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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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第34話 夜の帳

 



 その日、激戦を生き抜き、迷宮の氾濫を越えて、更なる氾濫に備えていたダンピール達に、悲劇は訪れる。



「愚かにも我等貴き血統に反旗を翻した穢れた血共に天罰を降す!」



 虎の紋を持つ伯爵が声を上げ、吸血鬼達が無差別にダンピールへ襲い掛かる。


 老いも幼きも男女の別も無く、武器を持った者も降伏した者も、皆惨劇を彩る贄となる。



 全てが終わり、全てが始まる夜は、斯くして始まった。





「は? なんだって?」



 拠点で僅かに休憩を取り、武装を点検していたロイに、その一報は届く。



「もう一度だけ言うぞっ、虎の連中が襲い掛かって来やがったっ、奴等戦えない奴も女子供も無差別だ!」

「なんでだよ!」



 革命軍の動きがバレたか、もしくは……瞬時に様々な可能性を考えたロイは、怒りに震える同胞の、血を吐く様に振り絞った言葉を聞いた。



「……上の見解じゃぁ、革命軍がばれたんじゃ無く、迷宮の氾濫の鬱憤晴らしだって見立てらしいが」

「クソどもがッ!」



 ドンッと壁を叩く音が響いた。


 奴等ならやりうると納得した。大した裏もなく、ただ機嫌の良し悪しで同胞達を殺しうると。



「虎以外の紋無しも便乗しようって動きがあるらしい! もうがやるかやられるかだっ! ヴォーグさんは既に動いてる! お前らも頼む!」

「くっそ、直ぐに行く!」



 駆け出した同胞を見送る暇もなく振り返ると、既にコルニ達の準備は終わっていた。



「っ……」



 見えなくとも分かるその姿に、ロイは息を呑んだ。


 これから、本当に、命運を賭けた殺し合いが始まるのだと気付いたから。


 自分達が有利で、自分達が仕掛けるのだと油断していたから。



「……遂に、始まるんだよね?」



 コルニは囁く様に言った。


 遠くから聞こえる悲鳴と轟音に、ロイは背筋を震わせた。


 失いたくない皆と、命が失われる場所に行く。

 戦わなければ、どの道叛意がバレて皆殺しだ。いっそ逃げてしまえたら……。


 そんな思いを振り切って、ロイは剣を持った。



「……皆、覚悟を決めろ」



 自らに言い聞かせる様に、ロイは言葉を紡ぐ。



「誰が死んでも構うな……フォーレンを討つ。それ以外に、俺達が生き残る術は無い」



 鍛えた武技を振るうに邪魔にならない軽装鎧を着込む。

 言葉とは裏腹に、ロイはいもしない何かへ祈る。


 死なないでくれ。


 生きてくれ。


 あぁ、目が見えていたら、もっと苦しかったのだろうか?



 装備を整え、外へ出る。


 その前に、少し立ち止まった。



 ——この家とは、最後かもしれない。


 そう思うと、色んな記憶が、思い出が溢れて来る。

 焦げた匂いがもうしない台所。寂しく無い様に一緒にした寝床。よく物を落として傷付いた食卓の床。


 走馬灯の様に駆ける全てがどうしようも無く懐かしくて、それらを全て捨て置き、ロイは一歩、前に出た。

 底なし沼の様に絡み付く思い出を振り切り、未来へ。


 先に外へ出た皆がロイへ振り返る。


 そこに浮かぶのは、僅かな緊張に固くなり、それでも覚悟の決まった笑み。



「ロイ、この戦いが終わって平和になったらね……私達からロイに伝えたい事があるんだ」



 コルニは2人と目を合わせて頷き合った後、ロイへ視線を戻した。



「だからね……絶対にっ! この家に帰って来ようね!」

「ッ……! ……あぁ、絶対だ……!」



 最後かもしれないと怖気付いていた自分を戒め、多くを語らずに、ロイは覚悟を決め直した。


 どんな事があっても生き抜く。


 それが叶わないのなら、せめてこの3人だけでも、家に帰れる様に。



「行こう……!」



 4人は街へ駆け出した。


 ダンピールの未来の為。自分達の未来の為。



 惨劇に彩られた、戦場へ。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
先に死んだ奴らこの戦い眺めてるってマジww
[一言] 裏で観戦してる銀の巫女が全ての死者の魂回収してるっていう喜劇。
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