第11話 赤い湖で休憩
第七位階上位
本体僕が出血大サービスに戻り、お子様達には刺激の強いサキュバス僕が桃花達の様子を見に行く。
まぁ、見に行くと言っても既に観測済みなので、ちょっかいを掛けに行くと言うのが正しいが。
向かった先は、今や大人気、フィジカル強めで技量それなりの敵ばかりが出る大迷宮、星隆。
現在は、遂に揃った勇者パーティー、桃花一行のチューニング用に管理されている。
早速隠行を最大限意識して接近する。レベル600を超えるこの擬態での隠行は、僕の隠密能力を十全に発揮できる。
「ギンイロ! 何処にいるか! 隠れてもムダ!」
「いないよ」
「ん? いないか? ………声した!」
「幻聴だよ」
「げんちょ……? 声する!」
単独行動で獣を蹴り殺して回っていた空華を見ていたら、気付かれた。
多分金と銀が引き合う要素に加え、太陽の神権を持つが故だろう。
太陽は全てを見抜く神性がある。僕の配下の中で空華程太陽神権に霊合出来ている者はいない。
バレちまった物は仕方ないので、本体に分霊身を要請してそこらのエリアボスを乗っ取って空華を襲わせる事にした。
何で1人で回ってるんだ、連携の訓練だぞっ、お仕置きだ!
一方、禅鬼。此方も単独行動で拳で獣を殴り殺して回っていたのでお仕置き。
桃花は、全く、皆ちゃんと連携しなさいよとか言いながら1人で巨人を切り倒し回っていたのでお仕置き。
白羅はそれらトライアングルの中心で黄昏ていたから折角なのでお仕置き。
分霊身は模倣分体なので本体にはまるで及ばないが、予測と目算は経験則なので、後は最低限レベル800クラス達の動きが見えていればどうとでも出来る。
基礎出力の高い分霊身を送り込む必要がある為本体の修行に差し障るが、分霊身を送り込む事自体が修行になるし、その得られた経験は本体の能力を向上させるのも間違いない。
味方の強化と自分の強化が出来る一石二鳥の妙手。やって損無し。
強いて言うなら分霊身を作らず本体が直接操作する方が戦闘力は高まるし、必然経験も濃密になる。が、演算力消耗が激しくなり過ぎるから、残念ながら最高効率とは行かない。
◇
これ見よがしに目の前に現れ、あからさまに1人へ集まろうとする僕入りエリアボスに、流石の問題児達もその脅威を認識して1つ場所へ集結した。
それからは、まるで1つの生き物の様に巧みな連携をする僕の群れを前に、連携のけの字も無い桃花一行は地味に苦戦を強いられる事となった。
因みに”れ”と”ん”は桃花と白羅の分である。”け”と”い”を欠いた連携なんぞ、誘導する事は容易い。
程良く痛め付けて、埋め難い基礎スペック差に削り取られ、最後は折角なので爆発した。
血肉、魂、その全てをエネルギー変換した爆発は、弱ったふりから油断を誘い、首付近を狙っての起爆。
スペック差故に首が取れる事こそ無かったが、中々の、そこそこの大ダメージである。
白羅と桃花のダメージが低かったのは流石と言える。鍛えて来た修練の賜物だ。
空華と禅鬼は順当なダメージ量。どちらも肉体スペックが高いので致命打とならなかったのは残念だ。
まぁ、それなりの訓練になった筈なので良しとしておこう。
◇◆◇
昼食を摂り、スキルレベリングを再開する。
流石に何時間も同じ事を続けていると、慣れるどころかもはやフルオート。
型通りに動く緩やかな演算の中、随時補給される莫大なEPと資源を至天霊郷に投入、発展の補助をする。
まぁそもそも、レベリングしているのが武術系スキルや下位魔法スキルなので、消耗らしい消耗が無い様な物なのだ。
とにかく数と種類を連打して、慣れを蓄積すると共にその性質にまつわる情報を反芻する事で、低次スキルなぞどんどんレベルアップしていく。
そんな訳で、折角演算力が余ったのだし、何かの作成に手を付けようと思う。
取り出したるは、空華の捕獲報酬、赤き烏と黄金翼。
一対の翼を形成し、炎を操って爆発を起こしたり、魔導生成の火の鳥を生み出される黄金翼を、2つに分解。
ベースとなる神霊金属の合金に分けた黄金翼の因子を投入し、神木のボス、ヴィゾープニルから取れる資材で不足を補って術式を構築、赤き烏と同じ様な物を2つ作成した。
それに伴い赤き烏も少し改良を加え、名前を変える。
出来た物は、赤烏、黒烏、金烏。
これら3つの魂を接続し、1つの装備として纏め、八咫烏と命名した。
試練級の装備2つを消費し、神霊金属をベースとして、レベル500クラスの資材をふんだんに練り上げた一品。
その能力は、天狼やレヴァンティン、千手巨神に匹敵する、神器と言うべき代物だ。
加工や構築には相応の消耗があったが、まだまだ余裕はあるし、今も休憩中みたいな物だから問題ない。
八咫烏をあげるのは、鷲くんことヴィーダ。
八咫烏にはその巨体の死角を補う役割を担って貰う。
それじゃあ暫くの休憩タイムだ。




