第30話 異変の原因
第四位階上位
洞窟内部では皆は灯り石を使っているが、僕は夜目スキルのレベルが上がって来たので洞窟の陰もそれなりにしっかり見える。
洞窟の中をカサカサと走り回る小さな虫も割としっかり見える。良く見えると言う事は見えなくても良い事も見えてしまうと言う事であばば。
「どうした? ユキ?」
「……何でも無いよ」
何度かの分岐を通過し、それぞれの担当区画を埋めに行く。
坑道の方は紛れ込んだ魔物退治と地図を埋めるのが目的。広く複雑な洞窟の方は取り敢えず地図を埋め、異常があれば僕に伝達する様になっている。
「それじゃあタク、センリ、またね」
「おう、また」
「ユキも気を付けるのよ?」
「うん、メロットも程々にね」
「ぅー」
二人と別れると、早速耳を生やす。
洞窟の中は音が反響し、無駄に処理能力を使用するが、慣れれば遠くの戦いも手に取るように分かる。
カサカサと走り回る虫の音はかなり不快なので除外。
後に聞こえるのは、山から吹きおろす風の音、皆が戦う音、蝙蝠の羽音、岩兵が歩く音、見知らぬ呻き声。
……呻き声?
音源を目指す事しばらく。
次々に現れるマーダーフェイリュア・ヴァンパイアは、塔で戦った連中に比べるとレベルが低く、元々無かった理性が更に欠如した獣だった。
ゴキブリを生きたまま貪り食っているのも発見した。キモチワルイ。
それらを鎚で叩き潰し進むと、悲惨な現場が目に入って来た。
落盤事故だろう。
胴体が完全に潰れ、金髪の頭だけが岩の隙間から出ている。
不可解なのは、乾いた血が周囲に飛び散り、真新しい血が今も少しずつ流れている事。それと聞こえた呻き声。
取り敢えず死体の頭に手を置いて、浄化効果のある解呪を使う。
アンデット化している可能性があるので放置するより浄化した方が良いと判断したからだ。
「『解呪』」
そう唱えると、解呪の魔法が発動する。簡単な術を解く術だが、同時に浄化の力も発生する。
手の先に魔法陣が現れ、人の頭部に聖なる力が流れ込む。そして——
「っ!? ぎゃあぁぁぁぁああーーー!!!?」
「…………ん?」
死体が悲鳴を上げて目を覚ました。
……あれ?
? LV?
ふむ、何か知らないが取り敢えず。
「『中級契約』」
「ーーぁぁぁああ!!? はうぁ!?」
何かを捕獲した。
《【王国クエスト】『家出の吸血姫』をクリアしました》
【王国クエスト】
『家出の吸血姫』
参加条件
・ボス『吸血姫』の保護及び捕獲
達成条件
・ボス『吸血姫』の保護及び捕獲
失敗条件
・ボス『吸血姫』の討伐、死亡または取り逃がす
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
・武器『吸血姫の血刃』
・防具『吸血姫の魔霊装』
・スキル結晶『操血魔法』
・スキル結晶『操影魔法』
・スキル結晶『吸血耐性』×6
・スキル結晶『闇耐性』×6
エクストラ評価報酬
幸運
不運
ボス『吸血姫』の捕獲
・スキルポイント9P
・スキル『祝福』
・スキル『疲労耐性』
・スキル『睡眠耐性』
全体報酬
・進化条件の緩和
ふむ、つまりこれは生きてるって事だね。
そして間違いなく、これの血が原因でマーダーフェイリュア・ヴァンパイアが発生している。




