第10話 運命の星の下で
第八位階下位
図書館で自習勉強に励むちびっ子達の元に来た。
尚、グンガーダことぐーたんもといぐーきゅんは休みと知るや六仙の誰かに師事を請いに行った。
まぁ、幼児向けのテストなんて今の彼等彼女等にとっては簡単過ぎる問題だ。
学力は最低限有れば良いし、他のちびっ子より1年2年遅れてようと気にしないで良い。
あまり人の来ない午前の図書館に入り、既に気付いていたちびっ子達が待ってましたと此方を見ているのを視認するや否や、オリジナルメレリラが光となった。
取り急ぎ図書館が破損しない様に爆発を相殺し、うーたん達がおほしさまにならない様に突進の威力も相殺した。
まぁ、想定内である。
突撃したオリジナルメレリラは、うーたんを固まっていためーたん、れーたん諸共抱き締め、そのレベル800に迫る力をフルに発揮して締め殺さんと……感動の再会を果たそうとしていたので、念動力できっちり軽減した。
急に正面から抱き締められてびっくりしていたうーたんは、暫しその涙でぐちゃぐちゃな顔を見上げてからめーたんへ視線をやり、めーたんと謎の桃兎を交互に見る。
それから少し考えた末に、一つ大きく頷いて、モゾモゾと上へ移動、謎の桃兎の頭を撫で、抱き締めた。
それに合わせてめーたんれーたんも上に移動、桃兎団子を形成した。
うむ、まぁ、ちびっ子達も、自分達がどう言う存在なのかは理解している。
例え観測データを元にした神の被造物なのだとしても、そこに無尽蔵の愛が与えられるから、それを受ける己と言う意志があるから、他所から見た本物かどうかなんて関係ない。
そう思う様に教育したからね。
うーたんはある程度確信し、他2名は何となく理解しながら、涙の止まらない大きな兎を核にした桃兎団子は暫しの時を過ごす。
一方その横ではカツンカツンとブーツの音を鳴らし、2人のいいんちょ族が邂逅する。
「……」
「……」
静かに向き合うアルティア達。最初に口を開いたのはリトルなアルティア。
周りを見て、状況を察した彼女は、未来の己を見上げ、片手を伸ばした。
「こんにちは」
「……こんにちは」
オリジナルアルティアの反応が芳しくないのは、引け目を感じているからだ。
普通は逆だが、アルティアは己がオリジナルだと理解しているが故に、事実上のコピー、偽物であるリトルアルティアが傷付くんじゃないかと恐れている。
そして、リトルアルティアはそれを理解しているが故に、真っ直ぐ、堂々とオリジナルアルティアと接している。
徐に、リトルアルティアは両手を広げた。
その微笑みに宿るのは、深い慈しみ。
とても4歳そこらの子供が浮かべる笑みでは無いが、転生者な上にちゃんと教育しているのでそんな物だろう。
シルエットこそ抱っこをせがむ子供だが、その笑みだけで、幼子を抱き上げる聖母の様にすら見える。
その様を見たアルティアは目を見開き、ちびっ子を見た目相応にか弱いのだと思い込んでいた己を恥いる様に目を伏せた。
そのまま流れる様に膝を付き、リトルアルティアを抱き締める。
「……長い旅でしたか?」
「えぇ、とても……果ての見えない旅でした」
生き別れの姉妹が再会したかの様に暫し抱き合った2人は、喜びと愛を囁く様に言葉を紡ぐ。
「……貴女が羨ましいです、アルティア」
「……貴女が誇らしいです、アルティア」
片や、僕と出会えた未来。片や、僕と出会えなかった未来。
お互いの歩んで来た道を振り返り、その途方もない過酷さを誇り、その濃密な愛を羨む。そして今、手を繋いで希望に満ちた未来を見据えているのだ。
僕に会えて良かったね!
また一方では、2人のシュクラムがもちもちした顔で抱き合ってもちもちしていた。
2人は夢の神域で毎日遊んでたから、此方で会っても特段喜ぶ事ではない様である。
◇
暫し運命の出会いを楽しんで貰った後、主にうーたんがキャッキャッと自己紹介をして、名前の方も一応は決まった。
メレねーたん、アルねーたん、シューねーたんである。
そこら辺は今後どうにかするとして、少しの交流を得た獣人組は、それぞれの訓練に向かった。
ちびっ子達はのびのびと基礎知識学習、大人はイベントを利用した濃密な基礎戦闘訓練。
その両方に僕アバターを付けてあるので、出会いショックのアフターケアもバッチリである。
メレねーたんの方は凄く名残惜しそうだったが、僕アバターがいれば問題あるまい。
これでいよいよ、レベル800クラスの戦力3つを正式運用出来る。
獣人達の予定も終わったし、次は同じくレベル800に迫る戦力、桃花一行の確認。
残り1体の僕アバターを向かわせ、本体僕はスキルレベリングに戻る。




