第4話 それは試練
第八位階下位
休憩中、行なわれたのは、プレイヤー達による塔の迷宮の攻略だ。
人数的にも質的にも、コウキ君の作戦は通るだろうし、中位環境迷宮は今日の内に全プレイヤーに解放される運びとなるだろう。
まぁでも、獲得リソースの減少こそ否めないが、中位環境迷宮くらいのリソースなら支配領域を広めている現状では瑣末事である。
支援産業としてはプレイヤーから産出されるエネルギーを利用したい僕としては些か大事だが、僕が配布しているリソースも大きいし、プレイヤーのレベル帯的にも、中位攻めがメジャーになるには幾日の時間がかかるだろう。
コウキ率いるプレイヤー集団は、魔力の重要性を過小評価して負け込む場面こそあれ、順当に勝利を重ね、最深部の竜をも見事に打倒して見せた。
プレイヤートップ層としては順当な攻略速度と言えるだろう。
迷宮の擬核に触れれば迷宮クリアだが、コウキ達がそれを行う前に、タク達の戦いが始まった。
最後の裏ボス——サンダーバードへの挑戦だ。
挑戦なんて言ってはいるが、投入されている戦力は過剰。
その半分もいれば十二分に勝てる相手である。
レベル150のサンダーバードにしてみれば、本来ならレベル60程度は一息に一掃出来る程の格下だが、そんな客観的な事実はともかくとして直ぐに多勢に無勢の様相を呈したビリビリ鳥は莫大な魔力の消費による逃亡を決行。
返す刃で即座に無差別広範囲の雷撃と眷属の生成と言う対集団戦にベターな手を打つも、本人は遠距離攻撃に徹しようとして折角のチャンスを棒に振る。
流石にレベル100を越える生物の知能が低いと言うのはそうそう無いので、奴に足りないのは知覚能力だ。
特に高位の獣型なんかは、格下相手の力の測り方が大雑把過ぎるきらいがある。
弱いメィミーとかアキとかから狩って行く事で辛うじて1%もない勝率を高めて行けると言うのに、弱い者を見抜けないからそれも出来ない。
結局順当に囲まれては逃げ囲まれては逃げ、魔力が尽きればそれまで。
まぁ、地力とか総合的な魔力量ですら劣っているのだから、然もありなんである。
下位環境迷宮裏ボスの最後の一体が討たれ、全裏ボスの討伐関係者が10人を超えた事で、クエスト報酬で試練の証と言う名の緑と青の宝石が配布された。
参加者が合計30名なので、試練の証は緑、青共に合計30個である。
取り敢えず受け取った全員にそれの解析を試みさせ、全員が特に機能の無い宝石と言う結論を返した所で、その宝石は僕預かりと言う事になった。
解析した結果分かったのは、宝石に偽造防止のマーカーが付けられている事で、それが即ち何らかの貨幣の様な役割を持っているであろうと言う事。
そんな事をしつつ、コウキ達が塔の迷宮をクリアした事で得たしょぼアイテムも解析し、新たに解放された中位環境迷宮、宮の迷宮へ目をやると、そこは——遊園地だった。
例に漏れず、塔や城と同じでボスラッシュの迷宮。
ただし自由度は高く、挑戦するボスは色々と選べる仕様だ。
何処かノスタルジーな雰囲気漂うその都市は、装飾された剥き出しの機構があちこちを走り、石と鋼と木々や蔦が調和する古都とでも言うべき様相の迷宮だった。
装飾多めながらも何処となく感じる生活感が、この遊園地を都市にしている。
そんな遊園地の基本的な攻略方法は、選択制のボス戦。
ボス部屋は迷宮の各所に配置されており、最初に戦えるボスはその内4体。
閉じられた塔の様な施設、それへ繋がる平らな祭壇へ、魔力を含むアイテム等魔力を捧げる事で門は開かれ、ボスのいる異空間へ転移する事が出来る。
ボスを倒すと確定でドロップするのが、緑色の試練の証。
外部で手に入れた試練の証と異なり、その宝石にはルーン文字が刻まれ、内部のマーカーもまた異なる構造が追加されていた。
次に、また別の各地にあるボス部屋。
最初のボス部屋が平らな祭壇だったのに対し、次以降は試練の証と同じ窪みが付いた祭壇があり、そこに緑の試練の証を嵌め込むと、門が開かれてボスに挑める様になった。
嵌め込む試練の証は緑色なら何でも良く、一度嵌めると試練の証は消費される。
出て来たボスを倒すと、青色の試練の証が確定で手に入った。
更に続けて、また4つある各ボス部屋の祭壇に青の試練の証を捧げると門が開かれ、ボスを倒すと今度は赤の試練の証が手に入る。
次に2つあるボス部屋の祭壇に赤の試練の証を捧げてボスを倒すと、黄の試練の証が手に入る。
最後に中央にある宮殿の祭壇に黄の試練の証を捧げる事で、最後のボスと戦闘出来る様になる。
迷宮クリア報酬は、雷精鋼の刀に付与結晶、降り注ぐ霹靂。雷霆耐性。それから、確定ドロップの白の試練の証。
各ボスの戦闘力は、緑の試練の証のボスが100、青が120、赤が150、黄が180、白が200で、フィールドもワームをミミズに変える人用闘技場では無く、各ボス専用の特別な戦場が用意されており、ボスの戦闘力を格段に強化している。
それら全てのボスの試練の証を集め、中央の宮殿の最上階、飛んで行く事でしか入れない天空庭園の中心にある円形舞台にそれらの証を捧げる事で、裏ボスと戦う事が出来た。
裏ボスは、宮の迷宮の空の上、雲を纏って回遊する闘技場にいた。
空と大地の間には迷宮の壁が二重に立ち塞がっており、並の手段ではそこを抜ける事は出来ない。
そんな天空の闘技場の中央に立っていたのは、装飾の目立つ金細工の鎧。
天楼の衛士と言う名を与えられた、信仰を宿す騎士——現神である。




