第26話 孤児院にて 二
第四位階上位
孤児院の修繕は滞りなく終わった。
言葉巧みに子供達を味方に付け、壊れた物、壊れそうな物、古い物の場所を聞き出したり、持ち運びできる物は持って来て貰う。
そうして次々に錬成を繰り返し、ついでに掃除や洗濯なども手伝った。
全てが終わる頃には日も暮れはじめ、シスターアルメリアとビャクラ、それから銀髪のお姉さんとも仲良くなった。
銀髪のお姉さんの名前は、アスィミ・シュタール。現領主の妹なのだとか。
よく一人で、孤児院の慰問をしているらしい。
勿論、此処に一人でこれるくらいの護身は出来る様だ。
ビャクラさんからも話を聞き出せた。
ビャクラさんは仲間四人で修行の旅をしていたが、仲間達とはぐれてしまったらしい。
仲間の名前は、桃花、空華、禅鬼。
ビャクラさんは、白羅と言うらしい。
それぞれの特徴は、桃花が桃髪の偉そうな子供。空華が金髪の野生児。禅鬼が黒髪の阿呆。
全体的に評価が手厳しい上に名前と髪の色しか分からなかったが、仲間の名前を呼ぶ時に尻尾を振っていたので悪く思っている訳では無い様だ。
此処に来た理由は、旧友のシスターアルメリアを頼りに来たのだとか。
旧友と言うには二人とも若過ぎる様に見えるが……旧友とはこれ如何に?
最後にシスターアルメリアだが、逃げた災厄の魔王の残滓を嗅ぎ付けこの大陸に渡って来たが、不幸な子供達を放ってはおけず、孤児院を建てる許可を貰い面倒を見ているのだとか。
そんな感じの話を、まるで眠れぬ夜の御伽噺の様に語っていた。
子供達やアスィミさんは笑って聞いていたが、装備を見ればそれが大きく外れている訳では無い、と言う事は一目瞭然である。
ともあれ、時間も時間なので、そろそろ冒険者ギルドに戻り報告を終わらせ、リッドを設置しなければならない。
幸い、アスィミさんに鉱山の前の空き地にテントを張って良いと言う許可を貰ったので、リッドは其処に設置する。
「スノーお姉ちゃん行っちゃうの?」
「泊まってけよー、一日くらい良いだろー」
別れを惜しみスカートを引っ張る子供達を撫で、また来る事を約束する。
最後にシスターや子供達の為に新鮮な猪や鹿の肉と、幾らかの野菜をインベントリから出す。
地下に空っぽの貯蔵室があったので、其処に置いておけば暫くは持つだろう。
しかし、シスターアルメリアはそれを中々受け取ってくれない。
遠慮しているのかな? ……宗教的に駄目なのだとしたら流石に置いて行っても迷惑だろう。
「すみません、動物は食べれないのでしたか?」
「いえ、そうではありません。全ての魂に貴賎はなく、有りとあらゆる糧は生ける者達を次の階梯へ至らせる聖体ですから」
「では何故?」
「……唯でさえ無茶を強要したのにこんなに貰っては、流石に私の良心が痛みます」
困った様な顔で言うシスターアルメリア、受け取って貰うには言い方を変える必要があるだろう。
「では寄進と言う事で、受け取って頂けますね? シスターアルメリア」
「……成る程、そう言われては受け取らない訳には参りません。心優しき冒険者、スノー、貴方の行く先に女神の御導きがあらん事を」
シスターアルメリアは目を瞑り祈りを捧げ、ニコリと微笑んだ。
◇
ウルルに騎乗して冒険者ギルドへ向かう。
皆にはメールを送り、リッドには地図を併用した接続の情報伝達で指定の場所で家になる様に言ってある。
僕が到着する頃には、皆リッドハウスに入っている事だろう。
「ウルル、急ぎましょう」
「ウォン!」
ギルドで少し調べ物がしたい、皆を待たせるのも忍びないので、早めに移動しなければならない。




