第47話 もっと先へ
第八位階下位
夕食を摂り、ログインして空腹ゲージを回復した。
18時のイベントにより、十分なEPが貯まったので、早速虹の鎧を30セット購入。
それと合わせて、クエストクリア報酬の確認をする。
入手した物は、スキルポイントが38P。防具『星の回廊』は、桜の神が着ていたコートと似た物。
カスタマイズ装備で、登録と吸収、保持、形成の構造が存在する。
即ち、配下を登録し、力を吸収し、それを保持して、何かへ形成、加工する装備だ。
報酬がこれだけだった事から分かる通り、極めて強力なアイテムである。
具体的な一つ辺りの保持容量は枠数の設定によりけりだが、星を謳うだけあって星珠が入る。
配下との接続強度如何では配下そのものをエネルギー行使出来るし、単純な魔力タンクとしては相当出来が良いと言える。
そのかわり形成の分野はイマイチで、剣、槍、鎚、斧、棒の5種、半自動装備が作れるだけ。それも物質化していない魔法武器だ。
色んな意味で消耗が激しくなりそうである。
改良の余地ありと言った所。
魔力保持容量と術式構造はトレードオフだが、多少容量が減った所で大した事では無い。
誰にあげるかと言うと、さて……配下がいる者には、既に特別な装備がある。月紅宮や千手巨神、試練の装備に星珠、神霊金属の武装だ。
これならば、既存の軍団に与えるよりも新しい軍団を形成した方が良いだろう。
では誰に与えるのかと言うと……ラース君かな。
彼は今のままでも十分成長しているし、今後も成長するだろうが、部下を持てばもっと成長する筈だ。
そうと決まれば、早速休憩所から帰還して休憩中のラース君にコンタクトを取り、古い装備と混ぜたりしてコートを仕立て直した。
追加された機能は、貯蓄魔力によるアイテム形成の自由化。
尚、自由なんて言ってはいるが、実際形成時に演算を働かせて形状を定めるのはラース君であり、それら全ての構造データはラース君の頭の中に入っている。
事実上自由化では無く、形成におけるプリセットを除外しただけ。一応その他に、変換の手間を軽減する為にラース君の生命力と混ぜて中和しておく構造を作ったが、それだけだ。
配下をどうするかは、ラース君の選択に任せる事にした。
サンディアやアトラの様にぽんぽん増やすも良し、配下の中でフリーの子を勧誘するのも良しだ。
次、虹の鎧。
これは、例によって予想通り、課金アイテムである虹貨と同じ材質の鎧だ。
桜の神もやっていたが、複数属性による防壁は単一の属性よりも演算を強いる事が出来るし、属性相性による不利を低減出来る。攻撃に転じれば相手の不利属性で攻撃が出来る訳だ。
まぁ、相手の性質が分かっていれば一極の方が良いのは間違いないが。
使い道としては、神血の様な汎用強化材。
高質の複数属性を消耗少なく操作出来る様になるのは、雑魚処理から猛撃の水増し盾等、凡ゆる面で有効である。
攻撃に向かないのが難点と言えば難点だが、万能である必要は無いのだから、何も問題は無い。
……ただまぁ、高質とは言え実際はレベル650相当の濃度なので、レベル750くらいになると余程不得意じゃない限り自力で代用可能だったりする。
報酬の確認はこれにて完了。
早速、開発を進めて行こう。
取り出したるは晴天の脈動。
これを用いて天使竜を強化する。
まぁ、開発だの言っているが、実際の所投入するだけで十分である。
僕がやる部分は、エネルギーがより馴染み易くなる様に練り込んだり、産まれたて故にブレやすい意志や希望を統一したり、休憩所で他の天使と一緒に鍛えたりするくらいだ。
それが終わったら、天使達には休憩して貰い、リェニと妖精達の強化を行う。
此方は、植物系を強化する指輪型のアイテム、姫の花冠。ペンダント型の異空間、約束の花園。結晶質の薔薇の花弁100枚に、ルクローサの花蜜。大輪のルクローサを使った、妖精828名、小人200名の強化である。
戦力の増強。これは必須事項だ。
その方向性は様々であり、単純な特化やエネルギーの貯蓄、若しくは、弱点を無くす事。
妖精達の強化は、古都インヴェルノの弱点の一つを強みに変える一手。
1,028の魂を錬磨するだけのエネルギーが無い為に、妖精達の強化を見送っていたが、多くの子達が本格的に限界値を越えられなくなって来た今、単体の特化と全体の強化は両立出来る。
少しでも多く、少しでも強く。それは決して無駄にならない筈だ。
◇
明けた翌朝。
いよいよルベリオン王国をひっくり返す時が来た。
それに加え、獣人3人組もようやく安定して来たし、子供達に合わせるタスクもある。
強化した天使と妖精達の確認も必要だし、12時間で稼いだ3,000億EPの用途も探さなければならない。
今日も今日とて、やる事は沢山あるのだ。
そんな中、黒霧からある報告が届いた。
「にわとり?」
「はい、にわとりです」
ルベリオン王国南部、ある島に最も近い大陸の海岸。
そこに、少なくとも昨日から、一切動かず島を凝視しているただの鶏がいるらしい。
——絶対にただの鶏の訳が無い。
その島。吸血鬼達の帝国をずっと見つめている鶏なんぞ、ただの鶏である筈が無い。
第十五節:第一項、先達の攻略——完




