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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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掌話 頂きを見上げて 六

第四位階中位

 



「良い見せ方をするな」

「アイゼンバーンさんは優秀な人材だからね」



 ふふんと胸を張るミヨに、俺は頷く。


 全カード6枚がレベル25以上、最大でマリオネットの29と、3段階目こそいないが何より装備とアイテムが細かく管理、強化されてる。

 こう言うのをそつが無いとか抜け目が無いとか言うんだよな。


 指揮官としても中々。初動の放置は足の早い奴等を死兵にする事も考慮の内に、戦力を計りに行ったか。

 情報の無かった想定外への対応も素早かったし、自爆技に対して構わず攻める様に指示は、死んでも大丈夫だと分かっていても即座に降せる物じゃない。


 他にも、特段指示を出した訳では無いが、ゴーレムとドールの壁としての試運転、その耐久力や攻撃力、優位性、もといこの塔攻略に注目している多くのプレイヤーへのデモンストレーションを見事にこなしてくれた。



「モンスターカード組は粒揃いだから、どんどん声を掛けた方が良いと思うな」

「そっちはミヨに一任する、出来ればテルマも連れて行ってくれ」

「任せてっ!」



 アイゼンバーンも強いが、スピリトーゾも注目株の1人だ。

 先見の明と言う点では小糠雨と一は大いに評価出来るし、それ等に実質遅れた小夜鳴鳥も一点強化して追随し、この攻略ではまさかの活躍を見せた。

 ソライロタケに至っては、第二陣でありながら第一陣ミドルに匹敵する戦力になっている。


 言ってしまえば彼等は、モンスターカード方面での最前線。


 是非引き込みたい戦力だし、モンスターカード使いは召喚術や従魔術みたいな経験値問題も無い。素行も良好で利もあるとくれば、協力体制を築くのにそう苦労も無いだろう。

 未だ未熟なテルマとミヨにはもってこいの交渉相手だ。



 功労者を労ったりあれこれやりつつ動画を早回しで見ている内に、前線に追い付いた。


 準備を完璧に整え、階段を登り始めたプレイヤーの後に付く。


 レベル50程度のハイランカー、第一陣エキスパート組の12名。

 重装6名のフルパに、バランス型の重装1名、軽装2名、準後衛3名のフルパーティー。おまけに、完全では無いがモンスターカードでゴーレムとドールもあるし、各々の補完をするモンスターカードもある上強力なフードバフ付き。


 対するは、事前情報によるとゴーレム21体。4つの魔剣持つ巨兵と魔剣持つ兵士20体だ。


 魔剣の種類は基本4属性だけで、使って来る魔術は各種属性付与、追跡能力の高いアロー系4本、威力の低い扇状範囲攻撃の3種。

 事実上21の剣兵であり21の弓兵だ。


 また、ボスは魔剣を打ち合わせて上位属性の魔法を放って来るらしい。

 それぞれ、火と風で雷、火と水で雲、火と土で鋼、風と水で氷、風と土で錆、水と土で木。レーザーやら回復やら煙幕やらで、色々と厄介な効果を持つ様だ。



 果たして、向かい合った巨兵は、人の3倍はある巨躯だった。


 2階を見上げる様なそれに、やはり聞くと見るとでは全く違うなと頷く。


 剣は人の身長を優に超える巨剣。


 ただ振るうだけでもとんでもない威力であろうそれに、魔法が付随して更にとんでもない事になるのは明白。


 見ただけで圧倒される気迫が、それにはあった。



「……」



 無言で前に出たのは、寡黙な重装戦士。


 大盾と戦鎚を持ち、大きな背中で味方を叱咤する。


 本人にその積もりが無くとも、怯んだ様子を見せず進む事は、それに続く者達の導となり得る。



 言外に作戦通りを伝えるリーダーに、メンバーは従い追随する。


 サモンの声と同時に次々とモンスターが召喚され、戦列が形成されて行く。


 6人の重装フルパーティーが中心でボスを抑え、レベル10やそこらのやや小さいゴーレムやそれを補助するドールが左右に壁を展開、残りの1パーティーが右、召喚される各々のモンスター達が左から攻める鶴翼の陣。


 戦場を破壊出来るボスを抑え、回り込まれるのを防ぎつつ左側は申し訳程度の時間稼ぎ、本命の右を攻める1パーティーで早急に雑魚を殲滅してボスを囲む。


 人数が少ない手前、どこも重要な役割だ。

 例えばボスを受け持つパーティーがまともにボスのタゲ取りが出来なかったら? 右翼のパーティーが雑魚を殲滅する前に左翼が壊滅したら?


 事前の情報から策定した作戦も、一つの量り間違いで全てが瓦解しかねない。



 開戦。


 敵が次々と剣を振り、魔法の矢が降り注ぐ。


 飛来するそれは、ゴーレム達の構えた木の大盾に阻まれる。

 所詮木とは言え、大きな盾だ。壊れ切るまでに接近出来るだろうし、壊れてもゴーレム自体が盾となる。


 一方巨像の振るった刃からは、火や水、風に石礫と広範囲の攻撃が放たれ、重装兵達を襲う。

 流石にこの程度では大したダメージにはならないが、接近までに削れるだけ削るのが敵の狙い。


 対抗策として手製の手投げの魔法爆弾の類いを投げ込んでいるが、敵もゴーレムとあっては大したダメージにも妨害にもならない。


 接近する頃には、重装兵は追加体力ゲージの2割、ゴーレム達は盾が半壊する程度のダメージとなっていた。



 ——衝突。



 初撃の敵兵20の斬撃で全24体ものゴーレム部隊の内きっかり20体の木盾が両断。ゴーレムの棍棒が敵兵の拳と衝突し、僅かにダメージを与えた。同時にドールの槍が突き込まれ、剣を抑えにかかる。

 しかし、返す刃でドールが押し返され、その隙とも言えない隙に振るわれたゴーレムの棍棒が剣と衝突、今度は互角に鍔迫り合いを始めた。


 長くは保たない。


 膂力が同じでも、技のキレや頑丈さ、武器の質で劣っているが故に。



 一方巨像との戦闘はと言うと、2本の横薙ぎに振るわれた斬撃を2人の重装兵が受けて押し返され、振り下ろされた2本の斬撃を他2人が受けて押し込まれる。

 剣戟は衝突時にそれぞれの属性魔法を発動させ、重装兵達は武技を使って受けたにも関わらずHPを2割程も削られた。


 防御特化の重装兵達が防御武技を使ってこの威力。軽装がまともに受けたら7割くらいは一気にとられるだろう。


 一応MPは減っている筈だが、ほぼ通常攻撃と言っていい物がこれだ。上位属性攻撃が来れば、重装兵とて大ダメージは免れ得ないだろう……対策は勿論ある訳だが。



 重装兵やゴーレム達が奮戦する中、右手側から攻めかかったプレイヤー達は出し惜しみなく武技を放つ。


 重武装の大槍持ちが突出して敵1体をぶっ飛ばし、それに追い付いた軽装2人が敵2体と斬り結ぶ。

 準後衛の3名も、普段はアイテム投げたりモンスターの指示を出したり魔法で援護したりとやっている様だが、あまりやらない接近戦に繰り出し、前衛と鍔迫り合いしている2体へ攻撃を仕掛ける。


 プレイヤーが雑魚と戦っている内に、相対する敵の数が減ったゴーレム達は、流石高知能AIと言った様子で、プレイヤー達を守る様に戦列を変えて行く。


 指示を出さなくてもある程度欲しい動きをしてくれるから良いな。

 余計な動きを殆ど全くしないのは、作戦を理解しているからだろう。



 右翼が安定して戦いを進めている間、左翼は青い粒子の舞う激戦区となっていた。


 壁役のゴーレム達は、他のモンスターの活躍でどうにか壁を維持している。

 モンスター達はその殆どがレベル10代であり、数は24。


 大半が広いフィールドにおける遊撃性能や補助能力を買われており、種類は鷲や鴉、犬、猫にマリネットやドール、後は猫に似たニージャと鷲に似たウォンクル等くらい。

 殆どが小型であり、背の低い者も飛んでいる者も、見事なまでに一刀で斬り捨てられている。


 誰かがやられたりゴーレムとの戦いの中で剣を振った隙に喰らいつき、どうにか時間稼ぎが出来ている訳だ。



 ボス討伐に向けて強力な専用武技を温存し、MP消費を抑えている現状、戦局はどこも長く保たないだろうな。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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