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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十六節 エルダ帝国の攻略

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第13話 明けない夜の国

第三位階上位

 



 ——ここは、腐った臭いがする。



 気付いた時には沢山のガキの中にいて、何人かの大人やじーさんばーさん達と、俺より歳上だったり同年代だったりのガキで更に小さいガキの世話をしていた。

 ボロボロの大人が肉やら血、服だったりを持って来てくれて、それでどうにか生きていた。


 大人もガキも、いつも来ていたのに来なくなったり、昨日までいたのにいなくなったりなんてのはザラで、そう言った奴等は町のどこを探しても見つからない。

 よく笑ってたおっさんも、色んな事を教えてくれたばーさんも、綺麗好きだったねーさんも、俺に着いて回ってたちびすけも、2度と会う事は無い。


 何処に行ったのか聞いたところで、大人は悲しい顔をするばかり。


 そんなクソみたいな日常が続くある日の事、お腹すいたと下を向きながら言う妹分に、寝てろとありがたい助言をしてやって、大人達が武器を持って入る洞窟に向かった。


 場所は聞いちゃいないが知っている。


 知らない家やら洞窟やらには入らない様に言われているし、むやみと外を彷徨かない様にも言われていたが、腹が減らない様にしたかったから。

 気配を隠すのは上手かったし、武器を持った大人達の後を付けて、場所の調べは付いていた。


 昔から力は他の奴等より強かった。


 色んな事を教えてくれたばーさんが、俺は偉い人の子かもしれないと言っていた。

 偉いと強いとか意味分かんなかったが、普通より強いらしい事は分かった。


 だから武器も持たずにそこに入って、襲い掛かって来た肉や血を殺して喰った。


 なんだ、大した事ねぇ。そう思って進んでたら、おっさんがいた。

 たまに来るおっさんだ。


 おっさんはデケェ肉を持ってて、ちいせぇ肉を何個も下げてて、そんで何も持ってねぇ、血にも濡れてねぇ数人のおっさんにペコペコ頭下げてデケェ肉を渡してた。



 ——腐った臭いがした。



 こいつらだって、直ぐに分かった。


 こいつらが、大人が下ばっか向いてる原因。


 ガキ共が腹を空かしてる原因。


 皆がいなくなる原因。



 ——腐った臭いの原因だ。



 ちいせぇ肉だけ持ったおっさんが出て来るのを外で待ち、下を向いてるおっさんに声を掛ける。



「なぁ、おっさん。何で肉、やっちまったんだ?」

「君は……ロイか……聞いていたんだね」

「気持ち悪い喋り方すんなよ。俺はあいつらじゃねぇ」

「あ、あぁ、すまん」



 しっかりと視線を合わせると、おっさんは少し首を後ろに下げた。

 大人は皆そうだ。俺の目を見ると、少し顔を引かせる。



「家まで送ろう。君はんだろう?」



 そう言って悲しそうな顔をするおっさんに、俺は舌を打った。



「ちっ……音と臭いで大体分かる。少なくとも下ばっか見てる大人よりは、多くのもんが見えてるよ」

「そう、か」

「だからおっさん……あいつらより、強いんだろ? 何であいつらの言う事を聞くんだよ……!」



 おっさんは膝をついて俺と視線を合わせ、俺の頭にその大きな手を乗せた。


 その顔は、苦痛に歪んでいた。



「……吸血鬼達に逆らってはいけない。奴等は僕達よりも、ずっと多くて、強い力を持っている」

「なら、強くなりゃ良いだろうが」

「……ロイ、君に来て欲しい場所がある」



 そう言うおっさんの弱々しい笑顔の中に、何か強い、芯の様な物を感じた。



「……ところでロイ、僕の名前を覚えているかい?」

「しらねーよ」

「オーダンだ。覚えておいてくれ」

「直ぐいなくならねぇなら覚えておいてやる」





 オーダンのおっさんの案内で、俺は革命軍の存在を知った。


 そもそも吸血鬼が何なのか、俺達は何なのか、ここは何処なのか、吸血鬼の何が脅威なのか、吸血鬼を躱すにはどうすれば良いのか、それから、武器を使った戦い、使わない戦い、立ち回り、影の使い方、血の使い方、気配の消し方。


 それなりに強いオーダンのおっさん、酒ばっか飲んでる割に強いギムのおっさん、やたら威勢の良いランダのばーさん、他にも沢山の奴がいて、中でも1番強くて頭も良いのがヴォーグさん。

 革命軍の頭を張るのも分かるってもんだ。


 それから俺はあっちこっちの洞窟に入っては、食い物を集めたり使えそうな武器や鎧を集めたりして、軍備を拡大していった。

 その間に情報部の連中が中央まで行って吸血鬼達の屋敷を調べている。



 あちこち行ってる間に、分かって来た事もあった。


 吸血鬼達は全部が敵では無いって事だ。


 剣の紋章持ち、暴君ウェンザードの一派は、こっちをはなから雑魚と決め付けて、何も奪って来やしないが、邪魔だと思ったら蹴っ飛ばして来る。

 実際嫌な臭いはするが腐りきったにおいの奴は殆どいない。


 鳥の紋章持ち、美童アンテの一派は、俺達ダンピールを無い物として見て、なるべく避ける様にしている。関わらざるを得ない時は見下してくれやがるが、それだけだ。

 嫌な臭いはするが剣よりもマシ。


 バラの紋章とユリの紋章持ちは、嫌な臭いが一切しないが特段助けがある訳でも無い。



 1番臭えのは虎、深淵フォーレンの一派だ。その次は紋無し。中でも弱ぇ奴等は腐った臭いが強い。

 当たり前の様に俺達を見下し、弱ぇ奴等は強ぇ奴等を笠に着て、威張り散らして奪い去る。


 だから俺達は、虎さえ、フォーレンさえどうにか出来れば、このゴミみたいな状況から抜け出せるって訳だ。


 それに、遠目から三公を見る機会があったが、他の2体は化け物みたいな気配を放っていたのに、フォーレンの奴は格落ちも良い所、精々伯爵級だ。

 勿論舐めて掛かれる訳じゃねぇが、虎の一派の伯爵級なんて他と比べりゃ大した事無い。


 しっかり軍備を整えて、集団で囲めば潰せる。


 全て奪われて絞りカスみたいに殺される前に、こっちから奴等をぶっ殺して地獄に叩き込んでやる……!


 ……例えその戦いで、俺が死んだとしても……いや、それはそれで大事なもんを失う恐怖から解放されるのか?



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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