第15話 好感度稼ぐ
第八位階下位
リオンを送還し、マリアと別れ、天の階段に戻ってきた。
月から光の粒子が零れ落ち、広間の先が現れる。
早速とばかりに歩みを進め、ついでに報酬アイテムの確認をする。
入手したのは、スキルポイント12P。閃光剣を射出する腕甲型の武器、心地光明。
腕甲型だがその実銃と言えるだろう。
単純な攻撃力は、レベル750の肉体を貫通出来る程。
一方で、エネルギーが貫通して抜けていってしまうから治癒を妨げる効果は低い。
使い方としては、マリアがやっていた様に、再生に手間と魔力が必要な部位をぶち抜くのが良いだろう。
極めて強力な武装である反面消費魔力も膨大であり、連発するには相応の保持容量が求められる。
装備としての格は高いが、必要な属性を持つ素材を揃えれば神装弓騎兵の創造機能でコピー出来そうだ。
ここはイェガに預け、リブラリアに解析させて何本か作成し、色々と弄り回してエヴァとかアトラに配備させよう。
そうこう考えながら心地公明を装備してにぎにぎしている内に、次の広間に到着した。
そこにあった六角プレートには、ドレスアーマーでツーテールな少女の後ろ姿が描かれている
次なる報酬に胸を膨らませながら触れると、視界はパッと切り替わり、見えて来たのは広大な荒地。
土と石しかない無情の荒野に、少女はいた。
「……来たわね」
少女は大地に突き刺していた剣を引き抜き、構える。
「私はサツキ、勇者の血を継ぐ者っ。何が来ようと相手になるわ……!」
闘気を迸らせながら此方へ向けられる武器は、青白い装飾の光と聖属性を持つ剣。
鎧は同じく青白い装飾。耐性系が主体で防御力に秀でており、魔力保持容量も大きい。
そんな中にあって、髪留めのリボンだけがやけに気になった。
僅かに擦れていると言うか、素材が安っぽいと言うか、それでいて質が高いと言うか……あくまでも装備が豪奢であるが故の違和だが、確かな違和感だ。
臨戦態勢に移行する彼女に、僕は微笑みながらジャブを仕掛ける。
「……その髪留め、良く似合ってるね」
「っ……」
すると彼女は剣から片手を離し、徐に手の甲を口元に当て、明後日の方を見上げた。
「……そ、そう」
「……誰かのプレゼントかな? 優しい思いが感じられる。きっと凄く大切なんだろうな」
何をとも何がとも言わないが。ちょっと異なる因子が感じられるのは確かだ。
僕の言葉に対し、彼女は顔まで明後日の方を向き、しかして視線は此方を向いた。
「……万能神って言うのはそこまでわかっちゃうのね」
「見せ付けといて良く言うよ」
「み、見せ付けてなんてっ……ないわよ……」
何らかの特異点となる装備かとも思ったが、反応からして単に見せびらかす為の物なのだろう。
義体にわざわざそのまま内包される因子を模倣させたのがその証拠だ。
少女は吊り目を歪ませ、ニヤつく口元を手で隠す。
「……それ、彼氏に直して貰ったら?」
若干擦り切れてるのは、少し見栄えが悪い。
当たりを付けて言う僕に対し、少女は頬を染め、何処とも知れぬ斜め上を見て返した。
「か、彼氏じゃなくて、だ、旦那よ」
「……ふむ」
仮にも亜神とは言え、照れたり慌てたりする物なのだ。
……僕もいつかこうなる時が来るのだろうか? あまり予想はつかないが。
「あ、あと、思い出の品だからこれで良いのよっ」
「ふむ……例えば歴史的遺物を保存する上で修復は必要だ。思い出を永劫残したいなら、綻びは正した方が良いと僕は思うね」
「む、むぅ……」
少し不満気な様子だが、反発は大きく無い。大方旦那様にも言われたか、もしくは姉妹に言われたか。
……好感度稼ぎに行くか。
「……ただまぁ、綻びも積み重ねた時間の証明だと言うのなら、やがて朽ちるその時まで修復しないのもありかな」
すると少女はあからさまに機嫌を良くし、嬉しそうにリボンを弄りながら頷く。
「そ、そうよ。そうよね……ふふふ」
さて、適度に交流した所で、戦いを始めるとしよう。
藤堂 皐月の幻影 LV650
相手が光属性の剣士の様なので、此方も似た様なモノを出すべきだ。
1番ちょうど良いと思われるレイ君は、後2日か3日あれば上手く調整できたが今はまだ早い。
と言う訳で、悩んだ末……アッセリアを出す事にした。
闇属性だが、闇と光なんて誤差の範疇だ。
なんなら相手の持つであろう聖属性とアッセリアが持つ死属性も相克するし、勇者の血族であるサツキとプロメテウスを保有するアッセリアはどちらも勝利の神性に通じている。
先のマリアとリオンの戦いに負けず劣らず素晴らしい戦いになるだろう。




