表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1291/1539

第42話 死の舞台 七

 



 それは太初の力。


 偉大なる吸血鬼の帝王にして、さる神族の因子に適合した、新たな始まりの力。



 それは異変の源だが、異常の源には非ず。



 ——それは小さな目醒め。



 果てしなく大きな奔流の中生じた、ありふれた奇跡の一つ。



◇◆◇



 人ならざる咆哮が、大空洞に響き渡る。



 理性を縛る鎖は弾けた。


 知性の殻に楔は打ち込まれた。



 悟性を失ったそれは、最早人では無い“何か”であった。



「ほぅ……」



 それは感嘆であった。


 それは憧憬でもあった。



 背を突き破り、血潮を纏って広がる雄大な翼。


 大地を打ち据え、亀裂を刻む鋭尾。


 双角は天を突き、その四肢は全てを拒絶するかの様に棘と甲殻に覆われている。


 ——竜と人が混じるモノ。


 猛獣の如く歪んだ真紅の瞳には、俺の姿がはっきりと映っていた。



 これこそが、彼の血統の覚醒。血の瞳ブラッドアイと呼ぶにはあまりにも変異し過ぎている。

 進化したその瞳を、進化したその姿を、我等が神はこう名付けた——



 ——血竜の魔眼ヴァン・ブラッド



 それは咆哮と共に、剣を振るった。


 素早く、重い一撃。


 理性の無い、ただ真っ直ぐな一撃。



 軽く避けたそれは、直線上の大地を割り砕いた。



 理性を捨て、知性を捨て、悟性を捨てて、その感情を一つに絞り、辿り着いた境地は——


 ——それでも尚、俺の足元にしか及ばない。



 否、俺がただの伯爵級であったなら、意思の差故に互角であったかもしれない。


 或いは、この状態にあって理性があったなら、この怪物は今の俺とも互角であったかもしれない。



 そう、そうだ。間も無く幕引き。


 ——序章の幕を閉じるのは、少年では無いのだ。



 影を、血を操り、側面から攻撃を仕掛ける。


 それと同時に、正面から剣を振るって見せた。


 少年だったモノは、正面からの攻撃を受け止め、側面からの攻撃を無防備に受けた。

 何度でも思う……理性があったならば……口惜しい事だ。


 それなりに闘気を練り込んだ影と血は、竜翼を根本から切断した。



「グルァァァッッ!!」



 それすらも気にせず振り下ろされた竜人の斬撃を受け止める。

 ズンッと重く響く衝撃が大地を砕き、余波が周囲の瓦礫を吹き飛ばした。


 怒りに染まるその瞳には、俺しか映っていない。

 死んだ少女達が瓦礫に埋もれるのにも、気付いた様子は無かった。


 ——あまりに哀れだ。


 必要な試練であったとは言え……一人の戦士として、一人の人として、早く終わらせてあげよう。



 影の斬撃が尾を切り裂き、血の斬撃が角を削ぎ落とす。

 凄まじい速度で回復しようとするそれを押し留め、次は腕を1つ飛ばした。


 強靭故に魔力は持っていかれるが、それだけ。


 何度でも、何度でも……残念だ。



 怒りの咆哮と共に振り下ろされた斬撃を、受け流した。

 炸裂する大地を気にせず、俺は彼の、無防備な心臓を貫く。


 血の剣を介して我がちからを流し込み、その命を蝕んで——



 ——舞台は整った。



 ふいに見下ろしたそこには、此方を見上げる赤い瞳。



「おや、まだ生きていましたか」



 全てを捨てても足りなかった少年とは違う、血竜の魔眼ヴァン・ブラッドの真の覚醒者。


 その器に——竜の魂・・・を宿す者・・・・



「……ロ、イ……?」



 赤き竜眼が星の様に瞬いて——



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