第33話 vs.掘削機兵
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第四位階上位
「うにゃ〜」
「よしよーし……そろそろ全員集まるけど、満足した?」
「んにゃ……んー! うん! ユキミン、補充完了です!!」
僕から謎物質が発生していた。
それはともかく、声を掛けると一際強く抱き付いて来たアヤは、その後直ぐに立ち上がると何時も通りのアヤになった。
程なくして皆が到着し、全員に敵の情報を通達する。
壊れた掘削機兵 LV35 状態:警戒
全員のレベルは遺跡や洞窟での狩りのおかげか25以上。
装備を考えるとダメージが通らないと言う事も無いだろうし、人数もいる。
何より、クリアやマヤを除いた他全員が、ある程度戦いの心得がある。
決して勝てない相手では無い筈だ。
先ずは正面から防御力の高いマガネと、その補佐にセイトがついて、ゴーレムの注意を引く。
その間に他のメンバーが回り込み、八方から囲んで攻撃する。
ゴーレムは、弱点である魔石を攻撃すれば直ぐに機能停止に追い込めるが、勿論弱点は体の内部にある。
取り敢えず一当てしてみて、攻略法を探るのが良いだろう。
「——と、言う事で皆、頑張ってね」
「おう」
「私が敵を引き付ければ良いのだな」
「僕はその補佐、か。うーん……まぁ、臨機応変に行こう」
セイトは剣とゴーレムを見比べて、少し困っている様だ。
確かにミサキの大剣ならともかく、セイトやアヤとミユウちゃんは直剣なので、ゴーレムに大きなダメージを与えるのは難しいだろう。
同じく、ケイの棒とユリちゃんの薙刀も、ギミックの出力は下級の魔法なので竜の素材がどこまで通じるかが肝になるだろう。
「後衛は僕の後ろに。アロー系の魔法で盾の隙間を狙うと良い」
「了解!」
「「はーい!」」
「……もっと強い魔法を——」
「駄目」
「……」
元気よく返事してくれたユウミと双子に対して、マヤは何やら不満らしい。
マヤの武器はタクやセンリと同じで、現時点では最上級と言える。
マヤの場合は下級のアロー系でさえ驚異的な威力になるだろう。
この杖には、結晶大王蟹の背甲にあった結晶と同じ様な物が使われている。
様々な魔法を大幅に強化する効果がある。
……ただし、同格の一極特化杖があるならそちらの方が強化率が高いのだろう。
「……あのぉー……私はぁ?」
「クリアは重傷者の回復、動かない人は僕が回収するから」
クリアの場合は純回復担当で、近接戦闘も出来ないので前衛に出る事が出来ない。
血刃なら色々と自由が利くので、回収に防御にと自在だ。
「さて、それじゃあ始めようか」
僕の呼び掛けに対する皆の気合いの声は、洞窟の中を大きく反響した。
耳が痛いよ……。
◇
マガネとセイトが広間に入ると、やはり、ゴーレムは動き出した。
唐突にガシャッと大きな音を立て、盾の表面がスライドした。盾の中から見えた物は——
「うわ!?」
「っ!」
「おっと、危ない危ない」
盾の中から飛来して来た石弾、それを急遽展開した血の盾で受け止めた。
マガネなら受け止められるかとも思ったが……まぁ、初撃くらいは補助しても良いだろう。
盾の内部は視認出来ないし、風も中には入らないので良く感知しておくべきだった。
「各盾に一門ずつ、残弾は……どうやら各盾一発ずつらしい、気を付けてね」
『了解!』
盾を分析してみた所、砲口は各盾の中央に一門ずつ、込められた弾というか玉は一つずつで、削り取った岩を回収して球状に成形しているらしい。
球状に成形する為の魔法陣は壊れてしまっている様で、これ以上玉を作る事は出来ない様だ。
ゆっくりとゴーレムに近付く二人。
十分に警戒して近付いたおかげで、その奇襲の如き攻撃に対応出来た。
「はっ!」
「がっ!?」
ゴーレムの感知範囲は、どうやら想定以上に広かったらしい。
盾をパージしてマガネへ投げ付け、突然の攻撃に驚いて停止したらしい無防備なセイトを爆裂槌で弾き飛ばした。
大きなダメージを加えるなら壁にぶつけるのが効果的だろうに、態々通路にいる僕等へ向けて弾いて来た。
音か何かで此方の人数を把握していたのだろう。
「前衛、突撃。クリアはセイトの治療を」
『了解』
「は、はいぃ!」
「ゴフッ……す、まない、ユキ、さん……」
「無理に喋らなくても良いよ」
吹き飛んで来たセイトを血のクッションで受け止めた。
竜の鎧で外傷は酷く無いが、衝撃が内臓を突き抜けたらしい。
