第31話 吸血姫
※50万PV達成
第四位階上位
取り敢えず、大岩を回収する。
下にあったのはゴスロリの服とその隙間から溢れて飛び散る血と肉片。
ゴスロリの背中が破れており、何かに突き刺された跡があった。
仕舞った大岩を取り出して確認すると、ちょうど吸血姫を潰していた所に白っぽい小さな結晶が付いていた。
光属性の魔力を感じる。これが心臓付近に突き刺さっていたせいで力を出せなかったのだろう。
「う、うぅ……」
楔が取り除かれたからか肉片に魔力が行き渡り、グニグニと蠢いて服の中へと入って行く。
幾らかの新鮮な血液も服の中へ引き寄せられている。中々に気持ち悪い。
しばらくして、完全に再生した少女が動き出した。服も少しずつ修復されている様で、直す必要は無さそうだ。
「はっ!? …………に、人間?」
「大丈夫?」
少女は周囲をキョロキョロと見回し飛び散った血を見て真っ青になった後、再度僕を見上げて赤くなり、ゴクリと喉を鳴らす。
すくっと立ち上がると、僕を見ながら変なポーズを決めた。
「ふっ、人間。私を助けられた事、光栄に思いなさい!」
かなり気位が高いのだろう、そんな事を言った少女。
血が回復し切っていないのか肌色は僅かに青白いものの、頰は紅潮している。
またもやゴクリと唾を飲み込み、垂れて来た唾液を裾で拭った彼女は更に変な言葉を付け足した。
「それはともかく……私、今とてもお腹が空いてるの。貴方みたいな美しい娘は私が食べるに相応し……私が食べて上げても良いわ!」
何故か言葉を言い直し、血の様に赤い瞳で僕の目を覗き込んだ。
赤い瞳が一瞬キラリと輝き、かなり強めの魅了属性魔力が流れ込んで来たので、魔力吸収と魔力操作でそれをねじ伏せる。
「さぁ、首を出して?」
言われた通りに、メイド服をはだけさせ、首元を露出させる。
勿論齧らせるつもりは無い。
「ふふん、そうよ、それじゃあ頂きま——」
「カプッ」
「へ?」
此方に近付いて来た吸血姫は、頰を紅潮させ、ダラダラと唾液を垂らしながら、何の疑いも無く僕の首に噛みつこうとして来た。
なので、その無防備な首筋に逆に噛み付いてみた。
お腹が減っていると言う事なので魔力譲渡で魔力を補充して上げよう。
「え? な、何? !? ふぁぁあああ!!?」
魔力補充が終わるまでは幾らかの時間が掛かった。
◇
メニューから吸血姫の体力を確認すると、バーがもう三割を切っていたのでそれなりに危険な状態だったのだろう。
魔力も殆ど使い切っていたので、瀕死の重傷と言える。
「ふぁ……ぁ……」
「美味しかった?」
「ぁぇ……」
吸血姫がへたり込んでしまったので、背負いあげて移動を開始する。
僅かに残っていた血液は凍らせて回収、乾いた血は削ぎ落とし、解呪して洗い流した。
これでマーダーフェイリュア・ヴァンパイアが発生する事は無いだろう。
送還してしまっても良いのだが、色々と説明をしていないので取り敢えず背負っておく。
新しく手に入った装備を確認する。
武器は血の塊みたいな物で意のままに操れる。
大きさは圧縮して小さくする事も可能で、大剣にも出来るし複数のナイフにも出来る様で、かなり使える。
防具はゴスロリ服と黒いマントで、換装に登録して着替えた所、暗闇が一気に晴れ生物の気配がより感じ易くなった。
どうやら腕力も上がっているらしい。
目的地は洞窟の奥、強い風の音と良く知った気配がする。
これは……ゴーレムだね。




