第38話 蜂の軍
第八位階下位
レドラもオルガメアもジーンもいなくなり、最後に残ったのはぷーぷー寝息を立てる神竜。
仕方ないので取り敢えず撫で、配下の子達も労ってから送還し、何の情報も得られないまま、神竜は消滅した。
夜の森に戻り、次に選んだのは蜂の六角プレート。
飛ばされた先は、天竜宮と同じくらい広い空間。
辺り一帯は黄金に輝き、あちこちに蜜蝋の柱が立っている。
そんな空間にいたのは、無数の蜂と、少しの人。
メリニアム・エンプレス LV650
メリニアム・クイーン LV600
メリニアム・ジェネラリッシモ LV650
メリニアム・ナイト LV350
歳の頃は20前後か、1番年上と思わしき鮮烈な金の美女は、ふわふわとした長髪を揺らし、金と黒で彩られた豪奢なドレスで優雅にカーテシーをして見せた。
エンプレスの妹と思わしき10体いるクイーン達も、エンプレスと同じ様にカーテシーをして見せ、唯一クイーン達と異なる装いの騎士風の美少女は、膝を付いて首を垂れている。
その他、僕くらいはある巨大蜂があちこちの柱や床にくっ付いており、その総数は1,500程。
口を開いたのはエンプレス。
「よくぞ来た、幼き神よ! 私はアン、琥珀宮の主である!」
「よろしく」
「うむ、よろしく」
握手のついでに見てみたが、特段金の因子は感じられない。
ちょこっとあるが、親類では無いだろう。
続けて前に出たのは、鎧纏う騎士風の美少女。
クイーンやエンプレスにはティアラがあるが、この子は桜の髪留めで長い髪を一つ結びにしているのみ。
「シアだ。ユキ殿、今日はよろしく頼む」
「よろしくシア」
「本来であれば陛下と私だけだったのだが、蓋を開けて見ればこの様に……報酬はあまり約束出来ないが、殿下方の御相手を頼めるだろうか?」
「構わないよ」
「ありがとう」
ニコリと爽やかに微笑む彼女は、単体戦力ではおそらくエンプレスと並ぶか越える程だろう。
少なくとも近接戦闘の技量では、立ち居振る舞いから見て分かる通りの優に達人。
いいんちょ族の気配がするが、雰囲気で言えば1番近しいのはスペードの王か。
報酬は気にしないで欲しい。戦える事それそのものが報酬だから。勿論有れば嬉しいけどね。
挨拶を終えた所で、配下を召喚する。
先ず呼んだのは、サンディア率いる月紅宮軍。
リアル時間では僅か数日前に編成された軍団だが、2時間おきに3日の濃密な訓練と実戦を経て、鬼化獣達は並大抵の同レベルを圧倒出来る程の練度を獲得している。
そもそも元のレベル自体、上位環境迷宮からすっぱ抜いて来たから高いし、中にはレベル500に到達している深部エリアボスすらいるのだ。
その総数は優に万を越え、そして増えたり合体したりしている。
サンディアまで群体生命の作成を始めている訳である。
このサンディア軍だけでも、十分蜂達を殲滅出来るだろうが、折角なので月紅宮の全軍を動かすのでは無く、適正な者達を選出する事とした。
大焦僧 LV589MAX
塞鋼凱 LV583MAX
崩天稜 LV592MAX
猛冥導 LV595MAX
怨翳虎 LV586MAX
汐流无 LV590MAX
これら6体の誰によるネーミングかわからない魔物と、蜂達と同格の魔物1,500体。
それから、竜寝殿より蟲竜4体。カマキリ型の竜、刃弑竜・バン・バラバス。カブトムシに似た竜、堅殻竜・ロノ・クラーレ。ムカデの竜、蟒災竜・ガダ・グリオン。サソリ型の竜、毒針竜・カラバス・ディーモンを投入。
そして最後にアルネウムを召喚した。
……サンディアとアルネウム以外がスペックや技量で負けてるが、2人が頑張れば何とかなるだろう。




