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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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第8話 運命の時

第四位階上位

 



 それが落ちて来た時、俺は天啓を感じた。



 見据えた帝都。


 悲願が叶う時が近付く中、俺は胸騒ぎを感じていた。

 それが強まったのは、帝国軍と相対した時。


 何かが不味い。戦力では無く、もっと身近な悲劇が、迫ろうとしているのを感じた。



 そして、俺はそれと目が合った。


 一目で分かった。



 俺に似た顔の戦士。


 色んな装備に囲まれているし、何かオーラを纏っているが、間違いなく、シークだった。


 シークも、此方に気付いた様だった。



 その瞬間、俺は絶望を確信した。



 最早、衝突に話し合う猶予は無い。


 どう足掻いても、殺し合う未来しか無い。



 大願を前にはあまりに脆い、悲劇が、始まろうとしていた。



 不意に、それは空を割り、大地を割り、交わろうとした戦場を真っ二つに引き裂いて、降臨した。


 それが現れた瞬間、俺は奇跡を確信した。



「シーク!」



 叫んでいた。


 俺の名を呼ぶ声が聞こえた。



 次の瞬間、それは、まるで運命の様に、敵味方無く暴虐を振り撒き始める。


 化け物じみた第三勢力の出現。全軍に生じた大きな間隙。


 それは俺にとって、願っても無い奇跡の現出だった。



「やっぱり、兄さんだった!」

「シーク、良かった。お前が無事で」



 本心からの言葉だった。


 互いの存在を確かめる様に、ぐっと手を握った。



『コイツがシークのアニキ? ふーん、まぁまぁね』



 何やら変な声が聞こえたが、改めてを見据える。



「シーク、奴隷か?」

「いいや、何も出来ない、力だけある兵隊だよ」

『シークを奴隷化なんて、あたしがさせる訳ないでしょ!』



 悔しげに歪むその顔と変な声に、俺は一つ頷く。



「なら、俺と一緒に来い! コレを倒したら、そのまま帝都を解放する!」

「……分かった。僕も覚悟を決めよう」



 頷き、シークは剣を構えた。



「さぁ、行くぞ!」

「行くよ! 兄さん!」



 初めての共闘が始まる。





 激闘。


 一瞬の油断で命が塵屑の様に吹き飛ぶ、絶戦。



 ふと、いつ死ぬとも知れない昔を、思い出した。

 あの時も、一緒にこのゴミクズみたいな場所から抜け出そうと、そう話していたよな。



「はぁぁっ!」

「ぜっっ!」

「……」



 沈黙の騎士は何も言わず、俺達の連撃を受け止める。


 迸る雷撃は、並の人なら即座に倒れ伏してもおかしく無い、無力化の一撃。

 それを何度も受けているのに倒れないコレは、先ず間違いなく人では無い。


 その確信に至ったのは、兜を弾いた時だった。


 現れたのは、球体の単眼。



「やはりか!」

「ゴーレム!」



 そうと分かればこそ振るえる攻撃がある。


 弱点は首や頭では無く胴体。


 手足への攻撃に対した意味は無く、やるべきは一点突破のみ。



「シーク! 合わせろ!」

「任せて! 兄さん!」

『お前が合わせろー!』



 何やら変な煩い声を聞き流し、槍と剣の連撃が胴体部分を削り取る。


 果たして、コアは現れた。



「此処だ!!」

「くらえ!!」



 雷撃、迸る。


 正しく雷の様に、槍の一突きがコアへ突き刺さり、それへ追随した剣の一刺しがコアを貫く。


 それぞれ上下へ振るった刃が、ゴーレムのコアを破壊した。



「……」

「……」

『勝ったわ』



 まだ動かないか様子を見てから、ふっと息を吐く。


 歓声が響いた。


 この、帝国軍と、革命軍に、まるで境など無いかの様に、両方から歓声が。



 此処からだ……!


 そう思った、次の瞬間だった。



 ——ズシンッ。



 つい先程、聞いた様な音だった。



 ——ズシッ、ズシンッ!



 次々とそれは響く。


 見上げた空には、巨大な何か。


 幾つもの飛ぶ何かと、地表へ降り立つ騎士の数々。



「嘘だろ……」

「そんな……」

『な、なんでッ?』



 幾千もの絶望が、歓声を悲鳴へと変えた。



◇◆◇



「ッ、ブラン……?」



 それは、絶望だった。



 転移と同時に術式を刻まれ、帝国の傀儡となった私が、打たねばならない敵。

 その中に、何故かブランがいた。



「いや、いやよッ……!」



 そんな事を言っても上手く動かない体。


 次々と襲い掛かる天意軍のゴーレムみたいな物を撃ち落とし、意とは裏腹にブランへと接近していく。


 逃げて、ブランッ! お願い!



「止まって!!」



 そんな願いに応える様に、ピクリと体が止まり、次の瞬間……ブランの横にブランが現れた。



「……ブラン……が、2人に!?」



 なんて奇跡! 凄いわ!


 そう思ったのも束の間、即座に剣を自らの首に当てた。


 ブランを傷付けるくらいなら、死んだ方がマシだもの。



「……」

「……?」

「……?」



 どっちものブランと視線を合わせ、同じ様に首を傾げたブランに、私は微笑んだ。



「ごめんね、約束、守れない」



 そこまでしか言えなかった。


 今、体が動く内に、自分を止めなければ、ブランを傷付けてしまうから。

 ……いや、ブラン2人なら案外私を止められる?


 疑問を挟みつつも刃を引いて——



「——あぁ、動くな」

「——止まって」



 ——刃が止まる。


 方や指先を向けたブランが、動くなと、強い力を持った言葉で私の動きを止め、方やいつの間にか接近していたブランが刃を握って止めていた。



「支配は解除した。取り敢えず落ち着いて」

「……まったくクルーエルは僕の事好き過ぎ、ん」

「んん!?」



 唐突にご褒美。


 甘い何かが浸透していき、狂っていた何かが更におかしくなって行く様な、寧ろそれが正しい様な不思議な心地良さに包まれた。



「クルーエルは、白髪でも良い」

「まぁ、堕天させきっちゃっても良いよ。対天使因子が生えるし」



 何が何やら良く分からないけど、偉そうなブランもずっとご褒美くれるブランもだいしゅき……。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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