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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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掌話 頂きを見上げて 九

第四位階中位

 



 現れたドラゴンに、息を呑む。



「お、おぉ」

「やばぁ……」



 いや、よく見ると色々と違う部分はあった。


 翼がないし、どちらかと言うと蜥蜴、と言うか恐竜と言うか……炎をあちこちに纏っているし……これは……。



『差し詰めサラマンダーか?』



 大剣士の呟きに、それだと頷く。


 サラマンダーだ。火の精霊的な奴。



『……ゴーレムを嗾しかけろ』



 リーダーの指示で、ゴーレム達が再召喚され、壁を形成する——次の瞬間、炎のブレスがゴーレムとドールを襲い、瞬く間にそれらを青白い粒子へと変えた。



『火力はドラゴン並み、か』



 大剣士の呟きに頷く。


 以前大剣士達が戦った、動画で見たドラゴンと同等のブレスに見えた。


 それにしても、今まで相応に戦えていた壁部隊が、全体的に消耗していたとは言え一撃、数秒程度しか持たなかったのは衝撃的な映像だ。



 流石の最前線プレイヤー達もこれには怯み、動きを止める。


 それはもしかしたら一瞬の惑いだったのかもしれない。次の瞬間には指示を出し、動き始めただろう。

 その小さく、そして大きな間に、サラマンダーは動きを見せた。


 前に進む。たったそれだけ。



『っ、防御だ! 『ドラゴンスケイル!』』



 即時に下された指示に従い、各々が防御を固める。


 次の瞬間——ブレスが放たれた。



「「うわぁ……」」



 人影が炎に巻かれる。


 とてもじゃないが喰らいたくない攻撃の直撃。


 これは……流石にやばいか? そう思った直後、それは炎を切り裂いた。



『『ドラゴンホーン!』』



 竜の様なオーラと共に、直進する光が炎を巻き込み、サラマンダーの顎を穿つ。



『ごほっ……続け! ごほっごほっ』



 肺が焼かれたか、咳き込みながらの指示に、あちこちから必殺級の武技が放たれ、サラマンダーに直撃する。


 だが、敵もやはり、現状トップクラスの怪物。無数の攻撃の直撃にまるで怯んだ様子を見せず、それどころか腕や尻尾を振るってプレイヤー達を次々薙ぎ倒して行く。


 流石に高レベルと言う事もあり、追加HPの残存もあってか即死する様な人はいないが、それでもポーションを使用せざるを得ない大ダメージに、戦線離脱を余儀なくされている。



「……こう言うの見ちゃうとね」

「……あぁ、まぁ」



 フウカのちょっとした呟きに、若干の気の毒さを感じつつ同意した。


 本当に、このプレイヤー達は強い。流石は最前線クラスと言える。


 こんだけの大型魔物を相手に、即死しない様に武器で受けたり回避でダメージを抑えたり、もしくは追撃を阻害して味方が死に戻りしない様に、この乱戦下で見事な連携を見せている。



 本当に強い。だが…………双剣使い達には劣る。


 あの激戦、記憶に新しい双剣使い達と裏ボス達の戦い。そこに彼等を放り込んだら、数分と持たないだろう。


 ——あれは別格だ。


 本当の最前線。


 情報が全く出回らないのは、彼等が自分達の道だけを突き進んでいるからだろう。



 僅か1分にも満たない攻防の中、プレイヤー達は腕の破壊や尾の破壊など様々な試みをした末、体積が縮こそすれ欠損は起きないと言う結論に至った。


 そこからは、即死しない様に立ち回りつつ、マナポを決めては武技を連発する熾烈な戦い。

 幸いだったのは、ホロウと違ってある程度威力が伝播している様子だった事。


 削り切らないと行けないと言う点で持久戦とも言える厳しいそれ。


 僅か数分にも満たない死線を——戦士達は越えた。



「「はぁ……」」



 詰まっていた息を吐く。


 誰が見てもキツい戦いを、技量と連携でダメージを抑え、ポーションを何十本も使って、1人の死者も出さずに勝利を納めた。



 大剣士が戦士達を労うのを聴きつつ、乾いた気がする喉を潤わせる。


 ボスと相対した初手以外は特段派手な場面は無かったが、それはボスと対等に渡り合い、ベストとベターを選択し続けた結果だ。

 ずっと身を固くする様な緊張感が続いていた。



 割とマジで強敵。それで尚、今回の本命では無いんだから恐ろしい。


 緊張の糸が緩んだ事で、広場は喧騒に包まれる。

 歓声を上げる者、自分達ならどう立ち回るか相談する者達、報酬を皮算用するパーティー。



 大剣士は労いを終え、戦いへ挑むパーティーが集まった。


 大剣士のパーティーと、第一陣エキスパートクラス、その上澄みのパーティーの、各リーダー6名。


 大剣士派閥で最も強いと言っていい12名が、最終確認を終え、階段を登って行く。



『短期決戦だ……!』

『『応!』』



 大剣士の声に応える戦士達、画面越しでも伝わる、ヒリつく様な緊張感。


 先の戦いで騒ついていた広場は、いつの間にか静寂に包まれる。



 そんな中で、大通りから囁く様な声が聞こえた。



「……まいったな、被るとか」



 声に引かれ向けた視線の先には、どうしようもなく見覚えのある、英傑達の姿。



「まぁ、良いか」



 そう言って、彼等は静かな広場へ歩み入る。



「はは、マジか……」



 これから始まるボス戦への緊張とか、竜をどう攻略するのかって言う期待とか、全てを塗り替える高鳴り。


 塔を攻略しに来た訳じゃあるまい。



 きっと何か、想像もしてない様な驚きが——



 ——始まろうとしている。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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