第2話 タスクを熟そう
第八位階下位
昨夜の内に、コウキ率いる巨大レギオンが砂漠と沼の迷宮をクリアし、2つの中位環境迷宮が解放された。
解放されたのは、大砂漠と大湖沼。
報酬は幾許かのお金とポーション。
中位環境迷宮の踏破報酬が、柔軟鋼で構成された伸長する棒。毒精鋼、トルウェダ希少鋼の短剣。
付与結晶が、一撃の威力向上、練魔の鋭刃。一撃の強烈な呪傷化、絶死の呪傷。
ダンジョンの主な構造は、大砂漠が、広大な砂漠を基本としつつ、サボテンの森、多少木や草が見える荒野、オアシス等がある迷宮で、南東の海沿いの荒野から北東のボスエリアを目指す構造となっている。
裏ボスがいるのは北西の断崖の先。全体と比べれば大した事ないエリアにいるのは、巨大な魚のボス、ドルクティス。
魔導生成で形成した小魚の群体を全身に纏って鎧とし、更なる巨大魚の姿となって暴れ回る他、細やかに砂を操ったり小魚を放ったりして武器とする。
レベル250相当の力を十全に操るそれなりの強者である。
一方大湖沼。此方は色んな沼や湖の畔を縫い、時に川を越えて進む迷宮。
裏ボスは、中央に存在する巨大な湖の中心。最も水深の深いそこにいる、巨大な水生植物だ。
名前はアトノミノミト。太い芯と強く張られた根を持ち、葉が変形した蔓の様な器官に、葡萄の様な無数の球体を付けている。
球体は強力な粘性を持つ膜で覆われた毒ガスの泡で、蔓を振って絡め取った生物を毒殺して養分にする様である。
強固な芯のあちこちから蔓は生えており、然ながら要塞と言うに相応しい様相。
追い詰められると泡の膜を大きく広げ、全身を包んで毒ガスを噴出してくる様で、毒耐性は必須だ。
次に妖精達の確認。
先ず行なったのは、妖精達の中心であるリェニの徹底的な強化だ。
元より花から妖精を創造する力を持つリェニに、植物を強化する力を持つ指輪型の装備、姫の花冠を装着。続けて異空間生成型のペンダント、約束の花園を腰に付け、薔薇の花の髪留め、大輪のルクローサを換装。
それら全てを馴染ませ、愛属性や経験値粉等を丹念に練り込み、強制進化を施した。
進化先は、レジェロス。
薔薇の影響が強いか蜻蛉羽は赤く染まり、膨大な生命力が命の玉となって周囲に浮いている。
それは一種の宝珠と言っても良い代物だ。
宝珠程のエネルギーや演算力は無いし、凡ゆる物に親和する性質も無いが、6つあるしほぼリェニしか使わないから何の問題も無い。
花園の自領域には妖精に住み良い環境が整えられると共に、植物系魔物の配下を創造する場でもあり、また保持する場でもある。
大輪のルクローサを取り込ませた事により、個人の戦闘力と言う点でも僕の配下のトップに追い付いた形だ。
更には……大輪のルクローサの力と体得した命の玉、植物生成、強化能力を組み合わせると……それなりに凄い事が出来たりする。
続けてルェルァ。
此方は100個ある結晶薔薇花弁、クリスタルペタルをその魂に取り込ませ、強制進化を施した。
進化先はプリスティーレ。
蜻蛉羽が七色になり、宝石創造と操作の力が増した。
その最たるはリェニと同様、宝珠にも等しい宝石の創造力。
ルェルァの周囲では無数の結晶花弁が花吹雪の様相を呈しており、更にはそれが寄り集まって一体化した花々が咲き乱れ、おまけに宝珠を模した球体の演算補助、魔力保持装置が幾つも浮いている。
現時点ではリェニの方が補助機能が強力だが、それを増やす能力はルェルァの方が高いので、やがてはルェルァの方が演算補助装置が多くなる事が予測される。
尚、総合魔力保持容量と言う点で見ると、アホみたいに結晶花弁を生成しまくって花吹雪を振り回して遊んでいるルェルァが遥かに上回っている。まぁ、無駄にはならないから良いよ。
大量の結晶花弁と花による一斉攻撃は、エヴァやイェガに代表される多くの配下達同様の貯蓄型攻撃であり、準備の足りない同格程度では受け止められない。
続けて、おまけのプリノンノ強化。
プリノンノにはルクローサの花蜜を投入し強制進化させた。
種族はアニマーテ。羽は派手な蝶羽になり、魔力保持容量が爆発的に増加した他、凡ゆる魔法への適性と高速思考系スキルが充実した、妖精の機神ティルナノグの様になった……と言うより、そもそもティルナノグの中にいた魂こそが、プリノンノのモデルとなった妖精だと思われるので、本物に近付いたと言うべきか。
魔力への理解力が爆発的に増加している為、媒体があれば宝珠もどきは作れるだろう。
あくまでも数種類の魔法を自動で発動してくれる様な演算補助装置ぐらいまでだが、幾らでも作れるなら十分な攻撃力になり得る。
最後に、1,028の妖精達。
此方はリェニの持つ妖精創造と植物強化の力のシナジーを利用し、妖精達の生命力を活性化、ルクローサの花蜜をコピーしたリェニ産花蜜を投入し、基礎戦闘データと魔力コントロールデータをインストールして、魔力の濃い花園の自領域で一晩眠らせた。
完成した妖精の一夜漬けは、妖精女王の群れ。
200名いた小人達は自由に飛び回れる妖精達やリェニへの憧れから妖精化し、純粋な妖精に比べて魔力コントロール能力が低い代わりに凄まじく器用な妖精になった。
どちらかと言うと魔道具作り等に適性があるし、思考もお気楽な妖精と違って種族柄色々考えるタイプなので、妖精の職人として頑張って貰おう。
また、妖精女王達の住む花園の自領域には、彼の偉大な妖精からの啓示として妖精郷と言う名を与えた。
次は天使竜を見て行こう。




