第32話 戦闘準備
第四位階上位
進む最中に出てくる敵は、全てウルルが倒し、僕が回収する。
暫く後、通路が開け、大きな空洞に出た。
空洞は円形をしており、真ん中に白く大きなゴーレムらしき物が設置されていた。
反対側には上へ行く階段があるのが見える。
「おっと」
広間に足を踏み入れた瞬間、ゴーレムが起動しそうになったので、足を戻した。
どうやらこの広間の大きさがゴーレムの察知範囲らしい、幸いにもゴーレムは動き出していない。
「ふむ……」
広間を見回した所、出入り口はここと反対側だけ。広間の中にはトラップの類も見当たらない。
続いてゴーレムを確認する。
此方側からだと大きな球体に見えるが、反対側から吹いている風のおかげでただの球体では無い事がわかる。
どうやら、四つの大きな盾が合わさる事で内部を保護している様だ。
その内部には、シェルターの様に人が二、三人入れる空間がある。
大きな盾には硬化系等の魔法が施されており、かなり頑丈に作られている。
盾はパージ出来る様で、内部には魔法式のドリルや、クリアに渡した物と同じ爆裂槌、杭打ち機などがあり、武装されている。
シェルターの内部には何やら魔法陣がある様で、風がそこに取り込まれ、別の穴から外に吐き出されている。
……おそらくこのゴーレム、工事用なのだろう。
人が使っていた物なのは間違い無い。
それが人に反応する、と言うのは当然の様に思えるが、動いたのは搭載されている武装の方である。
風の吹き具合から考えて、この先に外へ繋がる道があるのは間違い無い。地図からみると、あの道の先は山の反対側だろう。
地図の画像をメールに添付して、全員に送信する。
内容は単純『ボス発見につき、現地にて集合されたし』である。
◇
待つ事暫く、皆が近付いてくる音が聞こえた。
耳は生やしていないが、吸血姫の装備だと通常より良くわかる。
待っている間、吸血姫は目覚めなかったので、この後の事を考えると送還した方が合理的だろう。
待機中は生産活動に従事して、幾らかの下級ポーションと、下級魔法の魔法符を生産した。
魔法符は、爺様に貰った無限ノートの特別な紙に、魔石の粉を混ぜた魔力水へ花から抽出した染料を混ぜたインクを使って魔法陣を描いた。
通常なら魔法陣の中心に手を置けば、僅かな魔力に反応して魔法が発動する様になっているが、暴発を防止する為にコマンド式にしたので魔法陣がやや大きくなっている。
これを皆に配る。
今回の戦い、僕達は補助に徹する予定だ。
皆と一瞬に戦えないのは残念だが、僕が倒そうとすれば一瞬で終わってしまう。
此処は涙を飲んで皆を見守ろう。
「ユキ、来たぞ」
「ユ!? ……ヵヮィィ」
「うん、僕が可愛いのは今に始まった事では無いよね」
「っ!? うぅ……」
やはり最初に来たのは最後に別れたタクとセンリのパーティーだった。
珍しくも唐突に、センリが可愛いとか言って来たので驚いた。
今は顔を真っ赤に染めて俯いてしまったが、まぁ放置で良いだろう。
今回の戦いで僕が使うのは、今しがた手に入れたばかりの血刃だ。
これはブレードと名についているが、その実盾にもロープにもなるし、針にも槌にもなる。
吸血姫の服を脱ぐと魔力をより多く必要とされるので、斬撃系以外に形状を変形させるには吸血姫の服と操血魔法が必要なのだろう。
これを使用して、盾と槍を浮遊させて援護する。
暫く後、アヤとユリちゃんのパーティーがやって来た。
ユリちゃんは鼻血が出た様で、明後日の方向を向いている。
問題があるとすれば、何故かユリちゃんの血の匂いが美味しそうに感じる事。
吸血姫の服にはそういう効果があるのだろうか?
……流石に自前の衝動では無いと思う。
「……お、おにぇちゃん。そ、そんなに可愛い格好ばっかしてると……襲っちゃうかもよ?」
「アヤ、おいで」
「!? お、おにぇちゃ〜〜んっ!!」
胸元に飛び込んで来たアヤを受け止める。
相手が僕じゃなかったら、洞窟の壁とアヤに挟まれて潰れているかもしれない程の衝撃である。
そしてアヤ自身も、うまく衝撃を逃した様だが、首の辺りから嫌な音が聞こえた。
見た目がソレな僕でも流石にクッション機能は搭載されていないのだ。
その後は、全員が辿り着くまで、ひたすらに甘えてくるアヤを撫で続けた。




