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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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閑話 ゴーレムファイト! 四

 



 勝者を讃え、微笑みながら握手をし、ベスト8と言う錦を抱えてこのみの胸でポロポロと泣くクリス。


 一方ベスト4に上がったアルティアは、この大会最大の脅威と相対していた。


 ドールマスターアーシア。または鳳凰院結鶴瑠。


 ドール、ゴーレム研究に熱を上げる幼き研究者にして、他の勉強も怠らない一種の天才。

 1日のリソースの大半とおこづかいのほぼ全てをドール、ゴーレム研究に使う若き傀儡技師。



「アルティア、今日はよろしくお願いします……!」

「此方こそ、よろしくお願い致します」



 礼節、嫋やかに。しかしそこはまだ未熟か、ベスト4の大舞台、多数の観客を前に、または優勝の二文字を見据え、興奮気味に礼をする。それは生ける花の如し。


 対する礼節、淑やかに。ロングスカートを少し持ち上げ、驕らず、飾らず。しかして友の闘気と会場の熱気に当てられ、やや浮つく。それは揺らめく刃紋の如し。


 花と刃の笑みが交錯する。



 展開されたフィールドに現れたのは、6枚の翼と光輪のシルエットを持つ人型ゴーレム。

 体のあちこちに棒状の突起が見られるそれは、然ながら機械の天使と言うに相応しい。



 アルティアはそれをじっと見下ろし、構造を読み取って行く。


 光輪は外付けバッテリーだろうか? それにしては浮遊に位置固定と無駄が多い。頭上にある必要がある何らかの装置と見るのが適正だろう。

 頭部自体には目の様な装置が付いている。十中八九視覚の役割を担っている。


 胴体は鎧、コアはそこにあるだろう。背に生えた突起はこれこそ外付けバッテリーか、シリンダー内には純度の高い魔石と見られる小さな輪っかが幾つも入っている。


 脚部にも同じ様な円筒系の突起が見られるが、それはマナタンクとは異なる何らかの武器であると見た。

 背中から前方に回り込む様に生えた翼は、おそらく銃系統の武器の類いだろう。


 他にも、細かい術式が至る所に刻まれている。



 無数の細かいパーツに無数の細かい術式、これだけの物を、たった1日で設計し、製作し、起動テストを行ったなんて……。


 そこまで考えた所で、アルティアははっと目を見開く。


 口元を抑え、慄く様に言った。



「ユヅル、あなたまさか……徹夜を……!?」



 ユヅルはやや胸を張って微笑み、それを持って答えとした。


 徹夜は、健康に悪いからダメ、とお母様御自ら禁止なされた事。

 私ですら何度も覚悟を決め直そうとして結局丑の刻までしか出来なかったのに……!


 そんな事を考えながら後退るアルティアを他所に、カウントダウンは進む。



 持ち直すには十分な数秒は過ぎ去り、0へと変わった。


 刹那、両者が左右へ飛び退る。


 アルティアのゴーレムが火の弾丸を放つのに対し、天使ゴーレムは翼を広げ——無数の羽が射出された。


 先端の尖った羽は散弾の様に放たれ、空中で火弾と衝突、爆発した。

 爆発の余波は周囲の羽を吹き飛ばし、軌道を大きく変えられ、アルティアのゴーレムには当たらない。


 ゴーレムはその挙動を見て、即座に屈んで的を狭め、次弾を放った。

 対する天使ゴーレムも、即座に装填された2射目を放ち、今度は弾丸がすれ違う。


 土の弾丸は翼の1つに当たり、爆発。弾けた石塊は翼1つと羽の幾らかを破損させるに留まった。


 一方アルティアのゴーレムは、羽の幾らかが頭部や鎧に突き刺さった。


 ただ刺さるだけの筈が無い……! そう思考した次の瞬間、ガシュッと異音が響き、刺さっている羽だけが弾ける。

 破裂した羽は金属の表面を食い破り、その刃を深々と突き刺した。


 関節、もしくは武器破壊が目的の攻撃。


 複数箇所を同時に狙えるその脅威に、アルティアは舌を巻いた。



 的を絞っていたおかげで幸いにも重要部位の破損は無く、続けて3撃目。


 放たれた風の弾と羽が空中で衝突し、弾ける。


 火の弾同様に破裂した風の弾は、余波で羽を吹き飛ばし、今度も無傷で切り抜けた。



 さぁ、4発目。そう思った刹那、光輪から波の様な何かが広がったのを、アルティアは見た。


 次の瞬間、アルティアのゴーレムが後方へ飛び退る。

 その唐突な挙動から、魔力感知を阻害するジャマーが放たれたのだと理解した。


 距離を取るゴーレムに対し、天使ゴーレムは翼と背部バッテリー、光輪をパージ。脚部の円筒を引き抜く。

 翼が地面に落ち切る前に、天使型では無くなったゴーレムは大きく前傾——刹那、足のブースターが火を噴いた。


 天使で無くなってから飛んだ元天使型ゴーレムは、脚部から引き抜いた円筒を起動、生じたのは、光の線。

 高威力故に一瞬しか回路が保たないその光は、然ながら光剣と呼ぶに相応しい。


 元天使型ゴーレムは、飛び退るアルティアのゴーレム、その胴体に交錯する様な残光を残し、着地。回路の焼き切れた剣を捨てた。



 ——決まった……!


 ユヅルがグッと拳を握り、勝利を確信した、刹那——アルティアのゴーレムが振り返った。



「「っ!?」」



 ユヅルとアルティア双方が驚きに目を見開き、X字の傷跡を残すゴーレムを見下ろす。


 直ぐに持ち直したのは、設計者。



「ぁ」



 小さな声を漏らし、得心が行ったと頷いた。


 アルティアのゴーレムは防御特化。


 鎧は勿論の事、そのボディにも複数の防御系統術式が刻まれている。

 それら全てを同時起動した結果、鎧は貫かれたがボディを貫通する事は無く、コアが守られたのだ。


 だがそれは、大きな賭けだった筈。


 鎧に3つ、ボディに2つある防御術式は、起動する事で魔力を大きく消耗するし、内2つは数秒しか保たない代わりに強度をより高める物。


 実質知覚を封じられた状態で、何時来るとも知れぬ敵の攻撃に対し、それを同時に起動するなぞ、下手をすれば無駄打ちだ。


 相手の武装も未知数な中、そんな賭けに出る事など、自分には出来ない。

 どちらか一方を使う、もしくは視界が戻るまで順番に起動しようとして、コアを破壊されていただろう。


 勝負強い相棒から、目から鱗の学びを得つつ、アルティアは戦場を見下ろした。



 振り返ったゴーレムは、銃口を向け、水の弾を放った。

 対する元天使型ゴーレムは、細い腕を真っ直ぐに向け、両手から白い光を放つ。


 水弾は元天使型ゴーレムの胴に直撃してバリアを削り、光線は鎧へ衝突し侵食して僅かにバリアを削った。


 続けて2発目、雷弾が放たれ、回避に移った元天使型ゴーレムに着弾、雷が迸り、バリアを削る。



 最後に残ったのは、武装の無いユヅルのゴーレムと、剣を持ったアルティアのゴーレム。


 結果はどうしようもなく見えていた。





 拳をぐっと握り、少しの間震えていたユヅルは、直ぐに敗北を呑み込み、潤んだ瞳で友人の決勝進出を讃えた。



 斯くして決勝戦。



 アルティアは、1番の親友と向かい合う。


 その無邪気な笑みは、最近何処となく御母様に似て来た様に思う。



「あーたん、よろしくなのー」

「ええ、ウレミラ」



 この大観衆を前にして、彼女は日々と変わらぬ笑顔を見せる。


 それに釣られる様に、焦りや不安、緊張がスッと抜けて行く。



 私もまた変わらぬ笑みで、彼女の手を取った。



 

 



 年内最後の更新です。良い年末を。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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