第19話 武器を作ろう
第四位階上位
「えへへ〜、おにぇちゃーん」
「どうしたの?」
「なんでも無〜い」
「そう」
何でも無いのなら抱き付いてないで早く食べた方が良いと思う。……仕方ない、か。
「……ほら、アヤ、あーん」
「おにぇちゃんっ……!! あ、あーん」
「……まったく」
まるで小さい頃に戻ったみたいじゃ無いか。
◇
昼食が終わってもくっついてくるアヤをそのままに、次は武器作りを開始する。
と、言っても、ただの移動中の暇潰しなのでそこまで凄い物を作るつもりは無い。
爺様に貰ったメモ本に薬の調合についても書いておく。
皆が何をしているのか見ると、アランはキッチンで謎野菜を調理していた。研究中なのだろう。
バルコニーでは、他の皆が戦闘訓練をしている。
タク、センリ、ユリちゃん、マガネの四人が他のメンバーに教える形での訓練だ。
双子ちゃんは実戦レベルの能力があるので、お互いに組手をしている。アヤを除いたら一番僕に近いスタイルなので、武器を作り終わったら軽く模擬戦でもしに行こう。
インベントリから取り出したのは、以前武器の品質向上の際に余って出来た金属塊。
今の錬金術のレベルでは鋭い刃は錬成出来ないので、作るのは棒である。
勿論、ただの棒では芸が無い、ギミックを仕込む。
先ず、棒の中央部分に魔水晶を取り付け、その周りに魔力を吸収して魔水晶へ届ける魔法文字を描く。
そこへスイッチを取り付け、それを押すと魔力が棒全体に行き渡る様になっている。
魔力が行き渡ると、棒の内部に仕込んだ硬化の魔法陣が発動し棒が一段階硬くなる。
最後に、詠唱を省略して誰にでも使える様にした魔法と、それに付随するギミックを棒の両端に仕込んで……完成。
ギミックの内容は、『貫け』と唱えると、昇り竜が装飾された方の棒内部で風球の魔法が弾け、その威力を受けて、伸縮構造の棒が勢い良く射出される。
それだけだと威力に欠けるので、竜属性を纏った腐竜王の折れた爪を先端につけ、貫通力や単純な破壊力を上げている。
逆側には、とぐろを巻いて赤い宝玉を守る龍が装飾されており、『奪え』と唱えると、一段階強力な魔力吸収が発動する。
魔水晶を削って出来た粉にヴァンパイアの血を少々混ぜ込み、錬成で固めて宝石の様にする。
これを壊れない様に直接接触は控え先端に仕込み、魔力吸収の魔法文字を描く。
試作型MMP-1 品質B レア度5 耐久力B
備考:魔鋼で出来た棒。様々な魔法が施されている。
試作型の魔法機構棒1号。魔鋼と言うのは、鉄を捏ねくり回していたら過剰な魔力で変質した物。
硬度や魔力伝達率が向上しているので、そのままにしておく。
レア度が高い理由は、腐竜王の爪と、吸血珠と言う名になったレアアイテムを取り付けてあるからだろう。
早速、完成品をケイに渡して見る。
「ケイ、ちょっと来てくれないかな?」
「っ!? ……あの、その……わ、私は……まだ早いと思うんだっ!!」
何やら意味のわからない事を言うケイ。
ふむ……確かに、ユリちゃんとクリアだけ何も渡されていないとなるとクリアがいじけてしまうかもしれないし、ユリちゃんは……どうだろう? 信頼もあるし、問題無いか。
後の不和を考えると、クリアの武器を作ってから渡した方が、良いかも。
だがまぁ、それも今夜中に作れば良いだけの事。
仲が良くなったから少し遠慮しているのだろう。
「じゃあ下に行こうか?」
「べベベベッド!?」
「? 早く行くよ?」
ならばクリアから見えない所で渡そうか? と声をかけたのだが、何やら真っ赤になって固まったケイ。
……この反応は……興奮、期待、不安……?
まぁ、どのみち武器は渡さなければ行けないので、手を取って女子部屋に向かう。
「あの、その、せめてアヤちゃんは……」
「やー!」
「うぅ……」
女子部屋に着くと、ベッドに腰掛ける。
「それじゃあ——」
「っ!? こ、心の準備が」
「——この武器、ん?」
「え?」
「んん?」
「……え?」
……んんん?
◇
「——と言う風になってる、使える?」
「う、うん、まぁやってみないと何とも言えないけど、多分使えるんじゃないかな?」
ちゃんと実戦でも使えそうらしい。使い手本人が言うのだから間違い無いだろう。
後は不備があれば随時改善して行けば良いだろう。
とりあえずケイの武器の完成である。
「そっか、それじゃあ失礼して」
「へ? ふわ!? なっにゃにおっ!?」
「アヤ」
「はーい」
アヤにケイを取り押さえる様に頼む。
何故だが知らないけれど、記憶が削除されている昨日の夜の僕から、白雪含む女子メンバー全員を腰砕けにする様に要請されている。
特に害がある訳でも無さそうだし、皆も嫌では無い様なので、その要請を受理する。
「や、やめっ!?」
「ほーら、ケイさんも、ほんとの自分をさらけ出して?」
「よしよーし」




