第13話 終焉の帝都
流石にレベル300に調整された騎士の出力では、レベル300後半のバーチスを追い詰めるくらいしか出来なかったか。
メルスが1体を引き付ける中、最初の1体に魔力をふんだんに使って防御と攻撃を行い、それを撃破した。
その練度足るも、この数100年研究者としてだけ活動していた訳ではない事を証明するかの様に、見事な練気と魔術構築であった。
後の1体に対し、諦めかけたメルスを立ち直らせる為に無駄と言えなくもない消耗をした時は終わりかとも思ったが、これまた見事な立て直しで高質の石槍を放ち、騎士の胴体を貫いた。
それでも倒れなかった騎士には、メルスが初めて必死さを見せ、斬撃をひたすらに打ち込んで残り魔力を削り、コレを辛うじて撃破した。
まぁ、ある種順当とも言える結果である。
既にナインヘッドは9体の兵に討たれており、帝国の戦力は天使含めて最早殲滅戦の様相を呈している。
革命軍も、一応意味のある死と生を与えて包囲済み。
おまけに逃げ出そうとしている帝国王族と貴族の退路は絶ってあるし、魔力を搾り尽くされて倒れている民は回収済み。
そして更なる伏兵も無し。
……いや、古い遺構で城の地下にあるが、大規模な儀式魔法を引き起こせる祭壇がある様だ。
それは発動のキーに王族の血筋が必要で、それと魔術師達の力を吸い尽くし、いわゆる贄とする事で発動出来る、豪火の攻撃魔法。
各派閥の王族達の誰1人として向かわなかった事から、既に失伝しているのか、知っていて誰も向かわなかったのか。
まぁ、後者だろう。
ともあれ、もう得る物も無いし、終わりにしよう。
《【帝国クエスト】『大逆の帝都』をクリアしました》
数世紀に渡って悪逆の限りを尽くしたエルダ帝国と帝都エルディノウドは、斯くして案外あっさりと滅び去る事となった。
報酬は、旗系のアイテムとかそこそこの金銀財宝にマジックアイテム、お金くらいで、大したクエストでは無い。
と思いきや、その中にリコードクリスタルのキーがあった。
コレで2つ目。そろそろ主張が激しくなるかもしれないし、挑んだ方が良いかもしれない。
◇
さて、改めて、帝国戦で入手した物を詳しく見て行こう。
先ずは、マルボレアス君関係。
スキルポイントが140P、ロジックポイントが280P。
それから例の装備は、1つをクリカに、2つをその配下のサラナギアに、1つを同じく配下のマルボレアスに与えた。
また、迷宮核は黒霧化してクリカへ配属させた他、湧いていた雑魚の群れはクリカの配下として取り込んだ。
次に、帝国周辺のフィールド制限解除等クエストに付いて。
ざっくり、フィールド制限の探索クエスト56、帝国クエスト1、街クエスト11、村クエスト40、クエスト23、迷宮クエスト20をクリアした。
目立ったクエストは、死霊兵計画で放棄された幾つかの辺境村や砦の解放で、中には環境が良くて自動的に解放されていた村の骨を埋めてクエストクリアとなった物もある。
報酬は、スキルポイントが531P、ロジックポイントが609P。
大量の資材は興味深い物だけ研究者達に回し、後は分解してエネルギーに変えたり、マレビト向けに改造して販売、またはガチャに突っ込んだ。
……かつて死した者達は、環境が悪かったり、そもそもが弱かったり、もっと言えば蔓延していた強い悪意に晒されて負に犯されていた為、9割型処分と相なった。
捕獲したのは、500体程の死霊。聖骸化を施し、取り敢えずルーレンとアッセリアの指揮下に入れて訓練させて行く。
更に続けて、帝国の戦力。
兵士が敵味方合計で20万程。コレには魔造魔人と天使以外の全てを含む。
民は100万程度と比較的少なく、マレビトもいないので急ぎ捕獲、補給を行なって命を繋いだ。
続けて、シーク君とターナー君。
彼等は何らかのレベル200程度クラスだった武闘派生物の魂を引き継いでいる様だった。
レベル200なんてと言いたいが、本来レベル100クラスで歴史に残る様な傑物だ。
この社会レベルで80クラスをごろごろ用意出来た帝国が異常なのだ。
魂にその性能の一部を引き継いだ彼等は、幼少から今に至るまで、レベルに見合わぬスキルレベルで、闘気法をほぼ自由に扱えていた。
その時点で、同レベルの使えない者を圧倒する事が出来る。
まぁ、魔力が切れたらそこまでだろうが。
おまけの精霊もどき、名前をフィースと言う子だが、どうやら失敗作だった様だ。
と言うのも、純粋な魔力で構築された無属性の彼女は、単独で活動する時、気を抜くと世界に魔力を漏出してしまう。
文字通り気の合う相手か、もしくは魂の受容力が高い相手に憑依する事で、魔力の補給と維持が出来て命を繋ぐ事が出来る状態だった。
取り急ぎ再構築して精霊にし、シーク君に付け直しておいた。
次に天使だが、クルーエル含む100体の堕天使を入手した。
彼等は何でも、聖神と言う彼等の神の善性を圧倒的事実で否定され、信仰を失った為に堕天した様だ。
と言う訳で、新たに僕と言う神を崇めさせる事とした。
堕天使には天使に対する特効性質を持つ為、クルーエルは熾天使レベルまで引き上げてしまうのが良いだろう。
何より彼女はフブキのお気に入りなので、フブキの正式な副官として特別に運用しようと思う。
次、天命騎士と呼ばれる少女達だが……此方は、彷徨いの怪魚と名付けられた魔物とセットで、1体と500人。
カランキュラスと言う魔物は、アンコウの様な丸っこい巨大な怪物だった。
そのブヨッとした肉体は長い年月飼われて来た事でおデブに磨きが掛かっており、あんまり美味しくは無さそうだ。
額には細長い線が付き、それは1人の少女と繋がっていた。
他の全ての天命騎士とは繋がっていない訳である。
少し考え、また沢山話し合った末、天命騎士は、カランキュラスの巨体を魔力分解してその魔力を用いて魚人型に転身。
それと同時に、全ての天命騎士とカランキュラスの魂を融合させ、記憶の消去等をちょくちょく行なってから群体生命化を施し、1つの生命とした。
最大増加可能数は500体なので、全員でしっかり訓練を重ねて、望み通り早く強くなって欲しい。
続けて、バーチス・アルディ。
彼は、多少丸くなっているが間違いなく彼であった為に、彼に融合させた。
今は長年の低位な研究の数々を文句を言いながら整理している。
次に、ナインヘッド・ケルベロス。
此方は、少しも悩まず9等分して伸びっぱなしの鬣をグルーミングして、ガルム亜種9頭にした。
魂の分割によりレベルは下がっているが、エネルギーを供給次第、ネロ同様にケルベロスの道へ進む事だろう。
最後に、メルス・ネス。
彼女は、才能という点でバーチスを凌ぎ、訓練次第では直ぐにでもレベル600に至れる器だ。
魂は特別強い訳では無いが、因子の遺伝上極めて精強と言う訳である。
これは、ティアーネの転生者であるエスティア事ティア、もしくはリターニァ並みであり、そこら辺で一緒に活動する事になるだろう。
後は、帝国内に存在したしょぼいアイテムの数々を利用したり分解したりしたくらい。
手に入れた物はそんな所である。
次は、各種戦力の整理。




