第1話 誰しもに試練を
第八位階下位
パイア達が目覚めるちょうど良い時間まで暇だったので修行をしながら、プレイヤー達の試練を見守る。
襲撃イベント用にエネミーをメイキングしたのは黒霧だが、中々に強いモノを作った物である。
だがまぁ、キャストの援護を入れる事も出来るので、気にせず推移を見守る。
天使型ゴーレムに真っ先に挑んで行ったのは、マスター同好会なる小型組織の連中だ。
その中には、二つ名を持つ者もいるし、二つ名を与えられそうな奴等がゴロゴロいる。
中々の粒揃いっぷりに、プレイヤー達の期待値も高い。
果たして——早々に放たれたのは、2本の銛を合成して作られた銛による、海の凶暴性を叩き付ける様な攻撃。
コレにはレベル80近いゴーレムも2割程度は削られ、それに合わせて振るわれたのは、同じく小さな牙持つ魚を伴う、巨大な鱓の突撃。
更に続けて、自家製スクロールと思わしき物や爆発する矢、爆発する石類の攻撃が殺到し、僅か一瞬の内に体力が半分まで削られる。
敵のアクションを待つ事なく、更なる追撃が行われた。
放たれたのは、白いモコモコした雲の様な魔力の拳。
それがゴーレムをぶん殴って大地を舐めさせ、続けて似た様な服装の白いオーラを全身に纏った男がゴーレムへ殴り掛かる。
更に続けて、大きなスピリット級の亜精霊がゴーレムに張り付き大爆発を起こしたり、鋼のゴーレムが巨大な黄色の魔力の拳を出現させたりと、所謂超必殺級の攻撃が続き、極め付けに無数の召喚モンスターの攻撃を受け、一体のゴーレムが沈黙した。
それと同時にもう一方のゴーレムも、竜系専用武技や、巨大な蟹腕の様な攻撃、風纏う巨大な鷲の突撃等を受けて爆散した。
ここまでトップ層、超必殺級の武技持ちを温存していたが故の早期決着。
コウキ達の出る幕は無く、ゴーレム達は塵に帰った。
そんなんこんなで、迫り来る無数の敵を前に、トップ層達の火力が遺憾無く発揮され、それをかなりの消耗がありつつも突破、最後の決戦が始まった。
こう言った事態を想定し、黒霧が用意した残影は——軍団系。
5つの浮遊結晶がそれぞれ光を放ち、爆散。
その声は響いた。
『異界より来たりし英雄の子等よ、試練を与える』
そんな文句と共に現れたのは、50の白騎士、25の重装騎士、12の巨獣型ゴーレム、6の大型ゴーレム、そして……剣型ゴーレムと盾型ゴーレムとそれを操る巨人型ゴーレムだった。
いや、加減しなよ。
最後の巨人型だけで下手をしたら火神の残影並みだよ。
キャストの力を借りなかった特典みたいに言ってるけど、実際は元から用意していた物である。
言っておくが、黒鎧騎兵団を大人とするとプレイヤーなんて赤ちゃん集団だからな。
そんな心の文句は言わず、推移を見守る。
突出したのは、言わずもがな拳姫。
一息に残影の大ボスに挑み掛からんと白騎士の1体を屠り、同時に手傷を負わされ、複数の白騎士の攻撃に後退を余儀なくされた。
この時点で、プレイヤー達の雰囲気がガラリと変わる。
試練を与えるとは何ぞやと疑問符を浮かべていた全員が、その試練に合点が行った形だ。
白騎士、レベル50。
トップ層それぞれと同格に近く、技量においてはそれを3段上回る。
超必殺が無いだけの大剣士並み。
重装騎士、レベル60。
巨獣型ゴーレム、レベル70。
大型ゴーレム、レベル80。
巨人型ゴーレム、剣、盾、それぞれレベル90。
とんでもない戦力を前に、コウキ、大剣士は苦渋の命令を降した。
『おそらく全て残影指定! 一撃でも当てれば光神の残滓の判定内でござる!』
そんな人参をぶら下げて、命じるは全ての遠距離攻撃の放出と、弱者の特攻。
何も考えないが故に弱者。
強者は状況を察し、大剣士の意図を汲んで、温存を計る。
突撃した弱者達は、遠距離攻撃で見た目上はボロ屑になった白騎士と重装騎士に踊り掛かり、なますぎりにされつつもそれ等を撃破した。
更に続けて、強者達の中でも分をわきまえる強者達が次へ繋ぐ為、少し弱っている獣型と大型ゴーレムに必殺級の嵐を浴びせ掛け、足りない分を己の命で贖って突撃、コレを壊滅させた。
超必殺を持つ強者達が残りの大型を何とか殲滅し、最後、残影の大ボスに、弱者強者構わず肉の壁となって殺到。
超必殺級武技の連打が行われ、大ボスは技の限りそれ等を迎撃、厳しい消耗戦の末、プレイヤー陣営が勝利を飾った。
最後まで余裕があったのに、最後の最後でほぼ全滅に近い憂き目を浴びるとはプレイヤー達も思わなかっただろう。
そんなプレイヤー達に、大量の報酬と共に、その声を与えられた。
『異界より来たりし英雄達よ、試練を与える』
《《【緊急クエスト】【都市クエスト】『舞い降りるは神々の残影』が発令されました》》
明日のこの時間、全6つの都市で、同時に簡略化残影襲撃イベントが始まる。
まぁでも、残影の戦力は今日程じゃ無い様にさせるので、その点は安心して欲しい所だ。




