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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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掌話 ラースの道 一

第八位階下位

 



 偉大なる主人より神器を授かり、俺は直ぐに彼女と相対した。


 偉業を成し、七聖賢としてその名を歴史に残した聖女。ミュリア・リーズベルト



「どうか、兄を俺にくれないか」

「え!? ……え……だ、ダメです」

「そこを何とか、星の回廊に刻む1人目の友は奴しかいない……!」

「あそっち…………そう言う事は兄さんに聞いてください!」

「いやしかし、奴は頷く。ならば最も奴を想えるミュリアに問うべきだろうと」

「だ、誰が想えるですか! もう…………まぁ、兄さんもラースさんと肩を並べられるなら嬉しいだろうと思いますよ」

「そうか、感謝する、ミュリア」



 早速俺は、ルーベルの元に向かった。





「ルーベル、俺の部下になってくれ」

「良いぞ」



 思った通りの快諾に、俺は一つ頷くと、星の回廊にパスを形成し、ルーベルを登録した。


 戦闘訓練を期待するルーベルと一戦交え、その日を終えた。





 暗い空が焼けて赤く染まり始める頃、天舞う竜の揺籠で、俺は静かに瞑想する。



 魔力の基本属性変換、上位属性変換、高速変換、同時変換。


 続けて操気法、練気法、闘気法、仙気法、真気法。

 次は属性の真気法。


 一通り終えたら、真気の操作訓練。


 一息に真気を錬成し、それを自在に、且つ素早く操作し、そして練り上げ、圧縮する。



 気を練ると言う作業は、その名の通り、操気により気を練ると言う事。

 意思を通した気を操り、気を掻き混ぜる。


 気を握り込むように押し固める事も有効だが、より大切なのは気に強い意思を通す事。

 それを練り、固め、より強靭な気を練成し、それを腕にして更に強力な気を生み出す。


 理論上、より早く気を練るには、強靭にして強固な意思を拡散させる事であると言う。


 だが、俺にはそれが理解出来ない。否、出来なかった。

 今となっても、その全てを解している訳では無いが、分かっている事は一つ。



 偉大なる主人、ユキ様は仰った。


 一瞬に掛ける熱量が大事なのだと。



 まさしくそれが答え。


 2本の腕で練り上げていた気を、3本へ、4本へ、10、100、1000……遥かにそれ以上へ。

 増大した無数の腕は、それ即ち細部まで意思を通した、一瞬の莫大な熱量。


 摩擦が火を起こす様に、無数の手を擦り合わせ、一瞬の内に莫大な気を練り上げる。

 これを更に上げていくには、分散させた意思を纏めてより強靭な意思を用いるしか無い。


 基礎魔力質が格上の相手と戦う時は、どうしても練り上げの工程が必要になる。


 彼方を立てれば此方が立たぬ、歯痒い思いは何時になっても消えない。



 魔力操作訓練を終えると、次はそれを武術へ組み込んで行く。


 合理的な型を一通り熟し、それを更に深く、早く、正確に打ち込み、魔力をそれに合わせて行く。

 瞬時に練成した真気を拳撃に合わせ、放つ。


 その瞬間にも、ただ放出するのでは無く、強い意思を通して、時に鋭く大気を穿ち、時にそれを切り裂いて、時にそれを打ち据える。



 基礎を終えたら、次は技の訓練だ。



 肉体と魔の瞬間的な錬磨による、超高速の一撃を放つ迅術。

 どの様な体勢からでも最高速を出せる様に、体のあらゆる部位の強化や操作を行う。


 腕や足、腰、果ては首まで、全ての動かせる部位が、迅術の加速装置だ。



 基礎だけではどうしても勝てない天才達へ、向け得る一つの先鋭化された牙。


 体系化された天才の技。


 それが迅術。



「はぁ……はぁ……」



 流れ落ちた汗を拭う。


 今や半精霊体となったその身に汗をかくのは、肉体制御が出来ていない証。未熟の証だ。


 気を一層引き締めつつ、汗が浄化により消えるのを待ち、それを休憩とする。


 じっと立ち、暫し待つと、それはガサリと現れた。



「……来たか」

「きゅ」



 フー・フラン。兎の亜竜にして、武の道を行く者。


 その背に負う巨大な手裏剣は、主人から賜った神器。



「フー、俺の部下になれ」

「きゅ! きゅきゅ!」

「上等、来い!」



 叫び襲い掛かって来たフーを迎え撃つ。


 素早い踏み込み、メロットに踏み潰されていた先日とは比べるまでも無い高速。


 同時に分身、4つに分かれたフーが四方から迫り来る。

 どれも威力を持つ実体。本体がどれかは即座には分からない、ならば全てを防ぐだけ。



きゅぷぃ(烈迅脚)!」

「ふっ!」



 放つは操魔の腕撃。


 念動力による拳で、全ての分身を迎撃する。


 衝突の余波で地面が抉れ、木々が吹き飛ぶ。



きゅぷっ(影双身)!」



 離れたフーはその一声と共に、更に8体の分身を生成、同時に24のデコイを生み出し、合計36体のフーが周囲を高速で駆け回る。

 吹き荒ぶ風はやがて竜巻となり、巻き上がる小石がフーの拳や足で次々飛来する。


 それら全てを、高質の気を纏い、練磨の鎧として防ぎ、更に気を練って行く。


 ——明らかな時間稼ぎ。


 フーの分身達から幻影と隠密を越えて、強い気が練られて行くのを感じる。


 デコイの意味が無い。様に見せかけて、蔓延る幻影と隠密の気が、更なる幻影を隠していると見るべきだろう。

 故にこそ、俺がやるべきは一つであり、俺が挑むべきも一つだ。


 練り上げた気を纏い、高質の気を盾としつつ、更に気を練り、時を待つ。


 果たして——その時は訪れた。



 12の分身から、神器の手裏剣が投じられる。


 それは所詮模倣の偽物。


 そこそこの練気と幻想に塗り固められたそれらは、魔纏の鎧へ着弾し、受け止められる。

 その中の一つ、概ね予想通り、俺の死角から迫る刃が、魔纏の鎧を貫いた。



「はッ!!」



 迅術による加速移動。それと同時に振り向いて、勢いそのままに拳を振り上げた。


 カンッと響く金属音。


 手裏剣の腹を捉えた拳は込められた指向性魔力を打ち砕き、それを空高く打ち上げる。


 続けて足を強化して一息に、手裏剣の射出地点へ飛び込んで、迅術による最速の飛び蹴りを放つ。



「きゅ!!」

「っ!!」



 衝突。


 急速に練られたフーの気と俺の気、足と足がぶつかり合い、狙い通り相殺する。

 未だ宙にいるフー目掛け、足を振り下ろす。


 またもや瞬時に練ったフーの気と蹴り上げを相殺、踏み潰されるのをギリギリで転がって逃げたフーを追い、その背に決め手の拳を振り下ろした。



「ふきゅん!?」



 直撃、の前に気を霧散させ、フーの首根っこを掴む。


 持ち上げたフーを抱き、闘気を解いた。



「これで勝ちで良いか」

「……きゅ」



 頷くフーを、早速星の回廊へ繋げた。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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