進む。



 ——接敵。


 少し操気をした剣による薙ぎ払い。


 その余波で複数のシードリングが一気に切り裂かれ、多くのシードリングが吹き飛ぶ。



「おお!?」



 思った以上の戦果に、少し驚く。


 これなら、撃ち漏らし無く倒し切れるだろう。


 周りを伺うと、他のメンツもまた同じ様に操気でシードリングを吹き飛ばしたり、モンスターマスター達が複数モンスターを召喚したりして、殲滅を進めている。


 次第に他のプレイヤーの参戦も見られる様になり、時折青い粒子が散りながらも殲滅が進められる。


 程なくしてシードリングの殲滅は終わった。



《《【緊急クエスト】『シードリングパレードを阻止せよ』がクリアされました》》


《【緊急クエスト】『シードリングパレードを阻止せよ』をクリアしました》



【緊急クエスト】

『シードリングパレードを阻止せよ』


参加条件

・モンスター『シードリング』の討伐。



達成条件

・モンスター『シードリング』の殲滅。



失敗条件

・無し



達成報酬


参加者報酬

スキルポイント2P

・防具『シードリングリング』



参加者貢献度ランダム報酬

貢献度6%

・6,000MC

・スキル結晶『治癒力向上』



参加者選択報酬

・防具『シードリングヘルム』

・道具『タペストリー:シードリング大暴走』

・10,000MC




 取り敢えず謎の記念品は一枚欲しいので俺が選択し、皆にはそれ以外の好きな方を選んで貰った。


 さて、今更行って間に合うか? とも思った瞬間、フレンドチャットに連絡が来る。



『もしもし』

「コウキだ、どうした」



 連絡主は、土神の残影方面の隊長に任命した、重装型の中でも特に強い、ゴウ。


 見上げた土神は、既に4層まで崩壊しており、最後の一つを残すのみとなっていた。



『土神方面部隊、総員50名。最終層まで到達するも、精神消耗が主な原因で全滅。撃破し切れませんでした』

「そうか、良くやった。後は俺達が向かう。しっかり休め」

『はい、御武運を』

「おう」



 さてさて、専用オリジナル武技アーツは消耗が激しいんだよなぁ。

 そうと思いつつ、俺もチラリと体力バーの横を見る。


 表示されているアイコンは、重度の精神消耗を表していた。



「はぁ……」



 一息付き、何気に待っている拳姫やマスター同好会の面々に振り返る。



「土神方面部隊全滅だ。これから上に向かうが、着いて来れる奴はいるか?」



 その問いに、構わず前に出たのはテルマ達。


 迷わず前に出たのは、拳姫達とマスター同好会のメンツ。



「愚問ね」

「誰が出ても恨みっこ無しだな」

「ふん、それこそ愚問よ」



 銛を杖代わりに肩を竦めた海狩と、いつもはキリッとした吊り目を半目にしている拳姫。

 強い武技持ちこそ消耗が激しいが、皆既に精神消耗だったり召喚可能時間が少ない者ばかり。


 精神消耗は行き過ぎれば、武技がそもそも発動せずに意識が落ちる。


 やれるかどうかは賭けに近い。


 何処まで出来るかの確認と、入念な作戦が必要だ。



◇◆◇



 最後の残影と英雄達が相対する。


 傷を負った残影は、6つの黄色い翼刃を羽ばたかせた。



「作戦通り、行くぞ!」

『応!』



 その声に応じて、最初に動いたのは、マスター同好会。



「コール・アント、コール・アント、コール・アントぅ?」



 本日5度目のその魔法は、合計15体のビックアントを突撃させ、初めての精神消耗に小糠雨は地に伏せる。

 それを合図に、迫るのはモンスターの群れ。


 そして——



「サモン・ブルージェム、爆発ファイア

「シャークジャベリン」

「アサルトファング」



 鮫とウツボと青い結晶。更に複数の遠距離攻撃。


 それらは狙い違わず結晶に着弾し、そこに迫るのは近距離型。



「ドラゴンファング」

「ファイアプレス」

「クラウドハンマー! はにゅぇ」

「デモンズブースト! 喰らえ!」

「これで壊れなさい!」



 格下武技を放つテルマやネネコ。

 武技を放って直ぐに落ちたにのまえ


 そして武技による強化を受けたアイゼンバーンとなけなしの練気を行なったヨウの拳。



 攻撃の嵐とも言えるそれらまでも、土神の残影は耐え抜いた。


 英雄を一度退けた土神の威光、その強度たるや、並大抵では無い。



 そこへ迫るのは、最後の一撃。


 一人、また一人と倒れる仲間の隙間を踏み越え、その刃は振るわれた。



「これで終わりだ、ドラゴンクロー!」



 なけなしの操気、出現した竜の鉤爪は結晶と拮抗し——破壊した。



《《【緊急クエスト】【都市クエスト】『舞い降りるは神々の残影』がクリアされました》》


《【緊急クエスト】【都市クエスト】『舞い降りるは神々の残影』をクリアしました》



「はは……」



 今度こそ渇き切った笑い。



 サラサラと崩れ始めた残影の揺り籠。


 精魂尽き果てた英雄達は、その消えゆく砂の塔と共に、静かに地上へ沈んで行った。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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