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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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第38話 一幕

 



 曙光、這いずる木陰さえ目溢さんと、大いなる光は森海を照らす。


 それは生誕の輝き。


 もしくは再誕の福音。


 光より出ずるは『偉大なる光輝』が眷属、闇を祓う者、神獣・ザングランス。


 その身には5体の蛇を宿し、波打つ導きを与える蛇身を持つ、半人半蛇の美しき少女。

 異形の神秘を纏うその姿は、正しく神の如き威容であった。



 少女、ユーシアは花のかんばせを怒りに歪め、黒き大蛇を睨め上げる。


 それは知恵深き邪竜の眷属。


 免れ得ぬ消滅を前に、その邪心は小揺るぎもせず、ただただ邪悪なる者共にとっての最善手を思考する。



 ——神蛇、相まみえる。



 それは星羅の煌めきが見守る、終末を賭けた神話の一片。


 もしくは、母を、父を、故郷を、滅ぼされた子等の、復讐の戦い。



 仕掛けたのは、邪竜の眷属。



『ユー…シァ……』



 ザリザリと砂塵に塗れたその音は、暗闇の果て、確かにザングランスの面影があった。


 ユーシアは体を震わせる。


 それは然ながら鳴動する大山の如く。


 僅かに漏れ出た憤激が、囁きとなって零れ落ちる。



『黙れ……! 母様の骸を、これ以上穢すな……!』



 思う壺。


 邪悪は怒りと憎しみを纏う神蛇へ、嘲る様に笑みを浮かべる。

 それもまた、負の力を僅かにでも増大させる為の挑発。


 束の間、邪悪は貼り付けた嗤いを消した。それが無意味となったが故に。



 ユーシアは傍らに立つ2人を見下ろした。


 妖精の王と女王。


 変化に驚きこそすれ、その大きな力を感じて尚、守る様に前に立つ2人。


 単なる同情や憐憫では無く、真っ直ぐに友人として、やがて同胞として、今や我が子として、愛してくれる2人。


 あの日無くした物を、ずっと注いでくれた2人。



 怒りや憎しみが嘘の様に、穏やかな笑みで、ユーシアは2人を見下ろした。



『ドーラ母様、グオード父様。方を付けて来ます』



 そっと伸びた2人の小さな手が、ユーシアの手を握る。


 見上げるその顔は、心配そうで、悲しそうで、嬉しそうで、そして何より、優しかった。


 ドーラは手を抱きしめ、グオードは頷く。



『ああ……行ってこい』

『ええ……待ってますね』



 笑顔だった。


 我が子と愛する彼女等の、その纏う超善的気配が有って尚、心配は消えない。


 母の姿をした物を討つと言う事が、或いは大きな力を振るわせる事が、もしくは戦場に送り出す事そのものが。


 それは一つの覚悟の笑みだった。



『はい、行ってきます!』



 返すもまた、笑み。



 数瞬前と比べれば天と地程の力の差。


 その身に満ちる全能感。


 それがあって尚、命を賭す覚悟は変わらない。



 その言葉は、その笑みは、覚悟の現れ。


 死ぬかもしれない戦いへ身を投じ、必ず生きて帰るのだと言う、戦士の……戦士達の王たる偉大な2人の子である、誓い。



 ——神蛇、相まみえる。



 それは星羅の煌めきが見守る、終末を賭けた神話の一片。


 もしくは、母を、父を、故郷を、滅ぼされた子等の、復讐の戦い。



 ……或いは、父を、母を、同胞を、脅かさんとする邪悪との決戦。



 舞台の幕は既に上がっている。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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