第3話 朝のひと時
第四位階上位
朝食を頂き、昼食のお弁当まで貰って家に帰った。
手早く夕食分を作ると、細かい雑事を終えて、タクメールを確認する。
今朝は探索隊の被害状況について書かれていた。
探索隊が今回持ち込んだのは複数の荷車。
替えの武器や防具を満載した物や、食料を乗せた物、ポーションを詰めた箱を乗せた荷車なんかもあったらしい。
正しく軍隊の如しだ。そう言った管理はある程度の規律と知識が無いと出来ないだろう。
その他に、空の荷車を用意しドロップアイテムを乗せていた。
ドロップアイテムは人数が多かった為すぐに満杯になり、転移門のある街と前線をピストン輸送していたとの事。
その為、全滅した時に失った何台かの荷車と、武器、防具、食料、ポーション、などの補填が出来たらしい。
……つまり……今ゴブリンは……完全武装の上食料などの運搬手段を手に入れている。
プレイヤー諸君に行軍のお膳立てをして貰った、と言う訳だ。
全滅するなら兵糧に火をつけて鹵獲されない様にして欲しかったが……まぁ、仕方あるまい。
やられるつもりは無かったか、それとも……ゴブリンの知能レベルを過小評価していたのか。
取り敢えずログインしよう。
早めに西の森へ行った方が良さそうだ。
「オープンゲート」
◇
《レベルが上がりました》
「む?」
ログインすると、即座にレベルアップのお知らせが来た。
かと言って、丁度今レベルが上がったと言う訳では無いだろう。
ログアウト中にレベルが上がるとこう言う風になるらしい。
女子部屋から出ると、案の定タクは中庭におり、アランはキッチンで料理をしていた。
今日は珍しくミサキが早くログインしており、中庭でタクに剣術を教えて貰っている所だった。
「はぁ!!」
「よっと……うーん……隙が多い」
「っ!?」
タクはミサキの大振りに過ぎる攻撃を軽く避け、渾身の一撃を避けられて大きく体勢を崩したミサキの首元に剣を添えた。
実戦なら首がポロッと落ちている所である。
「勢いを付け過ぎてる」
多少助言をする為に、中庭へ出る。
タクは戦いの腕は良いけど人に物を教えるのは微妙だからね。
僕が声を掛けると、ミサキとタクが此方を向いた。タクはホッとした様な顔で僕に解説を任せる気の様だ、対してミサキは少し不満気に見える。
不満と言うか……ちょっと残念って感じかな?
「単純にパワーが足りて無い。体が剣に振られてるよ」
「はぁ…………どうすれば良いのよ?」
ため息を吐いて聞く姿勢をとったミサキ。機嫌悪いね。
「身体能力を上げるタイプのスキルを取得するのが手っ取り早いかな」
ここ数日で全体的にレベルも上がっただろうし、スキルポイントは幾らか持っているだろう。
身体能力を上げるタイプのスキルとなると、『腕力上昇』の様な上昇系のパッシブスキルか『腕力強化』の様な強化系のアクティブスキル。または、武術系スキルの中から体術を取得するのが良いだろう。
あらゆる行動に影響を及ぼす物なら『耐久走』スキルと『持久力』スキルでスタミナをあげるのも良い。
『回避』と『見切り』で敵の攻撃を避けやすくしたり、或いは『器用』や『直感』のスキルで色々な能力に補正を掛けるのも良いだろう。
『回避』や『直感』スキルは飽くまでも補助程度の効果しかない。
少なくとも僕やタクなら無くてもどうとでも出来るレベルだ。しかし、武術をやった事が無い人なら十分な効果が期待出来る筈。である。
これらのスキルを延々と集めて補正を掛け続ければ、スキルレベルが1のままでもそれなりに強くなれるだろう。
スキルを取得したミサキは、『剣を振るのが少し楽になった、かも?』と曖昧な感想ではあったが、側からみると少々剣速が上がり隙が少なくなっている。
後はスキルレベルが上がればもっと楽になっていく事だろう。大剣で戦い続けていれば立ち回り方も覚えて、段々と被弾率が低下していく筈だ。
ミサキの訓練は、皆がログインしてくるまで続いた。




