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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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第40話 死の舞台 五

第四位階下位

 



「ぅ……っ……?」



 痛みと大きな音で目が覚めた。


 軽く頭を振り、額を抑える。


 ……そうだ、私、吹き飛ばされて、全身に血の剣を……どうして生きて……? ……っ!



「コルニッ」



 コルニが戦っていた筈ッ。


 見えもしないのに辺りを見回そうとしたその刹那、まるで夢から覚めた様に、鳴り響く激しい剣戟がはっきりと聞こえて来た。


 気配で直ぐに分かった。ロイが戦ってる!


 でも、それはまるでロイじゃないみたいに重く、強い気配だった。

 怒り狂った様に剣が振り回され、吹き荒ぶ剣風が此方まで届いている。


 その理由には、直ぐに気づいた。



「……っ!? ……コルニ……?」



 コルニの血の匂いが風に流れて来た。


 そこにコルニがいる筈なのに、コルニの鼓動は聞こえなかった。



「あ、あぁぁ…………!」



 どうしてっ……? どうしてコルニがっ……! なんで——



「ッッ!」



 バシッと自分の頬を張る。


 ダメだ……! ここは戦場だから、今ロイが戦ってるから……だから……!



「コルニぃ……!」



 苦しいよっ……辛いよっ……! こんなの、嫌だよっ……!! でも……でも、戦わないと…………。


 なんで……ダンピールの未来の為だ。


 ……どうして、吸血鬼が襲って来るから、いつ死ぬか分からないから……戦わなきゃいけなかった、命懸けで……。


 ただ……死に怯える事無く、皆でのんびり、幸せに……当たり前に、生きたかっただけなのにっ……!


 私は戦場へ意識を向ける。


 ロイを、少しでも、援護する為に。



「……くっ」



 ……だと言うのに……!


 瞬きの内に幾度も剣戟が鳴り響き、風が吹き荒れ、大地が捲れる。

 鋭い影と血が交錯し、溢れた残滓が風に乗って流れる。



 ——あまりにも早すぎる……!



 気配を追い掛けるのがやっとだ。


 こんな所に介入すると、却って足手纏いに成りかねない……だけど……一目で分かる、ロイには余裕が無くて、敵には余裕がある。


 ——遊ばれているんだ。



 悔しい。


 どうしようもなく弱い自分が。


 強いロイよりも敵の方が強い事が。



 怒りや悲しみ、いろんな感情が、涙となって溢れて来る。


 だけど、泣いても何も変わらない。


 私は何かをしなきゃいけない。


 例え死んででも……ロイの為なら、命は惜しく無いから。

 でも、どうしたら良いの……? 少しでもロイみたいに動けたら、私も戦えるのに……!



 じっと戦いを観察する。


 明らかに、ロイの一撃の威力や速度が上がっている。ロイが凄く強くなっている理由は、見ていても全く分からない。


 いつもはぼんやりとしか感じられない気が、まるで炎の様に噴き上がっているのだけが分かった。


 対して敵は、練られた気が石や鉄の様に硬く、鋭い。

 しかしその内側は、ロイにも負けないくらい勢い良く……おそらく血を巡らせている。


 これを真似したら……もしかしたら強くなれる……?


 分からない、わからないけどやるしか無い……!



「ふー……」



 息を大きく吐き、自分の内側を意識する。


 操作のしかたは血矢術と同じだ。それが内側ならば、より簡単な筈。

 深い呼吸を繰り返し、体内の血を操作する。


 どうすれば良いのか分からないから、とにかくがむしゃらに、何処までも。


 何も出来ない私は、唯一血の操作だけは大人顔負けの力があった。


 これでどうにかならないのなら……私に出来る事はもう……。



「はっ……はっ……」



 次第に呼吸は浅くなり、鼓動は激しく鳴り響く。それを維持しながら戦場へ意識を向けた。


 その戦いは……少しだけ、でも確実に——遅くなって見えた。


 これだ……これだっ!!



「はっ、はっ……!」



 どんどん血流を加速する。


 それと同時に全身の気もまた速く巡り、今のロイみたいに、どんどん強くなって行くのを感じた。


 本当は血じゃなくて気を巡らせる事が大事なのかもしれない。そうは思いつつも、今出来るのは血を操る事のみ。



 どんどん、どんどん、どんどんどんどん、素早く、大きく、戦いに追い付ける様に……!



「はぁッ、はぁッ!」



 血が巡れば巡るほど、全身が熱くなり、それらは少しずつ痛みに変わって来た。


 痛みは次第に焼ける様な激痛へと変わる。それでも、止まる訳には行かない。


 塞がっていた傷口から血が流れ出そうと、敵を討つ助けになるなら——



 ——その時は訪れた。



 十分な加速。ゆっくりと流れる世界の中、ロイと敵の剣が衝突し、互いに弾かれる。


 素早く切り返す敵に、ロイは遅れて剣を引き戻し——



「——ここッ!!」



 私は槍を投じた。


 持てる全てを込めた、私の、最後の一撃。



 それは狙い違わず吸血鬼の胴目掛けて飛び——


 ——切り返しの斬撃で弾かれた。



 その隙目掛け、ロイの一撃が、確かに、吸血鬼の胴体を、斜めに、両断した——



 あぁ、良かった……ロイ……勝っ……た…………。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
[一言] きっと彼らは次があったら強くなるためにとても努力するようになるんだろうなぁ… やったね、やる気のある配下が増えるよユキちゃん!! 更新お疲れ様です!
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