中の人が脆いのはまぁ仕方あるまい。
探った感じから竜の鎧は中の人を守る術がちゃんと施されているが、魔力が足りない様だ。
これでは硬いだけの鎧である。
折角近くにいるので、鎧に魔力を補充しておく。
衝撃が突き抜け体内が酷く蹂躙されたセイトを、クリアが治療している。
追加で下級ポーションを使う様に指示しておいた。
皆はゴーレムを囲んでいるが、爆裂槌や石弾を警戒してか、ミサキが及び腰である。
一方、タクとセンリ、アランは石弾を消費させるのが狙いか、残った三つの盾へ真正面から近付いていく。
三人の武器は十分にゴーレムへダメージを与えられる物。
それを感じ取ったらしいゴーレムは、盾を持ち上げそれぞれに対して武装を展開した。
勿論それは悪手である。
「はぁああっ!!」
「ここっ!」
三人それぞれがゴーレムの武装へ対抗している隙間を突いて、ゴーレムの懐に飛び込んだのはアヤとユリちゃんの二人。
盾の接合部を狙った一撃は、上手くゴーレムの脆い部分を突いたのだが……。
「むぅ、硬い!」
「くっ、腕が痺れる……」
切断を狙ったその攻撃はしかし、接合部を凹ませるに留まった。
ユリちゃんの薙刀は竜属性が宿っている為か、盾と本体との魔力の流れを遮断したので、石弾はもう使えないだろう。
このゴーレムはそれなりに希少で堅固な金属が使われている様だ。
◇
幾度となく剣と盾がぶつかり合い、魔法がゴーレムの本体へと直撃しても、ゴーレムは倒れない。
どうやら、自動修復機能が付いている様で、本体の傷は次々に修復されている。
不壊とすら思えるゴーレムだが、その内包する魔力は確実に減少して行っていた。
盾はボロボロの傷だらけで、放棄された二つ目の盾はセンリの闇を宿した抜刀術で真っ二つにされていた。
魔力の消耗が激しい様で今のセンリの魔力保持容量だと発動は一回が限度らしい。
勿論、此方側も無傷とは行かず、盾を二つパージして身軽になったゴーレムが広間を暴れ周り、ポーションのおかげで死に戻りこそいないが、一部を除いて皆傷だらけである。
その一部であるタクは、双剣の防御と巧みな体捌きでドリルや爆裂槌、シールドバッシュを綺麗に回避して、着実に本体の魔力を削っている。
無傷組のアヤも、一時期青いオーラを纏って、その小さな体を上手く活用しゴーレムの懐に滑り込み、見事杭打ち機を切り落とした。
無傷組三人目はセンリ、脅威を感じたらしいゴーレムの執拗な連撃をひたすらに避け続け、時折抜刀術で盾の表面を削り取った。所謂回避盾と言う奴だ。
無傷組最後はアラン。アランは中々にハイスペックな奴だ。
横殴りの爆裂槌に、赤いオーラを纏った斧を正面からぶつけ合い、その衝撃を上手く利用して逆回転、槌を真っ二つに両断してみせた。
合気道やボクシングなんかで似た様な技があるが、アランは中々の武人である。
そんなこんなで次々に武装を破壊されたゴーレムは、残るドリルと二つの盾を使って傷を負いながらも辛うじて凌いでいるが、倒れるのも時間の問題だろう。
◇
《《【探索クエスト】『眠れる機兵』を『匿名』がクリアしました》》
《【探索クエスト】『眠れる機兵』をクリアしました》
《《
【探索クエスト】
『眠れる機兵』
参加条件
・ボスを発見、戦闘する
達成条件
・ボスを討伐する
失敗条件
・全滅する
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5〜7P
全体報酬
・フィールド制限解除
》》
【探索クエスト】
『眠れる機兵』
参加条件
・ボス『壊れた掘削機兵』を発見、戦闘する
達成条件
・ボス『壊れた掘削機兵』を討伐する。
失敗条件
・全滅する
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度13%
・スキル結晶『硬化』
・スキル結晶『防御』
エクストラ評価報酬
保護者
巧みな血捌き
・スキルポイント2P
・スキル『念動』
全体報酬
・フィールド制限解除
ゴーレムは最後、僕等後衛陣を与し易しと踏んだのか、全ての武装を破壊されながらも大暴れして前衛の包囲網を突破した。
そのまま僕等へ殴り掛かって来たので、血刃で縛り上げ動きを止めて、其処へ後衛陣の放てる最大の魔法とクリアの爆裂槌を受けて沈んだ。
哀れな物である。
ともあれ、これにて鉱山の攻略は終了だ。
・遺跡と鉱山の攻略 完




